どうも、久々の憑依弓塚さつきだ。
いや、本当にすごかった…。
DEENのfateもそれはそれで楽しんだし、
セイバーと衛宮士郎とのイチャイチャにはニヤニヤと出来たから。
でも、流石uftable。
戦闘シーンといい、背景といい実に精巧だ。
一体何人のアニメスタッフの睡眠時間を犠牲にしたのか分からないけど……。
「次は士郎の出番ね…あれ、士郎は?」
引き続き2話を鑑賞しようと思ったが、
遠坂さんが衛視さんの名を呼ぶがいない。
ボクも振り返り喫茶店の中を見渡すが赤毛の青年はどこにもいない。
可笑しいな、さっきまでその辺で寝ていたはずだけど。
「あの…姉さん、何か手紙がありますよ?」
「手紙……?げ、これって、まさか…」
皆で頭を傾げるが、衛宮さんの行方に関するヒントは直ぐに出た。
桜さんが妙に古風な手紙を見つけ、遠坂さんが嫌悪感を表情に浮かべる。
…なんだろう、凄く嫌な予感がする。
「あ、それ聖堂教会の事務報告用の手紙ですね」
シエル先輩がカレーライスを頬張りつつ言った。
……それって、衛宮さんを浚った犯人って。
「一体何が…こ、これは!!?」
「また、何かあったのっ……!!」
「先輩……え?」
そして、手紙を開けて絶句し、石になるヒロイン3人。
一体その手紙には何が書かれているのやら……どれどれ?
雑談にうつつを抜かした駄目ヒロインへ。
カレンルートが解禁されるまで、衛宮士郎を永久租借します。
……う、うわー。
煽る、煽る、煽りおる。
公式で明言はしていないけどあの父にして子あり、と言った所か?
む、それに2枚目か?
……写真か、あ、これは…。
追伸:駄犬に責任を取らすので結婚式は言峰教会で行います、ぜひ来て下さい。
なんて素敵な言葉が綴られると同時に、
写真には花嫁姿の銀髪金眼の少女カレンが、
白のタキシード姿の衛宮士郎に寄り添う姿が写っていた。
新郎と花嫁の年が少々低いが、
純朴そうな赤毛の青年に銀髪一見ミステリアスな外見をした銀髪美少女。
その組み合わせは奇妙ながらも、婚姻衣装で着飾った2人の行く末に妄想を膨らませるには十分であった。
…タキシード姿の赤毛の青年が手足、さらに口を封じられているのを除けば。
なんかベットの上だし、カレンが衛宮さんの太ももに手を伸ばしているし、エロイな。
で、だ。
どう見ても幸せな結婚式の記念写真です、本当に(以下略)。
そして、この次にFate勢のヒロイン達が移す行動は言わなくても分かる。
ぶちん、ぶちん、ぶちん。
「ふ、ふふふふふふ」
「あは、あはははは」
「クスクスクス、せんぱーい」
魔力を噴出させブリテンの覇王の王気全開のセイバーさん。
腕の魔術刻印を光らせ、米神に青筋を立てて笑う遠坂さん。
そして、全身に影を纏い、顔を下に向けて嘲笑する桜さん、もとい黒桜。
ああ、全力で関わりたくない。
そして渦中の衛宮士郎は……うん、生きろ。
カレンの元から奪還されても、この調子だと八つ当たりの対象になるしない。
「さて、どうしてくれようかしら……って、
まだ続きがある…あ、これ貴女たちの方のだわ、弓塚さん」
「え?」
喧嘩上等オーラを背負った遠坂さんであったが、
どうやらボクの方、ボク達がらみの内容らしい。
あーーうん。
すっごい、すっごい嫌な予感がする。
こうしたイベントが大好きな割烹着とか割烹着の影がちらつく。
どうせ琥珀さんが銀髪シスターが衛宮さんを拉致ったように、
拉致監禁、そしてヒロインに挑発でもしているだろうな……どれどれ。
シキをエルトナムの婿とします。
実に素っ気無い一言。
付随する写真には先と同じく花嫁姿の紫髪の少女が、
恥じらいつつも学生服の黒髪の青年、志貴に膝枕をしていた。
愛らしいというより学者のような理知的な面影が強い少女であるが、
今の少女はまさに恋する乙女、否、恋する乙女そのものであった。
……え゛
「ってシオン!!?」
どう見てもシオン。
シオン・エルトナム・アトラシアじゃないか!!
