松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆学校と協働2.学校と地域連携の意義(三浦半島)

2019-03-05 | 1.研究活動
 協働論の水準を考えてみよう。これは行政の協働と対比するとよくわかる。

 なぜ、学校で、協働が説かれるようになったのか。その背景から考えてみよう。簡単に言えば、それは、①子どもの教育が、学校だけではできなくなった(社会教育との連携)、②学校教育も学校の教員だけではできなくなったという事情である。実は行政も同じで、①自治は行政だけではできなくなった、②行政サービスも自治体職員だけではできなくなった。

ちなみに課題は次の通り
直接的には
①不登校の現状について
②暴力行為の現状について
③いじめの現状について
④日本語指導が必要な外国人児童生徒の推移
⑤通級による指導を受けている児童生徒数の推移(公立小・中学校合計)
間接的には
①家庭
②地域の教育力の低下

 文科省の協働論は、そこから、学校への市民参加、市民との協働活動を解くことになる。「地域学校協働活動」「地域学校協働本部」「コミュニティ・スクール」がそうである。

  「地域学校協働本部」は、従来の学校支援地域本部や放課後子供教室等の地域と学校の連携体制を基盤とし、より多くの地域の人々や団体等が参画し、緩やかなネットワークを形成することにより、地域学校協働活動を推進する体制を言う。ここには、地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・機関等、幅広い住民等の参画が望まれている。

 しかし、ここにあるのは、学校と地域はパートナーとはいうものの、これからの厳しい時代を生き抜く子どもの力の育成、地域から信頼される学校づくりのためという学校側の都合である。

 学校側の都合の協働論は、地域から厳しい反発を受けることになる。
 ①学校だけでは、教育ができなきなった-学校、もっと頑張ればいいではないか。②教員だけでは教育ができなくなった-そんなのは教員側の事情ではないか。知ったことではない。協働の初期に起こる非対称の問題である。

 協働は、それぞれが自らの強みを存分に発揮して社会全体がよくなるという考え方である。学校もWINだが地域もWINという関係ができなければ協働ではない。地域の教育力の向上、地域とのパートナーシップが、地域の持つ課題解決能力や親睦力を高めるという、地域側のWINにも目を向け、これを真正面から受け止めなければ、学校と地域の協働は、広がることがないと思う。

 このように考えると、学校側がすべきことも明確になってくる。地域の課題解決力や親睦力を高めるためというもうひとつの機軸が明確になる。そのための方法が地域連携活動である。放課後子供教室や土曜日の教育活動といったように、学校側が地域から支援を受けるという関係にとどまらず、学校側から地域の課題解決のための活動や親睦のための活動に出向いていくという活動の意義が明らかになるだろう。

 協働は学校に急速に入っていった。学校には子どもがいて、みんなで協力して一緒にやることの意義がリアルに感じられる。国語としての協働は親和性が強かったのだろう。しかし、それではしばらく行くと行きづまる。地域学校協働本部など、あるべき論ばかり先行してしまって、実務はついていかれなくなった。絵は立派だが、内容は伴わず、学校は苦闘することになる。先に進めるには、協働とは何なのか基本部分に遡って、学校は何をなすべきなのか考えることである。
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