copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
<ドン作雑文集より>
* 赤目の大山椒魚(055)
その日は紀伊半島からの帰りであった。
42号から368号に入った。
途中で166号につながっていたのだが、
そのまま368号を進んだ。
166号の方が道幅も広く、
楽に家に帰れるのだろうが、
通った事の無い道を走ってしまう性分が出てしまう。
血が騒いだとでも呼べばいいのだろうか?
それにまた帰りの道すじにある
赤目で夕景色も見てみたかった。
季節は梅雨が開けてまもなくの頃であった。
思わぬ山道で
赤目への進入ポイントに着いた時には、
あたりはもう薄暗くなっていた。
屏風岩が不気味につっ立って、
脅しをかけてくるようだった。
私は、その姿を見るといつも背筋が寒くなってくる。
異様に威圧感を持って迫ってくる山でる。
その横を、これまたいつも通り目を伏せて走り抜ける。
山の形が恐くてたまらない。
まもなく人家は無くなり暗い山道が続いた。
真っすぐ進めば、交通量の多い165号に抜けられるから
道に迷う心配はないのだが、山道を進んだ。
これも走りの業なのだろう。
何となく心細い。
キャンプにはまだ少し時期が早いので、
人は居ないはずなのだが、
バイクのSサヤカは中々話しかけてはくれない。
1km以内に人家でもあるのだろうか。
道が曲がりくねっているため、
ヘッドライトがあまり役に立たないので、
ゆっくりと進んでいった。
かなり深く進んだ時、突然、
{オッさん、誰かいじめられてるっ!}
サヤカが叫んだ。
ギクリ!
何のことかよく解らなかった。
{何だい、急に!}
{誰かが苛められているわ。
それもただの苛められ方ではありません。
あれは今にも殺されそうよ。
オッさん、ちょっと待ってね。
テレパシー通信で話しかけてみるから}
サヤカの通信の結果が気になる。
かといって、手抜き運転をすれば、崖から転げ落ちそうだ。
昼間の暑さに比べると、
ずっと走りやすいのだが、
暗いときている。
夏場の走りは早朝が相応しい。
それ以外は、あまりいただけない。
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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
<ドン作雑文集より>
* 赤目の大山椒魚(055)
その日は紀伊半島からの帰りであった。
42号から368号に入った。
途中で166号につながっていたのだが、
そのまま368号を進んだ。
166号の方が道幅も広く、
楽に家に帰れるのだろうが、
通った事の無い道を走ってしまう性分が出てしまう。
血が騒いだとでも呼べばいいのだろうか?
それにまた帰りの道すじにある
赤目で夕景色も見てみたかった。
季節は梅雨が開けてまもなくの頃であった。
思わぬ山道で
赤目への進入ポイントに着いた時には、
あたりはもう薄暗くなっていた。
屏風岩が不気味につっ立って、
脅しをかけてくるようだった。
私は、その姿を見るといつも背筋が寒くなってくる。
異様に威圧感を持って迫ってくる山でる。
その横を、これまたいつも通り目を伏せて走り抜ける。
山の形が恐くてたまらない。
まもなく人家は無くなり暗い山道が続いた。
真っすぐ進めば、交通量の多い165号に抜けられるから
道に迷う心配はないのだが、山道を進んだ。
これも走りの業なのだろう。
何となく心細い。
キャンプにはまだ少し時期が早いので、
人は居ないはずなのだが、
バイクのSサヤカは中々話しかけてはくれない。
1km以内に人家でもあるのだろうか。
道が曲がりくねっているため、
ヘッドライトがあまり役に立たないので、
ゆっくりと進んでいった。
かなり深く進んだ時、突然、
{オッさん、誰かいじめられてるっ!}
サヤカが叫んだ。
ギクリ!
何のことかよく解らなかった。
{何だい、急に!}
{誰かが苛められているわ。
それもただの苛められ方ではありません。
あれは今にも殺されそうよ。
オッさん、ちょっと待ってね。
テレパシー通信で話しかけてみるから}
サヤカの通信の結果が気になる。
かといって、手抜き運転をすれば、崖から転げ落ちそうだ。
昼間の暑さに比べると、
ずっと走りやすいのだが、
暗いときている。
夏場の走りは早朝が相応しい。
それ以外は、あまりいただけない。
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