あ、あの子は一体何をしているんだ!?
あれか?ボクの記憶とか読んだせいか?
あるいは、そこまでしてゴールドヒロインに成りたいのか?
委員長キャラで真面目一直線だけど、
結構思考が乙女なのは【原作】でも薄々分かっていたけど、分かっていたけど。
まさか琥珀さんじゃなくてシオンがイベントを張るなんて…。
後、なんか、指に指輪があるのですけど…シオン、まさか本気なのか?
「………妹が錬金術師には気をつけろ。
って耳が蛸になる程言っていたけど……本当に、そうね」
「ええ、まったく同意ですアルクェイド。
手段を選ばないことは承知してましたけど、ここまでやるとは…」
背後から声。
ヤバイ、すっかり忘れていたけど、
この場には月姫のメインヒロインであるアルクェイドさん、シエル先輩がいる。
2人は揃って肩越しにボクが手にしていた手紙を読んでいた、つまり…そのシオンの写真も。
「シエル、私さ、エクストラ以来暴れていないし、暴れていいよね?
後、あの錬金術師のことだから途中で障害とか妨害があるだろうし、コンビを組まない?」
「奇遇ですねアルクェイド、今の私もまた少し暴れたい気分です。
何時もなら断る所でしたが、貴女とコンビを組むのもやぶさかではありません」
「じゃあ、決定。よろしくね、シエル」
「こちらこそ、アルクェイド」
がっしり、と握手を交わす吸血鬼と代行者。
2人の口元は綻んでいるが――――眼は全然笑っていない。
あの泥棒猫を殴ッ血KiLL!!と怒りに爛々と眼を輝かせている。
シオン、そして多分八つ当たりされるであろう志貴。
すまん、この2人を止めることできない、出来るのは君達の骨を拾ってあげることだけだ…。
「ねえ、貴女たちも朴念仁を奪われた口でしょ?
どうせ行き先は同じみたいだし、一緒に行動しない?」
「あ、同じなんだ。いいよー」
「同じく賛成です」
さらに遠坂さんの連合提案。
その申し込みに2人はあっさりと承諾した。
かくしてここに魔術師、ラスボス、英霊、真祖、代行者の連合が結成された。
……うーむ、相対する相手は骨どころか灰すら残らないような面子だな。
「で、さっちんも行くよね?」
「あ、いや、その、だな」
なんて考えていたけど、アルクェイドさんから話し掛けられたー!?
ボ、ボクとしてはシオンは自分から喧嘩を売ったからいいけど、うん。
寝ている姿をニコニコ動画でアップしやがった恨みとかあるし。
翻って、完全にとばっちりな志貴のために参加を辞退したいところだが、
「い・く・よ・ね」
「イエス・マイ・マスター」
だが、すまん。
志貴、真祖が眼を金色に輝かせて睨んでくる中で断る言葉なんていえない。
「話しは済んだようね、さあ、行くわよみんな!!」
怒りの炎を背負った遠坂さんの掛け声にヒロイン勢は無言でうなずいだ。
言葉は要らない、一斉に立ち上がり其々の得物を手にして出発しようとしたが、
「ふっふっふっふー。だがその前に私達を倒すのだな!」
背後から楽しげな声。
思わず全員振り返る。
というか、誰だこの声は?
普段は耳にしないけど、どこかで聞いたことがあるような?
「久しぶりだな、あかいあくま!!。
ブラウニーを奪還したければ先にわたし達を倒すのだな!
あかいあくまを倒せと私のガイアが囁く、カレイド・ブラック、ここに参上!」
何かの戦隊ヒーロー物のポーズをとった、
褐色肌で和服の似合う日本美人さんがそこにいた。
あかいあくま…?遠坂さんを知っている人か?
