めざめていても夢はみる

ぼくはいつまでもさまよいつづける、
夜が明けても醒めない夢のなかを…

連載『夢からさめる』第11話

2015-02-03 17:21:55 | 連載駄文
戦後すぐに撮影された、この街の写真を見る。
板塀に挟まれた、当然舗装されていない埃っぽい道を着物に山高帽の男性が歩いている。

家を出ると、霧がひどい。
踏切を渡ろうとするが、電車がひっきりなしに行き来して、なかなか開かない。



あきらめて、線路沿いの道を歩く。ランドセルを背負った半ズボンの男の子2人とすれ違う。

自転車屋さんの前を通りすぎ、細い川にかかる橋を渡る。橋の上には軽トラックが停まっていて、荷台から運転手らしき男が川にダンボール箱を捨てている。

坂道をのぼる。両側は湿ったコンクリート塀がつづく。着物に山高帽の男性とすれ違う。

坂道の真ん中でぼくは立ち止まる。

坂の上に女性が立っていた。

どうして……⁉︎

驚くが、ぼくはうれしくなって、駆け寄ろうとすると、彼女は云う。



「あなたと話してるより、あの人と話しているほうが楽しいの」


つづく








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