松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆協働と総合計画7・公共計画としての基本構想の典型例・箕面市(三浦半島)

2018-12-15 | 総合計画

 公共計画としての基本構想のオーソドックス版と言えるのが、箕面市への基本構想である。平成23年に作られた基本構想である。

1.めざすべきまちの姿では、 
 「子どもも大人もすべての市民が、人種、民族、信条、性別、社会的身分、疾病、障害があることなどによって差別されることのない、人権尊重を基軸とした多様な価値観や多文化が共生する地域社会が形成され、国際的な交流や外国人市民の日常生活の支援、男女協働参画社会の実現に向けた環境づくりも進展しています」
 として、10年後のめざすべきまちの状態が謳われる。こういう状態は、行政だけでなく、議会、市民も主体的に取り組むことで、実現していくことになる。

2.これを受けた基本方向では、
 ・人と人が認め合い、受け容れあう豊かなまちをつくります。
 ・すべての人が、一人の人として等しく尊重され、互いに認め合う社会をめざします。
 ・外国人市民の人権が尊重されたコミュニティの醸成に努めます。
 ・男女がともにいきいきと暮らせる地域社会をめざします。
 とされている。ここでの主語は「わたしたちは」である。

 次に基本計画である。
1.基本方針として、よく詳しく、基本方向を再掲している。
◉一人ひとりが十分に等しく尊重され、互いに認め合う社会をめざします。市民主体の人権・平和啓発を行い、生涯学習との連携を図ります。また、総合行政としての人権行政を進める庁内体制のもとにまちづくりを進めます。
◉外国人市民を含めた誰もが住みやすいコミュニティを醸成するために、外国人市民への行政サービス・相談体制を充実させます。また、市民主体の国際交流・国際協力を進めます。
◉男女平等の視点からあらゆる施策や社会制度・慣行を見直し、ジェンダー※格差が是正された社会の実現をめざします。女性の人権が確立され、男女がともにいきいきと暮らせるまちづくりを進めます。

2.そのあとに、「取組の内容」は行政の施策である。
①すべての人が、一人の人として等しく尊重され、互いに認め合う社会をめざします
 総合行政としての人権行政を進める庁内体制を整備し、人権尊重に基づき業務を遂行します。市民主体の人権・平和啓発を行い、生涯学習と連携します。また、人権相談体制の整備と調整、相談事業の周知を進めます。人権救済の方策や人権の視点による行政評価についても検討を進めます。
などと、行政の施策が、より詳しく書かれている。

3、「わたしたち」を具体化するのが、4.各主体の主な役割で
【市民】
◉性別にかかわりなく、誰もが職場、家庭、学校、地域その他のあらゆる場面で能力や個性を発揮できる環境づくりを進めます。
◉外国人市民と日本人市民が協働して、外国人市民が地域活動へ参加しやすい環境づくりを進めます。
【自治会やNPOなど】
◉男女が互いに対等な構成員として協働し参画できる活動を実施していきます。
◉多文化共生社会の実現に向けて、国際化活動を実施していきます。
◉さまざまな支援を必要とする市民の立場に立ったNPOなどの市民活動を実施していきます。
【事業者】
◉誰もが働きやすい職場づくりに努めます。
◉すべての人の人権が確立される環境づくりに努めます。
【行政】
◉すべての人の人権が確立される社会づくりに努めます。
◉男女協働参画施策を推進します。
◉国際化施策のニーズ把握に努め、各種サービスなどの情報提供も積極的に行います。
◉NPOなどの市民活動団体が主体となっていきいきと活動できるよう協働に努めます。
といったように、各主体の象徴的な役割が書かれている。 

 全体に見て、やや重複感はあるが、Weを主語に書こうと、意識して作った計画である。



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3 コメント

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大和市の「みんなが使える総合計画」 (imai)
2018-12-16 01:35:59
こんにちは。
私の中での公共計画としての総合計画の代表的な事例は、前市長の時の大和市第7次総合計画(2006~2017)です。前市長は多選批判等もあり、現市長体制に代わったため、中途で終わってしまいましたが、公共計画の性格、今風に言えばKPIの設定、実施計画の「市民提案事業編」など、なるほどと思うところの多い総合計画でした。
すでに制定されていた自治基本条例や「新しい公共を創造する市民活動推進条例」との関係や、当時検討が進められていた「市民自治区」との関係など、みるべきところの多い総合計画だったと思います。
当時、市民自治区のモデル地区づくりにも、現在コミュニティ政策学会の林泰義さんや伊藤雅春さんとNPO玉川まちづくりハウスのメンバーという位置づけで私も参加させていただいていました。
大和市は現市長のもと、特に公共施設などで先進的な取り組みをしておりますが、上のようなこともあり、市長交代は個人的には痛かったなというのが正直なところです。
その総合計画のファイルも手元にありますので、ご希望とあればお送りします。
返信する
Re:大和市の「みんなが使える総合計画」 (マロン教授)
2018-12-16 08:51:47
総合計画は、体験的に、好きではなかったので、あまり近づかないようにしていてので、大和市のことは、あまり知りませんでした。

前市長の土屋さんの個性もありますが、林さんはじめ、都市計画、街づくり系の人たちのバックアップも大きかったですね。
返信する
Re:Re:大和市の「みんなが使える総合計画」 (マロン教授)
2018-12-16 09:16:07
都市計画の人たちの先進性というか、理想そのままやっちゃう性は、すごいですね。学者の言ったもん勝ちとは違うシャープさがあります。

実務をたくさん知ってる私は、そこまでは、つぱれず、足して2で割るみたいに、なりますね。その分、シャープさに、欠けます。
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