現代社会で悪役令嬢をするのはちょっと大変
大友の姫巫女を筆頭に数々の名作を執筆された北部九州在住さんの新作です。
すっかり定番となった悪役令嬢ネタですが今度は歴史ネタでもファンタジーネタでもなく舞台は現代と、
その他の悪役令嬢ネタと差別化を図った珍しいお話です。
しかも、
『90年代のバブル崩壊を契機とした史実日本の経済的な没落をどう止めるのか?』
というまさかの現代日本を舞台とした内政ネタ。
歴史改変ネタありますがここ20~30年の改変はみたことがなく大変興味深いです。
また短くも「なるほど」と頷きたくなるようなネタがあり現代日本の経済の勉強にもなります。
ぜひ見てください。
「という訳で、鮎河自動車の救済について意見を聞きたいんだが、
何か良い意見はあるかな?小さな女王様?」
渕上総理。
貴方は一介の小学生に何をお尋ねになられているのでしょうか?
「金を出してもあっこは救えませんよ」
鮎河自動車は日本二位の自動車生産を誇り、
『技術の鮎河』とその名前を轟かせていたが販売不振とバブル崩壊時の過剰投資で有利子負債が二兆円近くに達していた。
自動車産業は裾野が広く雇用の観点からもこの鮎河の経営危機を放置する訳にも行かず、通産省が音頭を取って救済に乗り出していた所だった。
「理由は?」
「再建までのグランドデザインを書ける人間が居ません。
私がやっている物流企業の救済は基本小学生でも分かることで、
新鮮な食料品という良い商品をお客様の所に届ける。これのみです。
自動車の場合、工芸品で、それに詳しい人間が関わらないと、良い商品が作れません」
その前にバブルの過剰投資でできた負債処理とかがあるのだが、話がそれるので言わないでおく。
一国の総理なのだから、そのあたりは把握しているだろう。
「技術の鮎河なのに?」
「総理。
企業にとって良い商品とお客様にとって良い商品は違うのです」
21世紀の日本企業はこれに失敗した所が多い。
その為か、日本企業の稼ぎは製品ではなく部品や製造機械を始めとした中間財産業にシフトしてゆくのだが、
自動車は数少ない日本が競争力を持った完成品産業だった。
だからこそ、助けられるのならばという所で渕上総理と私の意見は一致している。
すでに「総理大臣から小学生が相談を受けている」というシュール極まりない構図がww
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