1939年末。
わが軍は東欧から始まったネウロイの攻勢でついに東プロイセンまで『転進』した。
かつて『中央軍集団』と名乗っていた組織は壊滅して『北方軍集団』へと改名を余儀なくされた。
そして守るべき国民。
未だ避難民も完全に逃げ切れておらず、
様々な困難の中、陸海空軍が総力を挙げて避難支援を行っている。
もっとも、それでも戦線は押され気味で10日も持たないだろう。
ただ、強いて逆に良い点といえば。
「戦線から本土に近付いてきたから補給が楽になったか。」
「トゥルーデ、最近それを敗北主義者の言葉。と言うらしいわよ。」
ついブラックジョークを呟いたら隣にいたミーナに注意された。
「いくらウィッチでも小うるさい番犬(憲兵)に睨まれるわよ。」
「大丈夫だ、問題ない。ここにはミーナを除けば二人っきりだからな。」
「あら?貴女もしかして伯爵の同類・・。」
「アレと一緒にするな」
ちょっと席を離れたミーナ。
正直、いや本当にアレと一緒にされたくないね。
新人に訓練するとか言ってセクハラし放題で百合百合な奴なんて特に。
「ま、それより私と何人かが撤退命令が来たわ。」
急に戦場でもいるような雰囲気を出すミーナ。
これは・・・よくない命令でも来たんだな。
「どこへ?」
「ガリア国境よ」
ガリアだと?
「先に撤退するのか。」
「正確には再編成、エーリカも含めて。
ここ数日は私たちの活躍でだいぶ余裕があるから今のうちに、というわけらしいわ。」
たしか<原作>では
ミーナ、エーリカ、私、バルクホルンは大戦前半からずっと一緒だったとか。
まあ、統合戦闘団結成前の過去については不明確だからなんともいえないな。
しかし、妙だ。
普通こういうのは部隊単位で行うものだが。
「私は後方で再編成した部隊を率いるためよ、ほら、私の固有魔法は指揮官向けだから。
あと、エーリカも後方で再編成した部隊の教官役としてのよ。ああ見えてもこの部隊一のエースだから。」
苦笑するミーナ。
うん、気持ちはわかる。
何時もはぐうたらなロリ娘が「教官殿!」なんて呼ばれる身分は似合わないにも程がある。
けどさあ、
「問題は前線の戦力が大きく下がることなんだが。」
「ええ、その点については上層部を信じるしかないわ。」
大丈夫か?
自分は不安で不安でしかたないが。
それにミーナが抜けると今この第52戦闘航空団第2飛行隊の指揮官は・・・。
「そして私が抜けた後の指揮官は貴女しかいない。」
「・・・・・・・・・。」
だろうな。
現在この部隊で一番偉いのは大尉のミーナ。
んで次に偉いのは中尉の階級持ちである私ことバルクホルンだ。
「ふふ、不安そうね。」
「当たり前だろ、ミーナ。」
指揮官とは部下の命を文字通り預かる立場にある。
果たして私に10代そこらの少女たちの命を10人以上も預かることができるだろうか。
その責任を全うできるだろうか。
「だ~め」
「あう?」
鼻を抓まれた。
てか、顔が近い近い!?
生温かい息やらなにやらかかって心臓が色々まずい。
「貴女って人はそうやってすぐマイナスの思考に走るのはよくないクセよ。」
人の気持ちを読んですぐさまフォローする。
ほんと、この娘さんにはかなわないなぁ・・。
「善処いたします。」
「それでよろしい。」
うんうんと納得するミーナ先生。
やっぱこの子は年の割に大人びいていて、
「何か言ったかしらん?」
「ナンデモゴザイマセンヨー。」
やめよう。
歳の事を指摘するのは色々マズイ。
「でもね、貴女ならできるはずよ。
これまで50機近くのネウロイを撃墜したのは貴女の才能によるもの。
そして小隊長として実戦を過ごしてきたトゥルーデならそろそろ中隊長を任せてもいいころよ。」
ギュ、と私の両手を握る。
例えるならば我が子に言いかけるように。
「だから自信を持ちなさい、トゥルーデならできる。」
前世も合わせればおじさんと言われて可笑しくない精神年齢だけど、
10代半ばの少女にこうして励まされるとはなぁ、ほんとかなわないよ。
でも分ったよ。
そして、
「・・・ありがとう。」
「そう、それでよろしい。任せたわよ。」
その責任をきっかり果たしてみせるよ。
そうでないと『元』男がすたるしな。
「明日の昼には転進するからそれ以降は指揮権は貴女に譲ります。」
「おい、さっき撤退とか言ってなかったか?」
「うふふ、正確には『転進命令』よ。」
「ミーナ、嘘ついたな」
「別に嘘はついてないわ。」
わが軍は東欧から始まったネウロイの攻勢でついに東プロイセンまで『転進』した。
かつて『中央軍集団』と名乗っていた組織は壊滅して『北方軍集団』へと改名を余儀なくされた。
そして守るべき国民。
未だ避難民も完全に逃げ切れておらず、
様々な困難の中、陸海空軍が総力を挙げて避難支援を行っている。
もっとも、それでも戦線は押され気味で10日も持たないだろう。
ただ、強いて逆に良い点といえば。
「戦線から本土に近付いてきたから補給が楽になったか。」
「トゥルーデ、最近それを敗北主義者の言葉。と言うらしいわよ。」
ついブラックジョークを呟いたら隣にいたミーナに注意された。
「いくらウィッチでも小うるさい番犬(憲兵)に睨まれるわよ。」
「大丈夫だ、問題ない。ここにはミーナを除けば二人っきりだからな。」
「あら?貴女もしかして伯爵の同類・・。」
「アレと一緒にするな」
ちょっと席を離れたミーナ。
正直、いや本当にアレと一緒にされたくないね。
新人に訓練するとか言ってセクハラし放題で百合百合な奴なんて特に。
「ま、それより私と何人かが撤退命令が来たわ。」
急に戦場でもいるような雰囲気を出すミーナ。
これは・・・よくない命令でも来たんだな。
「どこへ?」
「ガリア国境よ」
ガリアだと?
