『きゃあぁぁぁ~~!!』
『旋回が遅ーい!』
1944年、夏。
ブリタニアに拠点を置く第501統合戦闘航空団基地上空で悲鳴と罵声が響いていた。
阻止気球と呼ばれ、本来の用途ならば爆撃機の侵入を防ぐバリケードだが。
この日は設置された気球の間を飛ぶのが訓練として利用している。
「ねえ、トゥルーデ。宮藤さんは初飛行にも拘らずネウロイと戦えたと坂本大尉が言ってたわよね。」
「ミーナ、現実逃避は良くないぞ。
我々の眼に映るものは軍曹がクソ高い気球につっ込み、次々と壊してしているシーンだ。」
『きゃあああ!!』
『宮藤ぃ~!!』
あ、爆発した。
「・・・宮藤さん、坂本大尉と一緒に飛んでいるから理解しているはずよね。」
「それより気球一基あたり、30~40ポンド。それが全滅、予算を考えなければ。」
「・・・・はぁ」
年上の哀愁と色っぽさが合わさったため息をつく。
そんな風にしているとただでさえ年上な雰囲気がヘタをすると20代以上に見えてしま・・・。
「バルクホルン少佐、何か変な事を想像したのでは?」
「いや、別に。ミーナがきれいだな―と思っただけだ。」
ベツニ、ホントウニオモッテマセンヨ―。
『宮藤ィ~』
『あうう、坂本さんごめんなさい』
・・・・・・。
『まあいい飛べただけでも上出来だ、明日からびしばし行くから覚悟しておけ。』
『は、はーい』
欧州から見て遥か極東から来た新人、宮藤芳佳軍曹。
栗毛の髪に、女らしさよりも可愛らしい容姿で思わず抱きしめたくなりそうだ。
そして似ている。
『さっさと風呂にでも入ってこーい。』
「わかりました坂本さん」
『うむ、行って来い。』
「はい!」
クリスに
「ま、こんなものだろう。
請求の件についてはミーナ中佐殿に任せた。うまくごまかしてくれ。」
そう言い滑走路を後にする。
後ろから「貴女も少しは捻りなさい、トゥルーデ!」と聞こえたが無視する。
「にしし・・逆の意味で撃墜王だね。ねえねえ大尉あれ使えるの?」
格納庫へ戻る途中で、
同じく滑走路で宮藤芳佳の飛行を見ていたルッキーニが話しかけてきた。
「使い物にするのが私らの仕事だ。そうだろ、ルッキーニ少尉?」
そうだよね、
にゃはは。とルッキーニは笑う。
いつもと変わらない子供らしい笑顔。
心が汚れた私にはまぶしいな、なんて思ってしまいそうな。
「あーそうそうバルクホルン大尉――。」
「何か?」
一体何を言い出すつもりだこのお子様は。
「あんまり過去を気にしたら死んじゃうよ?」
・・・どういうことだ?
「大尉の顔、
はじめて来た時の表情をしていたから。」
・・・・・。
「あの顔、あたしでも分るよ。
死に急いでいる人だってことぐらいは。」
じゃあね~と言って彼女は去って行った。
「はは・・・。」
なるほど、ここの居心地が良すぎたわけか
どうやら私は少しばかりぬるま湯に浸かっていたらしい。
忘れていた。
あの戦場を、あの最前線を。
そうさ、記憶から消そうとしていた。
私がオリジナルでないからあの子を死なせた。
あの子だけじゃない。
オレより年下の子たちもたくさん死なせた。
そして言われた。
「子供を返して」
「人殺し、無能指揮官。」
ああそうさ。
私は本来のゲルトルート・バルクホルンではないからな。
だから預かっていた中隊を自分を除き全滅させた。
正統派TSの方を更新。
『旋回が遅ーい!』
1944年、夏。
ブリタニアに拠点を置く第501統合戦闘航空団基地上空で悲鳴と罵声が響いていた。
阻止気球と呼ばれ、本来の用途ならば爆撃機の侵入を防ぐバリケードだが。
この日は設置された気球の間を飛ぶのが訓練として利用している。
「ねえ、トゥルーデ。宮藤さんは初飛行にも拘らずネウロイと戦えたと坂本大尉が言ってたわよね。」
「ミーナ、現実逃避は良くないぞ。
我々の眼に映るものは軍曹がクソ高い気球につっ込み、次々と壊してしているシーンだ。」
『きゃあああ!!』
『宮藤ぃ~!!』
あ、爆発した。
「・・・宮藤さん、坂本大尉と一緒に飛んでいるから理解しているはずよね。」
「それより気球一基あたり、30~40ポンド。それが全滅、予算を考えなければ。」
「・・・・はぁ」
年上の哀愁と色っぽさが合わさったため息をつく。
そんな風にしているとただでさえ年上な雰囲気がヘタをすると20代以上に見えてしま・・・。
「バルクホルン少佐、何か変な事を想像したのでは?」
「いや、別に。ミーナがきれいだな―と思っただけだ。」
ベツニ、ホントウニオモッテマセンヨ―。
『宮藤ィ~』
『あうう、坂本さんごめんなさい』
・・・・・・。
『まあいい飛べただけでも上出来だ、明日からびしばし行くから覚悟しておけ。』
『は、はーい』
欧州から見て遥か極東から来た新人、宮藤芳佳軍曹。
栗毛の髪に、女らしさよりも可愛らしい容姿で思わず抱きしめたくなりそうだ。
そして似ている。
『さっさと風呂にでも入ってこーい。』
「わかりました坂本さん」
『うむ、行って来い。』
「はい!」
クリスに
「ま、こんなものだろう。
請求の件についてはミーナ中佐殿に任せた。うまくごまかしてくれ。」
そう言い滑走路を後にする。
後ろから「貴女も少しは捻りなさい、トゥルーデ!」と聞こえたが無視する。
「にしし・・逆の意味で撃墜王だね。ねえねえ大尉あれ使えるの?」
格納庫へ戻る途中で、
同じく滑走路で宮藤芳佳の飛行を見ていたルッキーニが話しかけてきた。
「使い物にするのが私らの仕事だ。そうだろ、ルッキーニ少尉?」
そうだよね、
にゃはは。とルッキーニは笑う。
いつもと変わらない子供らしい笑顔。
心が汚れた私にはまぶしいな、なんて思ってしまいそうな。
「あーそうそうバルクホルン大尉――。」
「何か?」
一体何を言い出すつもりだこのお子様は。
「あんまり過去を気にしたら死んじゃうよ?」
・・・どういうことだ?
「大尉の顔、
はじめて来た時の表情をしていたから。」
・・・・・。
「あの顔、あたしでも分るよ。
死に急いでいる人だってことぐらいは。」
じゃあね~と言って彼女は去って行った。
「はは・・・。」
なるほど、ここの居心地が良すぎたわけか
どうやら私は少しばかりぬるま湯に浸かっていたらしい。
忘れていた。
あの戦場を、あの最前線を。
そうさ、記憶から消そうとしていた。
私がオリジナルでないからあの子を死なせた。
あの子だけじゃない。
オレより年下の子たちもたくさん死なせた。
そして言われた。
「子供を返して」
「人殺し、無能指揮官。」
ああそうさ。
私は本来のゲルトルート・バルクホルンではないからな。
だから預かっていた中隊を自分を除き全滅させた。
正統派TSの方を更新。