絵じゃないかおじさん

言いたい放題、自由きまま、気楽など・・・
ピカ輪世代です。
(傘;傘;)←かさかさ、しわしわ、よれよれまーくです。

仮想はてな・ストーリィ 「万葉おおみわ異聞」 20/20

2014-11-05 09:51:41 | 仮想はてな物語 
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                絵じゃないかおじさんグループ




 白蛇さん、麻糸でぐるぐる巻きされている。

 ???????????????????

 四郎太さん、あなたは、白蛇だったの。
 わかった。
 すべてが分かったわ。

「四郎太さん、
 白蛇さん、
 どちらでもいい。
 私には同じ人ですもの。
 あなたが分かってきたわ。
 あげる。
 すべてをあげる。
 終わったら、そっと私を噛んでね」

{雪香、許しておくれ}

「いいの、そんなこと、もうどうでもいいの。し あ わ せ よ」

{ありがとう}

 これが、あなたなのね。あなた。

(雪香、暖ったかい)

 ステキ。
 最高に幸せよ。
 私はあなたの為に生まれてきたの。
 あなたに抱かれて、もうこれ以上のものは何もいらない。

(ゆきか・・・)

 私の心はあなただけのもの。
 私はあなたしか知らない。
 あなたの居ない世界なんてないの。

(たった一人の心を奪われた、可愛いお前。
 人間であったなら、もっと幸せにしてやれたのに・・・
 ただ心を結べたことだけが慰めだ)


 淡い夜霧ごもりの黒き蒼天に滲む天の河原には、
 二つ星がきらきらと輝いていました。

 その日を境にして、雪香も白蛇も、
 人々の前から姿を消してしまったそうです。
 村の人たちは、雪香は神隠しにあったのだなどとと、
 噂をしていましたのですが、
 75日も過ぎますと、もう雪香のことは忘れてしまって、
 何も言わなくなってしまいました。



 その年の、年の瀬の大掃除の時のことでした。
 神杉の根元の空洞の中で、
 うす桃色に染まった、
 三重の美しい輪になった、
 白い蛇の脱け殻が見つかったそうです。



 その時以来、村の人々は、その神社をみわ様と
 呼ぶようになったと言うことです。
 それは、三つの輪になった白い蛇の脱け殻からとも、
 その美しい輪を指しているとも言われております。



                            おわり




仮想はてな・ストーリィ 「万葉おおみわ異聞」 19/20

2014-11-05 09:50:53 | Num川柳 


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 そう言えば、あの人の衣は色あせ少し破れてて薄かった。
 いつかまだらの衣を織って贈ってあげよう。

 まだ糸車が回っている。
 途中で切れはしないかしら。
 誰かが、足を引っ掛けて切ったりしないかしら。
 長さは、これで足りるかしら。
 心配すればキリがない。
 しかし、そうなったとしても、あの人が居なくなるわけでは
 ないのだから、いいわね。

 (今日は疲れた。
  身体が重い。
  どうしたんだろう。
  季節のせいだろうか?
  眠りたい・・・)

 やっぱり、気になる。
 糸車も止まった。
 よかった。
 長さが足りて。
 ご飯など、もう要らないわ。

 さあ、手染めの薄草色の麻糸をたぐりよせて、
 後を追って行ってみよう。

 あの人ったら、道などあまり歩かないのね。
 田んぼでも畑でも、何処でも真っすぐ歩いてゆくのね。
 山の中ばかり歩いているから、そうなったのかしら。
 あの人らしい。

 あれ!

 大神様の神社の中に入ってゆくわ。
 神杉さまの方に続いている。
 こんな方角にあったのおかしな人。
 いつも私が通っていたのに、教えてくれてもいいんじゃない。

 おかしいわ。神杉の前で切れている・・・

 ああっ!!

 あれは!

                              つづく




仮想はてな・ストーリィ 「万葉おおみわ異聞」 18/20

2014-11-05 09:50:02 | 仮想はてな物語 

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 そうだわ。
 もっと確実な方法、思いついた。
 今度あの人が来たら、上衣に麻糸を縫い付けておこう。
 その後を辿れば、きっとあの人のお家がわかるわ。
 そうしたら、夜こっそりあの人のお部屋を訪ねていって、
 驚かしてあげよう。
 いつもあの人ばかりに来てもらって悪いから。


 あの人、どんな顔するかしら。


 (もう夜が明けるのか?
  このままずっと居られたら、どんなに楽しいだろう。
  結婚して毎日この子の手料理を食べて、
  宝もののような子供が出来て。
  ささやかな暮らし。


  しかし、望むべくもない。
  さあ、神杉のねぐらに帰るとするか。
  白く生まれたお陰で、参拝者からは拝まれるし、
  神社の関係者は下にも置かないもてなしをしてくれるし、
  これでも結構忙しい生活を送っているのだ。
  毎日顔を出すと有り難みも薄れるので、頃合を計りながら、
  出ていってやらねばならない。
  それにしても、よく気も使うことよ)

 あの人が帰っていった。
 今夜もまた会えるわ。
 あの人どんな顔をするかしら。
 きっと喜んでくれるに違いないわ。
 さあ、朝ご飯を食べて、麻糸の後をつけてみよう。

                              つづく




仮想はてな・ストーリィ 「万葉おおみわ異聞」 17/20

2014-11-05 09:49:08 | 仮想はてな物語 

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 (朝鳥も鳴き始めた。
  夜の早く明けること。
  あっという間に時間が過ぎた。
  雪香と過ごす時の流れの速いこと!