「先に撤退するのか。」
「正確には再編成、エーリカも含めて。
ここ数日は私たちの活躍でだいぶ余裕があるから今のうちに、というわけらしいわ。」
たしか<原作>では
ミーナ、エーリカ、私、バルクホルンは大戦前半からずっと一緒だったとか。
まあ、統合戦闘団結成前の過去については不明確だからなんともいえないな。
しかし、妙だ。
普通こういうのは部隊単位で行うものだが。
「私は後方で再編成した部隊を率いるためよ、ほら、私の固有魔法は指揮官向けだから。
あと、エーリカも後方で再編成した部隊の教官役としてのよ。ああ見えてもこの部隊一のエースだから。」
苦笑するミーナ。
うん、気持ちはわかる。
何時もはぐうたらなロリ娘が「教官殿!」なんて呼ばれる身分は似合わないにも程がある。
けどさあ、
「問題は前線の戦力が大きく下がることなんだが。」
「ええ、その点については上層部を信じるしかないわ。」
大丈夫か?
自分は不安で不安でしかたないが。
それにミーナが抜けると今この第52戦闘航空団第2飛行隊の指揮官は・・・。
「そして私が抜けた後の指揮官は貴女しかいない。」
「・・・・・・・・・。」
だろうな。
現在この部隊で一番偉いのは大尉のミーナ。
んで次に偉いのは中尉の階級持ちである私ことバルクホルンだ。
「ふふ、不安そうね。」
「当たり前だろ、ミーナ。」
指揮官とは部下の命を文字通り預かる立場にある。
果たして私に10代そこらの少女たちの命を10人以上も預かることができるだろうか。
その責任を全うできるだろうか。
「だ~め」
「あう?」
鼻を抓まれた。
てか、顔が近い近い!?
生温かい息やらなにやらかかって心臓が色々まずい。
「貴女って人はそうやってすぐマイナスの思考に走るのはよくないクセよ。」
人の気持ちを読んですぐさまフォローする。
ほんと、この娘さんにはかなわないなぁ・・。
「善処いたします。」
「それでよろしい。」
うんうんと納得するミーナ先生。
やっぱこの子は年の割に大人びいていて、
「何か言ったかしらん?」
「ナンデモゴザイマセンヨー。」
やめよう。
歳の事を指摘するのは色々マズイ。
「でもね、貴女ならできるはずよ。
これまで50機近くのネウロイを撃墜したのは貴女の才能によるもの。
そして小隊長として実戦を過ごしてきたトゥルーデならそろそろ中隊長を任せてもいいころよ。」
ギュ、と私の両手を握る。
例えるならば我が子に言いかけるように。
「だから自信を持ちなさい、トゥルーデならできる。」
前世も合わせればおじさんと言われて可笑しくない精神年齢だけど、
10代半ばの少女にこうして励まされるとはなぁ、ほんとかなわないよ。
でも分ったよ。
そして、
「・・・ありがとう。」
「そう、それでよろしい。任せたわよ。」
その責任をきっかり果たしてみせるよ。
そうでないと『元』男がすたるしな。
「明日の昼には転進するからそれ以降は指揮権は貴女に譲ります。」
「おい、さっき撤退とか言ってなかったか?」
「うふふ、正確には『転進命令』よ。」
「ミーナ、嘘ついたな」
「別に嘘はついてないわ。」