いや、この人はそうだ。遠坂さんとはいわゆる悪友関係である蒔寺楓さんだ。
うん、確かに和服が似合う美人さんだ。
中々凛々しい顔立ちをしているし、体型も体育会系なのかスリムで羨ましい。
…パンツ見えそうな位短く、色合い的にも派手な改造和服を着用している魔法少女コスをしているのを除けば。
「えっと、カレイド・ブラウンです。ど、どうか宜しくお願いします」
次は普通に挨拶をされた。
あ、どうも此方こそ宜しくお願いします。
先と違い栗毛の愛らしい少女は、陸上部の三枝由紀香さんだな。
今日は由紀香リリィでなくカレイドスタイルで行くつもりですか?
「恋愛相談と人間観察は魔法少女の仕事、カレイド・シルバーここに」
痛ったい服装だが、クールな口調を崩さず銀髪眼鏡の少女。
こちらは氷室鐘さんだな、たしか人間観察が趣味らしいけど、
カレイドなステッキの洗脳が解けた後の自分に果たしてどんな評価を下すのだろうか?
「魔法少女といえばツインテールだ!
萌豚よツインテールを崇めよ、カレイド・グリーン、爆・誕!」
4人目は緑のツインテールの少女だ。
緑を基調にやはりカレイドな魔法少女姿であった。
ただしポーズがその、某北斗の腕を空に突き上げるポーズなのは如何なものか。
萌え豚兼ツインテールキャラの先輩の助言として、もっと萌え豚に媚びて…げふん、げふん。
で、隣でケータイ電話が浮いているけど、魔法少女のマスコットキャラのつもりか?
何で吸血鬼の気配がするのやら……ああ、アルクェイドさんが前に言っていた南京錠の吸血鬼だなあれは。
だとすれば彼女は「まほうつかいの箱」の桂木千鍵さんだ、間違いない。
「魔法少女は愛と勇気の物語、カレイド・オレンジ。みんなーよろしくーー!」
そして、その隣で向日葵のような笑顔を振りまく少女は、日比乃ひびきさんだ。
一見普通の女子高生だが、その正体は月姫で言うところセブン、俗にななこの愛称で親しまれている者と同じ。
つまり人間ではなく、死徒二十七祖コーバック・アルカトラスが生み出した聖典「トライテン」だ。
同じ聖典のななことは偶にマスターへの愚痴を聞いてあげる仲だけど、彼女と気が合いそうだ。
そして、彼女、さらに例のケータイさんとは色々面白い事が聞けそうだ。
「「「「「5人揃ってカレイド戦隊、ここに登場!」」」」」
掛け声と同時に戦隊ヒーロー物のお約束的な感じで背後で爆発した。
5人は揃って魔法少女姿で、これ以上ないドヤ顔で各々がキメポーズを決めていた。
……あ、あいたたたたたたた。
痛い、痛い、痛い、痛い、見ている側の心が痛い。
こんな姿を遠坂さんはされたのか…確かにこれは精神的にキツイ。
アルクェイドさんやシエル先輩はあまりの痛々しさに天を仰ぎ見ているし、
セイバーさんや桜さんも俯いたり、顔を背けたりしている。
ふと、カレイドな魔法少女では先輩格の遠坂さんはどうだろうか、と彼女を見る。
「―――――――」
彼女は操られている知り合いたちを見て、
ただ無表情で道化を演じる彼女達を無表情で見ていた。
哀れみといった感情もなく、ただただ痛々しい姿を見つめていた。
「――――笑い飛ばしてあげる。悪い夢はここで終わりよ、みんな」
凜ルートバッドエンドを彷彿させる台詞を口にした遠坂さんが宝石を手にして呟いた。
――――ああ、その通りだ。
遠坂さんの言う通り、ここで楽にしてあげるのがせめての慈悲なのだろう。
そうだ、悪い夢はここで終わりにしよう、彼女達のためにも終わらせよう。
「さて、新たな魔法少女の仲間は遠坂の野郎は兎も角、
間桐は腹黒だから魔法少女的に合わないし、そうだなマジカル☆さつきをデビューさせ…」
よし、全力で殺ろう!