二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

最前線-Ⅲ (ヴァルハラの乙女たち)

2011-04-13 18:49:26 | 習作SS

視点:バルクホルン

人型ネウロイ
<原作>の小説版でいらん子中隊のメンバーに化けて人類に牙を剥いた。
アニメ版では1期、2期に登場して一体何をしたかったのか分らぬまま2期の最初でネウロイに攻撃されて消滅。
結局人型の姿をとった上で宮藤にネウロイの巣に案内した核心的理由が終ぞ判明しなかった。

なぜこの時期に現れたかは不明、
確実に言えることは私にとっては仇打ちの機会かもしれない、ということだ。
故郷、カイザーベルク(ケーニヒスベルク)で絶望的数のネウロイと共に奴は私の前に現れ、妹を殺した。

「・・・・・・。」

手に持つMGの感触がいつもと違う。
少し発汗、重量感もいやに重く感じる。
元の世界では描写されなかったが、弾を詰め込んだ肩掛けバック、首に掛けた望遠鏡も一段と肩に食い込む。
足に履いたストライカーユニットだけは変わらず空気中のエーテルをかき回し、轟音を空にに響かせる。

『バルクホルン大尉!』
「み・・中佐?」

耳にさしたインカムからミーナの声。

『追加命令と追加情報です。
 まず司令部より可能なら捕獲せよ、次に新たな人型ネウロイが2機同じ地区に出現とのことです。』

「は・・・?」

増えただと、それだけはいい。
だがだ、捕まえろなんてむちゃ言うな。
時速数百キロの速度で三次元機動する物体を捕まえろとか。

『あくまで「可能なら」という条件なのでバルクホルン大尉の好きにしてもかまいません。』

あ、なるほど。
「そのまま撃墜してもかまわない。」という選択の猶予が存在するのか。
ならば遠慮する必要性はなくなった。

「了解しました、中佐殿。」
『無茶はしないでね。』

そう言って通信が切れた。

ミーナとのやり取りをしている間に目的地に随分近付いたハズ。
無意識に、私の魔力の鼓動とエンジンの鼓動が上がったのを感覚的に捉える、我ながら緊張しているようだ。

「大尉ー!」

爆音ゆえにインカムで捉えた音声であるが反応的に顔を正面に向ける。
声の主は、ルッキーニか。

「る、フランチェスカ少尉、何か見つけたか?」
「うん!11時方向の下に一瞬キラッ、て赤く光ったよ。」

前衛に位置するルッキーニからの報告に見えない緊張感が私たちにに走る。
魔力がもたらすいくつかの加護の中でも、視力強化でずば抜けて高い成績を誇るルッキーニが言った内容はただ一つ。
敵がいると思われる、それだけだ。

「数は?」
「わからない・・・うーん、たぶん2つぐらい。」

曖昧な答えを聞き流しつつ指揮官用の望遠鏡をおもむろに覗く。
雲に阻まれたが、映ったのは米粒ほどの大きさの、人の形をした黒い物体が4つ。

情報が正しければ人型ネウロイだと、思う。
片手で収まる程度の望遠鏡だから何とも言えない。
基地のデーターで識別してもらおう。

「こちら、バルクホルン。聞こえますか?
 ただいまネウロイと思しき勢力に接触、識別をお願いします。」

『こちら501司令、
 こちらからの確認では敵だと思われます、ただちに攻撃を。』

「了解、識別感謝する」

『こちらも・・・ザ、・・あ、z――t、けい―――。』

くそ、こういうことか!?
無線妨害自体は珍しくないがこのタイミングで来るのが明らかに変だ。
となると、眼前の人型ネウロイは囮で、本命は原作と同じ基地。
畜生、朝来なかったから来ないと思い込んでいた自分が憎い。

「大尉!」

今度はシャーリーから余裕がなさそうな通信。
やられたのは長距離無線の周波なので近距離のはまだ通じる。

「言わなくても分っている。
 全機、安全装置解除。命令は見敵必殺!繰り返す、見敵必殺。突撃せよ!」

各自がMGの安全装置を解除し、
巡航速度から最大戦速へ切り替え眼下の敵にめがけて一斉に突撃。
シャーリーとルッキーニ、私とエイラで組んだペアごとに一刻も早くネウロイを倒さんと競う。

小型の奴に魔眼を使うのは負担的に躊躇したいが
基地が襲撃されているのを考慮すると時間がない、やるしかないのだ。

「ッ・・・!!」

脳内でチャンネルを変換するイメージを組み立てる。
幻想という歯車が現実とかみ合い連動、瞳に映る視界が徐々に変化してゆく。
魔法で強化された視力以外の能力、点と線でできた死の世界が具現化。

『固有魔法、バロールの眼、』

あるいは直死の魔眼といった方が分りやすいだろう。
通常の輪廻から外れ異世界転生という例外中の例外の事例ゆえに得た私だけの能力。

最初、一度は中2的にあこがれた能力を得て年相応に喜び興奮したのはもう10年以上前だ。
が、途中でなぜ元となった創作上の人物たちがこの眼を潰そうとした気持ちが理解してしまった。
なぜか?単純に人の器には合わない、合ってはならないのだ。

幾分人の常識から外れる魔女でも『死を認識できる』能力は精神的負担が大きすぎる。
ましてや私は物語の主人公たちのように頑丈な精神構造はない。あるのはSAN値直葬。
結果無邪気に喜んだのはほんの10秒で後は醜くもがき苦しみ、無様に自滅しそうだった。

顔は分らない老人に助けられなければ。

「う、ぐ・・・。」

回想に浸っていた所でシャーリーのうめき声に意識は現実へ。
原因は大方標的が人の形をしてるので擬似的に人間を殺すと思い込んでしまっだろう。

「おい、なんだよアレ。」

地上ではヘタレでも戦闘ではクールなエイラの戸惑い。
妙だ、シャーリーはともかくこの北欧のエースは冬戦争からの超ベテランが戸惑うとは。

私は改めて目標を視界に入れる。
米粒ほどの大きさだったネウロイは今や細部まではっきり見える大きさだ。
4つ、人の形をした人類の敵。どれも全体的に黒く、金属質のボディと蠢動する赤い肉質・・・・・は?

「ねえ・・・シャーリー、アレはもしかして。」
「言うな、ルッキーニ!!」

人型ネウロイが4体、それはそれで予想外だがまだいい。
問題は明らかにブリタニアのウィッチ所属のカーキ色の制服と蠢く赤い肉片がネウロイの黒と混ざっている点。

「ウィッチの、死体を・・・利用している。」

エイラが代表して皆の考えを言った。
考えてみれば<原作>では洗脳なんて手段で人を乗っ取るの芸当ができたならば、死体を利用するのも可笑しくない。
命名はネウロイならぬネクロモーフとつけるべきか?

「・・・こちらバルクホルンだ。
 皆、アレを見て言いたいは私も全力で同意だ。」

アレらは39年に出会ったのではない。
能力も未知、どんなことをしてくるか不明。
断定できるのはともかく厳しい戦いになるということ。

「だが、ここは最前線。ウィッチとして、軍人として義務を果たせ!!」

彼女たちに呼びかけるが実のとこ、自分自身に言いかける。
私でも正気を保つに限界がある。

「奴らを殺せ!!」

ここは最前線。
殺さねば殺される、それが真実。
コメント
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