雪男2

地元の商店街、その一番奥にある豆腐店で、大好物のドンドゥルマを100個買う。

このドンドゥルマは、町おこしのためにと、商店会長でもあるこの店の主人が、トルコで3年間修行し、帰国後さらに2年かかって完成させた、この町の新名物である。

◯

雪男は、家路を急ぐ。
両手にドンドゥルマがいっぱいに入ったビニール袋を下げ、軽い足取りで。

ふと、
どこかの店で流れているラブソングが彼の耳に入ってきたかと思うと、それはあっという間に彼の心に直撃する。
その歌のなかの「君」という歌詞が、彼がいま、いちばん会いたい人を思い起こさせる。

つまり、
会いたくて仕方がないということ。

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