松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆質問から・東京都市大学の市民講座から

2011-02-11 | 1.研究活動
 東京都市大学の市民講座の受講者の方から質問をいただいた。

[市民参加型は充実度があるが、大きな自治体では難しいのではないか]
 確かに大きな自治体で、市民全体で市民参加をやろうとしても、ほんの一部の参加にとどまります。その意味で、自治の単位として、横浜市のような規模は大きすぎると思います。だから、行政区なのだと思います。
 自治というのは、実は大半が身近な事柄です。市民のもっとも関心が高いのは、子供の安全や高齢者の福祉ですが、こうした事柄は、身近な単位における対応こそが重要です。この範囲で、市民参加を充実していけば、それが自治全体の底上げにつながります。むしろ、こうした身近なところからの取り組みこそが、今、必要なのではないでしょうか。
 実は、早晩、同じ行政区内での連合自治会単位での競争が始まると思っています。

[寄付を与えられたNPOの評価・チェックについて]
 新しい公共の担い手して、NPOが注目されるようになって、まだわずかです。その分、これまではNPOを育てることに力点にかかっています。反面、さまざまな支援という形で、税金を投入したNPOの活動が、本当に市民の役に立ったのかの検証が、十分に行われてきませんでした。協働事業で言えば、さほど優先順位が高いとも思えない提案に、お金がつき、行政が付き合わされるという例も散見されます。その意味で、行政や市民から、支援を受けたNPOの評価・検証をどのようにするかが、重要な論点になってきています。しかし、それがあまり厳しすぎると、なかなか新しい公共の担い手は生まれてきません。最初は、公共性が弱いものでも、それが熟成して、公共的にものになっていきます。よちよち歩きのころに、多くを要求しすぎると、立ち上がれなくなってしまうからです。両者の兼ね合いが難しく、関係者が悩んでいるところだと思います。明確な答えはありませんが、当面は、それぞれが、公共性の矜持を心がけることでしょうか。
 
[そもそも行政への市民参加が不在ではないか]
 市民参加なしでも自治が立ち行くと考えている自治体もあるかもしれません。しかし、人口減少時代を迎え、その他、さまざまな事情の下で、行政だけでやる方式は、破綻することは明らかです。ちょっと、まじめに考えれば、答えは明らかです。
 しかし、行政への市民参加が進まないのは、多くは、市民参加に閉口してしまったというのが理由です。市民に参加を求めたけれども、サイレンマジョリティを代表する人たちが参加しない。民主主義は、相互の意見の聞きあいが基本だけれども、自説に固執して、前に進まない・・・。そんなことで、市民参加に失望したというのもひとつの実態です。
 それを乗り越える心構え、心意気も重要ですが、制度・手法を開拓するのが、市民参加を広げる方策の一つと考えて、無作為抽出やワークショップなどをいろいろと試みています。その他、考えれば、たくさんあると思います。
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