12月11日9時。
岡山に本社を持つ会社の入社案内DVDの粗編集試写を行なった。
以前から何度もこのブログにも登場したネタですが、
とうとう粗編まで来ました。
「粗編集」とは第一回目編集品で、完成品に近いが、
文字や映像、ナレーションをスポンサーにチェックしてもらうために
編集したものだ。今はパソコンで編集できる(エディウス)ので
粗編集品といえど、かなり本作に近い。
昔は時間単価4万円の編集スタジオで編集するため、
その前に簡易編集(粗編集)したものを確認いただき、
極力編集スタジオ使用料を削減するのが目的で、
スポンサーもその事をよく理解していたのでかなり綿密に粗編集試写に挑んだ。
ナレーションも同様で1人あたり4~5万円するし、
録音スタジオ使用料も時間単価2~3万円するので、
安易に取り直しはできない。
従ってナレーションは監督か助監督が代読して粗編集品に入れて
スポンサーにチェックをもらう。
今はパソコン編集なので時間単価ではなく、
日単価になるほど安価になったため、
スポンサーも作り手も粗編集試写がルーズになっている。
私は今でも粗編集試写を厳格に行っているので、
間違っても録音後に手直しなど有り得ない。
(入社案内の取材より)
さて9月からスタートした撮影は、11月まで時期狙いで5日間行ない、
クランクアップ後、私自身が推敲を重ねて
自ら約1週間ミッチリかけて編集した。
クランクイン前から「いいモノができますよ」と
スポンサーにもスタッフにも断言していたので、
下手を打つと私は狼少年になる。
当社営業担当の森田などは「そこまで言って本当に大丈夫ですか?」と、
ハナから社長の言葉を信じていない。
しかし長年の経験と感で「いいモノになる」確信と自信はあったので、
「いいモノができます」と言わざるを得なかった。
こうして11日、初めてスポンサーに見ていただく。
写真素材を頂かなければならないところは、映像が入っていなかったり、
仮ナレーションが私の声で入っていたりと未完成だが、
オープニングなどCGなどのパーツも完成させて挿入しているので、
思いは十分伝わる。この粗編集試写で合格点をいただければ、
後は歯ヌケの素材をはめ込み、ナレーションを入れ、音楽をつけてと、
良くなる一方通行、チョーホットになる。
朝6時40分に助監督・川村をピックアップして、岡山に向け車を走らせる。
途中川村と運転を交代して晴天の岡山に入った。
特に仕上がりに不安はなかったが、ただひとつ気がかりなのは、
最近ポータブルDVDデッキの調子が悪く、
試写中に誤作動しないかと不安になっていた。
機材に泣かされたのは、30年強の映像人生で枚挙に暇がない。
フィルム時代は寒さでモーターが動かなかったり、
ホコリが入ってキズになったり…ビデオになってからは電気式だけに、
フィルム以上にトラブルに泣かされた。
チャンと点検・整備・確認はしているのに、なぜか肝心な時にトラブる。
しかしそのたびに、スタッフの知恵と技術で何とか撮影してきた。
今ではその時に比べ機材は安定し、トラブルも殆どない。
だからスタッフは削減されるのだが、同時に知恵と工夫も削減され、
現場は監督とカメラマンに委ねられている。
寂しいというより悲しい。挙げ句の果てに「誰でもできる」と断言され、
価格を値切られた日にゃ悲しさを通り越し、虚しさしか残らない。
機材のコンパクト化と高精度・高機能化、さらにインターネットの登場で、
私達PR映像業界の斜陽化は急速に進んだ。
がしかし、テレビの登場で映画は斜陽産業になったが、今ではV字回復し、
逆にインターネットの登場でテレビが斜陽産業となっている。
便利や安価に勝る情熱と、
映像だからこそ伝わるモノとは何かをしっかり理解すれば、活路は必ずある。
我々PR作品に関わる作り手は、今踏ん張らねばならないのだ。
岡山までの道中、そんなことを考えながら助監督・川村の運転する横で
朝日で眩しい車窓から流れる田畑を見ながら私は黄昏ていた。
(カメラ前にススキをなめて風景を取るも編集ではカットした。
整理とは捨てることとカミサンにも言いたい)
9時半、中国クボタの会議室には主だった幹部が揃った。
幹部だけでなく本社事務所にいる殆どの方が見ることになった。20人はいる。
自分の会社がどのように撮られたのか、
期待と不安と野次馬根性が入り混じって、
まるでワールドプロレスのリングサイドと化している。
これはヤバい。これは誠にヤバい。
野次馬に万一意見を振ろうものなら、あらぬ方向に舟は進んでしまう。
企画をひっくり返す意見が出ることもある。
こういう場合はただただ「忍」の一文字。
ただニコニコと意見が出尽くすのを待てばいい。
下手に反論した日にゃ木っ端微塵ですから…
意見が出尽くした頃、さすがに会長
「まぁこれ位にしとこう。狙いと関係ないことまで言い出すと纏まらんから!」
シブい!苦労人は映像については素人でも、
映像は感情を伝える道具であり一点突破型がもっともインパクトがあること、
そして物作りの完成するまでの長旅を感覚的に理解されている。さすがである。
結局意見を言う人の大半は「言いっぱ」で責任は取らない。
責任を取るのはこの入社案内DVDの企画責任者の企画部・荒木氏だ。
あ~良かった、荒木氏のみの事前試写をしといて!
