一期一会
その人を見たとき、そこだけ一瞬春風が通り過ぎたような気がした
駅のホームのエレベーター
真っ白で少しパーマっけのあるショートヘア、シルバーグレーの薄手のダウンにパステルカラーのスカーフ
その手には可愛い花柄のステッキ
考えるより先に口が動いてた
「杖があるとやっぱり楽ですか?」
股関節の手術をした友達から、杖をつくことをすすめられていて、そのせいだと思うのだけれど・・・
「楽ですよ、私両ひざとも手術をしていてね、なくても歩けるんだけど、安心のためにね」
と、笑顔でこたえてくださった
電車を待つ間、そして乗ってからは二人並んでシルバーシートに
初めて会って、なまえも知らない二人なのに
30分あまりずっとオシャベリをして・・・
若い頃ご主人と心斎橋で喫茶店をされていたこと、子供さんがなくて、ご主人も亡くなられ
今は一人暮らしだということ
手術をされてから、こけると自力では立てなくなったお話
82歳だというその方は、一人暮らしの気楽さや辛さ
人の心のうつろいやすさや、あたたかさ
今の私にとって、本当に参考になるようないろいろなことを
問わず語りに話してくださって・・・
見た目もこんな風に歳を重ねられたらなあ~と思うようなとってもチャーミングなおばあちゃま
(というにはあまりにも若く見えたけど)
でも、この言葉が一番のヒット
「寂しいとか言いながら家の中にいても何もかわらないでしょ。時々こうしてお友達と京都で待ち合わせてお食事したりおしゃべりしたり。
それにお出かけすると、今日みたいにあなたのような人に出逢ってお話することもできるしね」
これからの生きる道を教えていただいたようなきがした
先に降車した私が
「足お大事になさってくださいね」というと
「あなたもね、無理をしてはだめよ」と
春一番の贈り物