視点:ミーナ
バルクホルンの部隊が敵と接触した直後レーダーが使用不能に。
続けて管制塔(時に501では司令塔とも呼ぶ)に設置してある固定電話にロンドンの司令部からの通報が入る。
曰く、哨戒艇が超低空でこの基地に向かっているネウロイを発見。ただちに迎撃せよ。
バルクホルンが向かったのは囮、本命はこの基地とは!
ミーナはネウロイの狡猾さに舌を巻くと同時に自分の判断ミスを責める。
しかし、そう落ちこむ暇はない。
格納庫にいるだろう美緒に連絡しなくては。
「美緒、いいえ。
私も出ます、先に坂本少佐は基地に残った全員を率いてただちに出撃しなさい。」
『了解した!
ところで宮藤とリーネはどうする?』
「それは・・・。」
リーネは精神的に不安定な所が残り初陣でいきなりニ階級特進(要は戦死)になるだろう。
宮藤に至っては飛行時間は10時間も達していないヒヨ子のヒヨ子、戦力としてカウントするわけにはいかない。
ゆえに結論は決まっている。
「2人は出しません、基地で待機してもらいます。」
『いや、それが。なんだ。
2人ともユニットを履いて一緒に出ようとしているんだが。』
「・・・・・・。」
ミーナは考える。
宮藤は分る、戦意の面では歴戦のウィッチ並みで初飛行にも関わらずネウロイと戦えた。
だが、リーネは違う。ここ501に来てからずっと委縮したままで、こうして進んで出撃するのは今日までなかった。
どういうことだ?
『実はな、宮藤が
「私たちが半人前なら2人合わせて一人前です!」というわけだ。はっはっはっは!』
こっちの心境でも読んだのか原因を言ってくれた。
なんか色々省力されてるがまあ、いい。主題のリーネがいい方向へ成長したのはたしかであるし。
予備兵力として運営できて戦術の幅が広がる。もしかすると使えるのかもしれない。
新たな結論をミーナは回答する。
「宮藤さん、リーネさんは予備兵力として運営します。
攻撃は私、坂本少佐、エーリカ、ペリーヌさんでします・・・サーニャさんは魔力切れだから以上の4人ね。」
大型ネウロイに4人は少しばかりきつい。
トゥルーデが居ればそれだけで済むがいない時はせめて攻撃で6人は欲しい。
でもどんなに要求しようが、ないものはない。現場の創意工夫で何とかするしかないのだ。
『ミーナ、安心しろ。
宮藤たちに頼らざる場面を作り出す毛頭はない。
ミーナがいればきっとうまくいく、今日もさっさと終わらせて見せるさ。』
ネガティブな方へ思考がそれた所で美緒のフォロー。
毎度はこんな気の利いたことはできない、鈍感ジゴロ侍の突然のフォローでミーナの胸の鼓動が早まる。
「美緒・・・。」
『む、回転数が離陸可能まで上がったか。
じゃあ先に行ってくる、ミーナも遅れるなよ!』
「え、あの、ちょ。」
やはり鈍感ジゴロ侍のままであった。
返事を聞かずに行こうとする。
『兎も角、
最近はデスクワークが多くてあれか?体重が増えて・・・。』
「馬鹿!知りませんッ!!!」
ブチッ!と力強く無線のスイッチを消す。
静けさが部屋を支配し、ミーナは今すぐ行かなくてならないのは知ってはいるが。
ため息と愚痴を零さずにはいられなかった。
「これだから、扶桑の魔女は・・・。」
叶わぬ想いと振り回される自分にミーナはため息をついた。