馬喰町で乾物屋を営むアルパカは、夕暮れ時、縁側で向かいのロウソク問屋の娘が吹くピアニカの音色に聴き入っていると、急にカニチャーハンが食べたくなって、海まで来た。
どうせなら、獲れたての新鮮なカニで作りたかったのだ。
駐車場に着き、車を降りるやいなや、崖から海へ飛び込む。
しばらく海中をさまようが、どう云う訳か、カニの姿が見当たらない。エビはこんなにいると云うのに。
仕方ない、今日はエビグラタンにしよう、と息継ぎのため一旦海からその長い首を出した瞬間、アルパカはあることに気づき、驚愕する。
「ぼくは、いま、生きているんだ!」
完
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