誰も知らないある山奥に、〔心優しいお地蔵様〕がひっそりとたたずんでいらっしゃいました。
その名のとおり、このお地蔵様はとても心優しく、一万円さえ払えば、どんな願いも叶えてくれるのでした。
ある日、そのお地蔵様のもとへ、願いを聞いてもらおうと、中年男性がやってきました。
ニタニタ顔で「いっすか、どっすか」と云いながら。
「あなたが〔心優しいお地蔵様〕っすか?」
「いかにもそうじゃ」
男性はさっそく一万円札を出すと、お地蔵様の足もとに置き、
「叶えてほしい願い事があるんすけど、いっすか?」
「うむ、で、その願い事とはなんじゃ?」
男性はニタニタ顔をいっそうニタニタさせてこう云いました。
「毎晩、若くてかわいい女の子と呑みたいんすけど、どっすか?」
「……いくら金を積まれても、そればっかりは無理っ!」
完
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