冷凍チーズハンバーグを配達中の宅配ドライバーに導かれ、彼は神社にやってくる。
ここには人間に食された魚の霊が祀られているのだと、ドライバーが説明してくれる。
にわかに厳かな気分になり、神社を見上げ、ふと、ドライバーの姿が消えていることに気づく。
◯
ドライバーはトラックを走らせる。配送センター目指して。
そして、
配送センターでは、山のように積まれた荷物を、大勢のスタッフたちが夜を徹して . . . 本文を読む
すっかり地球の生活に馴染んだはぐれ宇宙人は、行きつけの中華料理屋に昼ごはんを食べに入る。
この店はラーメンやチャーハンなどの定番メニューもおいしいのだけれど、
常連にしか出されない裏メニューのエビフライが絶品で、
はぐれ宇宙人は1ヶ月毎日通いつめ、つい2日前に、やっと主人から常連と認められ、エビフライを注文できるようになった。
そして、やっぱり、今日もそのエビフライを注文する。
自家製タルタル . . . 本文を読む
チェンバロの音色に誘われて、陸にあがってきた。
しかし、海辺にはチェンバロもそれを弾く者の姿もなく、
さっきまで聞こえていた美しい音色もいつの間にか消え、
ただ波の音がくり返されるのみ。
仕方なくぼくは、海沿いの小さな商店で芋けんぴを2袋買い、
海に戻り、叔父の経営するティンパニ教室へ向かった。
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あたたかい風が吹いて、葉っぱと葉っぱがこすれ合い、さらさらとささやくように鳴る。
ぼくは木かげに立って、その音にじっと耳をかたむける。
もうこれから先のことは考えてはいない。
ぼくは、ここにこうしているだけ。
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昨日は、「鬼は外」って、豆投げつけられて追い出されちゃったけど、こっそりと戻って来ちゃったよ。
毎年豆まきのときは、こうして出てったフリでごまかしてるんだ。
また来年の2月3日までよろしくです!
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もし…
もしこうして海に浸りつづけていたら、
この酒とタバコで腐った身体も、
憎しみと妬みで汚れた心も、
生まれたばかりの赤ちゃんのように綺麗になったりしないだろうか⁉︎
ぼくはもう一度生まれ直したい!
ぼくは生きていることを許される人間になりたいんだ……!
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フライ返し伯爵(1760~1851)
この肖像画は1790年頃(30歳頃)に描かれたものと云われている。
財布は持たず、現金は裸のままポケットに突っ込む主義で、
趣味の馬頭琴は玄人はだしの腕前、
バッハとカニクリームコロッケを愛し、弟がひとりいたが仲は悪かったらしい。
腕力がかなり強く、ザトウクジラ30頭を、徹夜明けにたったひとりで倒したという逸話がある。
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