松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆住民投票を考える(3)-共同経営者としての首長と議会・議員(三浦半島)

2015-05-31 | 地方自治法と地方自治のはざまで

 首長と議会・議員が、政策課題について相談することはいけないことか。二元代表制の基本から考えていく必要がある。

 日本の地方自治は、二元代表制を採用しているが、なぜ二元代表制を採用したのか。それは、住民によって選挙された市長と、同じく住民によって選挙された議会・議員が、自分たちの提案する政策の方がすぐれていることを競いあえば、結果的に、住民にとってよりハッピーな政策が選ばれ、住民の幸せにつながると考えるからである。

 しばしば、議会・議員は、首長をチェックするのが役割で、いわば監査役であると言われることがある。地方自治法にも検査等の規定があり、その一面は確かにあるが、議会・議員の本来の役割は、自治経営の責任者としての権限と責任を果たすことである。地方自治法でも、議会・議員は予算決定権をもち、条例提案権、条例決定権という最終決定権をもっているからである。議会・議員の役割がチェック役であるという議論は、実際には、政策提案ができず、単なる批判者にとどまっている議会・議員の現状の姿を投影したものに過ぎない。

 首長と議会・議員が相談したり、行政が設置した検討委員会に議員が参加するのはいけないという意見があるが、これは議会・議員を単なる監査役としかみていない議論である。両者の関係は、時には対立・拮抗し、時には協力・連携するといった入り組んだ関係のため、一筋縄ではいかないが、自治の共同経営者として、互いに同一の場で知恵を出す場合も必要になる。緊張関係を維持しつつ、相互に協力する関係をつくるのは簡単ではないが、人口減少や高齢化が進み、自治体の存続が危ぶまれる今日、自治の関係者全員が知恵と工夫を出していくしかないだろう。

 議会・議員は監査役に徹すべきという制度設計もあるが、その場合、議員は20人も30人もいらない。監査役は3人いれば十分だからである。多様な価値をくみ上げて、それを政策に結実するからこそ、20人も30人もの議員がいるのである。

 今後ますます、議会・議員は、自治の共同経営者であるという面を強調していくべきで、そのための実践を積み上げていくるべきと考えているが、昨日の『自治基本条例実践セミナー』で、三郷市の田中富雄さんの報告のなかに、なるほどと思う示唆があった。

 地方自治法を見ると、議会・議員は、予算決定権や条例決定権を持っているが、組織・人員・財源はなく、予算編成権もない。他方、長は、執行権や組織・人員・財源を持っているが、予算決定権や条例決定権は持っていない。つまり、議会・議員と首長の2つの組織ともが、自己完結的ではなく、両者合わさって1となる仕組みになっているという指摘である。つまり、ともに協力・連携しながら、自治経営することを前提にしていると考えるのが自然ということである。

 

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