松下啓一 自治・政策・まちづくり

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○空き家の利活用(横浜市)

2016-03-18 | 空き家問題

 空き家の利活用に関する活動をしている特定非営利活動法人横浜まちづくりプランナーの相談員に対する研修会があった。

 空き家問題は、毎年、急速に進化している。ここ1,2年は、空き家の利活用に論点が移ってきたようだ。まちづくりから空き家問題を考えるということになる。

 横浜まちづくりプランナーの人たちは、建築士さんが中心なので、しかも、市民相談の実践をしているので、どんな話をしようか迷ったが、信頼と連携を基本に、とりわけ行政との協働を中心に話をした。

 終了後、場末の中華屋さんで、飲みながらの意見交換会になった。ここでは、さらにざっくばらん、さまざまな話となった。面白かった話、大事だと思うことをメモしておこう。

 ・空き家問題に取り組むにあたっては、空き家をなくそうなどという無理誠を考えてはいけない。人口減少のなか、どうしても、空き家は出てしまうからである。手を付けられない空き家は、圧倒的に多くなる。そして、こうした空き家は、時間の経過とともに、朽ち果てて、緑の囲まれて、そして土に帰っていく。それでいいと思う。500年後、わが三浦半島を歩いていた人が、家の残骸のような遺跡を発見する。そうか、はるか昔、ここには人が住んでいたのかと、発見されることになる。そんな感じでいいと思う。

 ・だから、空き家問題で大事なのは、空き家をなくすことではなく、きちんと管理して、人に迷惑をかけないことである。空き家問題は、火災や防犯など、人に迷惑をかけることになるが、そうならないような対策を考えるのが、空き家問題である。

 ・行政法的な指導、勧告、命令、代執行とほとんど役に立たない。緊急避難的に危険な空き家を除去する意味はあるが、できても全体のほんの一部である。本来、行政代執行が役に立つ場合は、代執行をやって、きちんと費用を回収したときである。これによって、多くのひとが、きちんと管理したほうがずっと安く済む、あるいは自分で除去した方がずっと安いと気が付く。こうした、一罰百戒的な効果が狙えれば、行政代執行の意味はある。しかし、実際は、お金を取れないケースに代執行を使うから、結局、市民の間で、「自分はやらずに、役所に税金を使ってやってもらった方が得」という、モラルハザードを後押しする結果となってしまう。

 ・今は、多くの事業者が空き家の相談・管理に参入している。空き家相談・管理は、それ自体ほとんど儲からないが、その後の、例えば空き家の売買手数料、賃貸手数料、取り壊しや新築費用、リフォーム費用につながると考えて、ビジネスチャンスと考えられているからである。怖いのは、次につながると考えられているビジネスが、思いのほか低調で、ちっともビジネスチャンスではないとなってしまった時である。そうなると、空き家の相談・管理は、地域や行政が、非ビジネスとして取り組まなければいけなくなる。だから、これをビジネスチャンスを成功させるために後押しするのが、空き家政策である。そのためには、行政は思い切った手を打つべきだろう。空き家バンクをこうした業界と一緒に取り組み、大量の空き家が集積され、それがビジネスに転換するような仕組みづくりに踏み出すべきだろう。今回、私が、研修に参加したのも、この点が最も大きな理由である。

 ・横浜まちづくりプランナーの人たちは、建築士の人が中心である。技術屋さんたちとの付き合いはあまりないので、新鮮で面白かった。私の実家は、横浜の保土ヶ谷であるが、近くの人もいて、ローカルネタは面白かった。夜の11時まで、盛り上がったのは、その証左である。

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