歌うように語ろう

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顔も名前も知らない君へ

2013年02月15日 | 雑感

何ともやりきれないニュースが多い昨今、本当に辛く切ない思いを禁じ得ない出来事がありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130215-00000163-jij-soci

 

小学校5年生では、まだ学校や近所、塾などごく狭い世界だけが自分の世界だったのでしょう。

その中で彼なりに一生懸命考えたうえでの行動だったとしても、あまりに悲しい結末ではありませんか。

 

もはや彼を止めることは永遠に叶わないですが、彼に手紙を書くつもりで今日は文章をつづりたいと思います。

私は現在アルコールが摂れないのですが、飲まなきゃやってられないくらいやりきれない思いでいっぱいなので。

 

「君はきっと最後まで考えたのだろうね。どうすれば大好きな学校がなくならずに済むのか、みんなにアンケートをとったのも

皆が自分と同じ思いなのか、どうすればいいのか探るためだったのかもしれないね。

そして君はたった一つしかないかけがえのないものを引き替えに世間に訴えるという手段に出た。その後、どうなるか確かめる

手段がもうないことを、君は最後に分かっていたのだろうか?

 

残念だけど、君の願いは届かないだろう。そして、君がいなくなって嘆き悲しむ大好きな家族の元に突きつけられるのは、

多額の損害賠償請求なんだよ…。

理不尽だと思うだろうね。確かに必死で訴えたかった君の立場で考えたらそう言いたいだろう。だけど、君は手段を間違ってしまった。

 

何かを訴えたい時に、懸けるべきなのは「命」ではなかったんだ。

それならどうすればよかったの? と君は問うかもしれない。

残念ながら、君の願いを確実に叶える手段は私にもわからない。おそらく、他の多くの大人にも分からないだろう。

 

けれど君に言いたいことがある。君は最後まで、いのちを手放してはいけなかったんだよ。

 

君はいっしょうけんめいだった。ひょっとしたら最後まで迷ったかもしれない。その果ての選択かもしれないが、それでも命を投げ出すべき

ではなかったと、私は言いたいんだ。

 

誰しもたった一度の人生、いのちは一つしかない。昨日まで元気だった君は、自ら手放してしまったことでもういのちを失ってしまった。

これから君が生き続けていたら、きっと多くのことを学んだだろう。勉強だけでなく、友達や家族、いつか出会うかもしれない新しい家庭を

一緒に築く人とどう生きていくべきか。そして社会に出た時に、今回のような理不尽なことがたくさんあることも。

 

生きていくのは楽しいことばかりじゃない。正直、辛いことばかりだよ。死んでしまった方が楽だと思うこともある。

けれどもやはり、自分からいのちを投げ出すのはしてはいけないことなんだよ。

 

今君に見えるだろうか? 家族や友達がたくさんたくさん、泣いている姿が。

君がもう戻ってこないことで流す涙を、君はどうしてあげることもできない。

 

生きるということ。みんなそれぞれの人生を全うしようと毎日生きている。

私には年老いた父がいる。彼はもう治らない病を抱え、いつ止まるかわからない時を生きているんだ。

私は父に会うたびいつも同じ言葉を彼から聞くんだよ。

「しんどい」って。彼はもう何も食べたり飲んだりできない。寝たきりで息をするので精一杯なんだ。

それでも父は一度も「もう死にたい」と言ったことはないよ。

 

父は最期の瞬間まで生き抜こうと思っているんだろう。私たち家族のため、そして自分のために。

日々弱っていく父を見ているのは正直辛い。でも、こうも思うんだ。

今日も生きていてくれてありがとう」って。

仏教徒である父は、元気な時によく言っていた。「生かされているいのち」なんだとね。

 

君がもし私の子どもだったら、私は毎日泣き暮らしながら願うだろう。

帰ってきてほしいと。君の命を返してほしいと。

 

君の命は君だけのものじゃない。君が生まれた時、お母さんやお父さん、おじいさんやおばあさんはとても喜んだだろう。

でも、今はみんな悲しんでいる。君の言葉を借りれば、「たったひとつのちいさな命」が亡くなったことでみんなが悲しんでいる。

残酷なことを言うけれど、君は取り返しのつかない間違いを犯してしまったんだよ。

私や他にも多くの大人たちは、それが悲しくてやりきれない思いでいっぱいだ。

 

いつか君がまた人の世に生まれ変わることがあったなら、約束してもらえないだろうか。

今度は絶対に、自らいのちを投げ出すようなことはしないと。」

 

これ以上、無為に命が失われることのないように祈りつつ。

合掌


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