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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
平成はじめのころです。
* 新益京鬼門で花咲かオッさん(029)
今日は6時起きした。
そう、昨日紀伊半島で取ってきた桜の小枝を
(新益京鬼門あたりの自宅の)庭の桜に飾るためだ。
天気はあまりいいとは言えないが、雨の降る心配はなさそうだ。
あまり寒くもない。
クーラーの中の桜の花がどうなっているか気になるので、
そっと開けてみた。
ショボン。
花びらはシワシワになっていて元気がない。
しかし、よく見てみると莟がうっすらと
開きかけているものもある。
これはもうやるしかない。
こっそりと脚立を出し桜の木の傍にセットする。
こちらの方はまだまだ咲きそうにもない。
瞬間接着剤で小枝をくっつけようとした。
あ! 全然、役に立たない。しまった!!
どうしよう!
水で濡れている上に表面が凸凹なのでくっつかないのだ。
ボンドなどを使っていたら日が暮れそうだ。
あーあ、あさはか!
しばらく考えてもっと原始的な方法を思いついた。
糸で縛ることだ。
もともと、私には美的感覚などないものだから、
それは見事な桜の木が、出来上がってしまった。
Oさんは、少しは喜んでくれるかな?
8時過ぎ、Oさんはいつもの日曜日通り起きてきた。
普段の日は家族の世話で6時には起きている。
「たまにはゆっくり寝てみたいわ」
これが、Oさんの朝の口癖である。
「桜が咲いてるよ」
「嘘! 昨日はそんな気配もなかったわよ。どこに?」
ウィヒヒ!
「どこどこ」と言いながら庭に出て行った。
すぐに、すごい剣幕で帰って来て戸を閉めるなり、
「あんな馬鹿なことしたの、あなたでしょ!!
いい年して何やっているの!!!」
私の頭は、予想外の反応に狂ってしまった。
どう対応していいかわからない。
ちょっとは喜んでくれると思っていたのに、
こんなことになるとは、夢にも思っていなかったのだ。
Oさんは次から次へとスカッド・ミサイル並みの、
言の葉を投げつけてくる。
彼女の言い分はこうだ。
桜は放っておいても咲く。
それなのに、私がけったいな桜の小枝を
括りつけたものだから、
元の木の莟まで、痛めつけてしまった。
その上、見かけもよくない。
そんなアホなことする暇があったら、
お湯のひとつも沸かしておきなさい、
というようなものであった。
もっともだと思う。
しかし、私にしても、もっとましな桜の花になる予定だった。
花咲かじいさんのように活きのいい花びらが満開になって、
Oさんが、「綺麗ね」と一言いってくれると思い込んでいたのだ。
現実は、厳しーいっ。
朝から反対にOさんを怒らせてしまった。
「ちゃんと、元通りにしておきなさいよっ!」
ああ、こちらは迎撃用・パトリオットミサイルを
打ち返す元気もない。
花開け ささやかながらの マイホーム
ローンは味方か はたまた敵か
ち ふ
この項おわり