  しかし、この後には長い長い虚ろな時間が打ち続くのだ。
  餌を集める蟻のように通いたいものだが)

{もう、帰るの?
 お仕事にゆく時間なのね。
 少しも寝ていないのに大丈夫?}

 手文字でお話しする。

 {昼間、山小屋で少し昼寝をするよ。
  ありがとう。
  本当にありがとう。
  少しお眠り。
  また2~3日したら来るよ。
  そうだ。
  板田の橋、壊れていたよ。
  渡る時は注意するといいよ。
  今度、仕事休みの雨の日に、直してあげる。
  玉橋にしてあげようね}

{ありがとう。優しいのね。それで、あなたは、
 どうやって来たの?}

{橋桁をね}

{無茶をするのね。
 ダメよ。
 では、気をつけてね。
 あっ、帯交換してもらってもいい?
 いいのね、うれしいわ。
 さ よ う な ら}

 なす術もない朝のお別れ。
 次にお会いするまで、元気でいてね。
 すき間から覗いていると、あの人、
 何度も何度も袖を振りながら、去っていった。
 お母さんに見られはしないかしら。
 私も、お外に飛び出していって、袖を振って見送ってあげたい。
 でも、忍ばなければね。

 もし、許されるのなら、あの人の帰ってゆく道を手繰りよせて、
 焼き尽くしてみたい、霧を立ち渡らせたい。


 四郎太さんと過ごす時間は短いわ。
 いったい、あの人何処に住んでいるのでしょう。
 お家も見てみたいわ。


 でも、いつも言葉を濁すだけ。
 私のこと、そんなには愛してくれてないのかしら。
 私は、鴨鳥や白鶴さんたちのように、
 片ときも置かず寄りそっていたいのに。


 (路の長てよ、吾を帰すな! 
  それにしても、雪香にオレ自身のことを問われても、
  本当のことは口が裂けても
  言えるものではない。
  仲は深まるばかり。
  あの子のいない世の中なんて考えられない。
  どうすればいいのだろう)


 あの人の足跡を踏みながら、後をついてゆこうとしたけれど、
 私の足では追いつかなかった。
 まだまだ若いので、露に覆われた道行でも、
 苦にはならないのだけれど、
 男の人には適わない。
 あの人いつも山歩きをしているせいかしら。
 飛ぶ鳥になりたい。
 今日は、仕方ないから、草結びのお願いで我慢したわ。


 草の根さん、ごめんなさいね。
 あの人の家、分かったら解いてあげる。
 それまで、辛抱してね。
 あなたも分かったら、あの人のこと、
 夢でいいから教えてちょうだいね。
  ・・・・・・・・



                              つづく



仮想はてな・ストーリィ 「万葉おおみわ異聞」 16/20

2014-11-05 09:48:23 | 仮想はてな物語 

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{遠 慮 し な い で 、 こ こ は あ な た の へ や よ}

 (雪香も指文字になっている。
  声を立てるわけにいかないからだろう。
  向かいあっても飽きることのない雪香よ)

{ありがとう。会いたかった}

{わ た し も}

 (雪香は糊のきいた布団に横たわった。
  オレもその左の横にゆく。
  雪香の帯を解くと、白妙の着物の下に、
  紅の小染めの下衣をつけていた。
  天窓から入ってくる清けき月の明かりに、
  雪香の白い白い膚が浮かびあがっていた。
  オレの白さとは違う暖かい白さだ。
  目が潰れそうだった)


 四郎太さん、下帯の解き方も知らない。
 やっぱり、初めてなのね、嬉しい。
 恥ずかしいわ。
 そんなに見つめないで!


 (これ以上のことは出来ない。
  雪香の裸を見るだけでもよかったのだ。
  裸のまま抱き合って口あわせ出来るなんて、
  オレはもう大満足。
  雪香のしとやかな黒髪を敷いて、一緒に寝られるだけで、
  もうこれ以上の幸せはないのだから。


  魂合わせの喜びよ。
  これが、夢に見続けていた雪香の手枕か。
  月の神よ、ゆっくり夜の空を渡って欲しい。
  それにしても、恋というものは尽くしきれないものだ)


 お母さん、私にいつも言っている。
 もう耳にタコが出来るくらい。男には気をつけよって。
 私は、四郎太さんと絶対結婚するわ。
 だから、何をしてもいいの。
 もし、結婚出来なくってもいい。
 四郎太さんと結婚できないのなら、私一生ひとりで暮らすわ。
 たった一人の、私の私だけの男の人。


 (雪香が何もかも投げ捨てて、
  オレに尽くしてくれようとしている。
  オレは、それに応えなければならない。
  幸せにしてやりたい)


 四郎太さんを感じるわ。
 乳房や脇腹で。
 もう恥ずかしくて、恥ずかしくて。
 でも、とっても幸せ。
 この幸せ、百世、八千年も続けば、いい。


                              つづく