荒木氏はどんな意見が出てもニコニコして聞いている。
事前試写で私と会話して予備知識があるのと、
若くして販売会社経営陣に揉まれてきたので、腹の座わり方が半端じゃない。
訳の分からない意見や場違いな意見の谷間で
A部長「わかりやすくて良いんじゃない」
そうです!わかりやすいんですって!
B部長「監督のナレーションで十分いけるね。
これに音楽つければ良いんじゃない」
ありがとうございます。でもプロにナレーションは任せます。
私は出たがりの監督ではありません。
C部長「出てるお客様が年齢のいってる人ばかりだね。
若いお客様はいなかったの?」
そうなんです。農家の高齢化は、皆さんが直面している大問題ですものね。
こうして約1時間におよぶ大試写会は、結局一カ所の修正もなく終わった。
ちょっと瀬がなかったと言えば贅沢だが内容的には良かったのだと見た。
後は良くなるばかりだ。15日にすべて完了する。
岡山に本社を持つ会社の入社案内DVDの粗編集試写を行なった。
以前から何度もこのブログにも登場したネタですが、
とうとう粗編まで来ました。
「粗編集」とは第一回目編集品で、完成品に近いが、
文字や映像、ナレーションをスポンサーにチェックしてもらうために
編集したものだ。今はパソコンで編集できる(エディウス)ので
粗編集品といえど、かなり本作に近い。
昔は時間単価4万円の編集スタジオで編集するため、
その前に簡易編集(粗編集)したものを確認いただき、
極力編集スタジオ使用料を削減するのが目的で、
スポンサーもその事をよく理解していたのでかなり綿密に粗編集試写に挑んだ。
ナレーションも同様で1人あたり4~5万円するし、
録音スタジオ使用料も時間単価2~3万円するので、
安易に取り直しはできない。
従ってナレーションは監督か助監督が代読して粗編集品に入れて
スポンサーにチェックをもらう。
今はパソコン編集なので時間単価ではなく、
日単価になるほど安価になったため、
スポンサーも作り手も粗編集試写がルーズになっている。
私は今でも粗編集試写を厳格に行っているので、
間違っても録音後に手直しなど有り得ない。
(入社案内の取材より)
さて9月からスタートした撮影は、11月まで時期狙いで5日間行ない、
クランクアップ後、私自身が推敲を重ねて
自ら約1週間ミッチリかけて編集した。
クランクイン前から「いいモノができますよ」と
スポンサーにもスタッフにも断言していたので、
下手を打つと私は狼少年になる。
当社営業担当の森田などは「そこまで言って本当に大丈夫ですか?」と、
ハナから社長の言葉を信じていない。
しかし長年の経験と感で「いいモノになる」確信と自信はあったので、
「いいモノができます」と言わざるを得なかった。
こうして11日、初めてスポンサーに見ていただく。
写真素材を頂かなければならないところは、映像が入っていなかったり、
仮ナレーションが私の声で入っていたりと未完成だが、
オープニングなどCGなどのパーツも完成させて挿入しているので、
思いは十分伝わる。この粗編集試写で合格点をいただければ、
後は歯ヌケの素材をはめ込み、ナレーションを入れ、音楽をつけてと、
良くなる一方通行、チョーホットになる。
朝6時40分に助監督・川村をピックアップして、岡山に向け車を走らせる。
途中川村と運転を交代して晴天の岡山に入った。
特に仕上がりに不安はなかったが、ただひとつ気がかりなのは、
最近ポータブルDVDデッキの調子が悪く、
試写中に誤作動しないかと不安になっていた。
機材に泣かされたのは、30年強の映像人生で枚挙に暇がない。
フィルム時代は寒さでモーターが動かなかったり、
ホコリが入ってキズになったり…ビデオになってからは電気式だけに、
フィルム以上にトラブルに泣かされた。
チャンと点検・整備・確認はしているのに、なぜか肝心な時にトラブる。
しかしそのたびに、スタッフの知恵と技術で何とか撮影してきた。
今ではその時に比べ機材は安定し、トラブルも殆どない。
だからスタッフは削減されるのだが、同時に知恵と工夫も削減され、
現場は監督とカメラマンに委ねられている。
寂しいというより悲しい。挙げ句の果てに「誰でもできる」と断言され、
価格を値切られた日にゃ悲しさを通り越し、虚しさしか残らない。
機材のコンパクト化と高精度・高機能化、さらにインターネットの登場で、
私達PR映像業界の斜陽化は急速に進んだ。
がしかし、テレビの登場で映画は斜陽産業になったが、今ではV字回復し、
逆にインターネットの登場でテレビが斜陽産業となっている。
便利や安価に勝る情熱と、
映像だからこそ伝わるモノとは何かをしっかり理解すれば、活路は必ずある。
我々PR作品に関わる作り手は、今踏ん張らねばならないのだ。
岡山までの道中、そんなことを考えながら助監督・川村の運転する横で
朝日で眩しい車窓から流れる田畑を見ながら私は黄昏ていた。
(カメラ前にススキをなめて風景を取るも編集ではカットした。
整理とは捨てることとカミサンにも言いたい)
9時半、中国クボタの会議室には主だった幹部が揃った。
幹部だけでなく本社事務所にいる殆どの方が見ることになった。20人はいる。
自分の会社がどのように撮られたのか、
期待と不安と野次馬根性が入り混じって、
まるでワールドプロレスのリングサイドと化している。
これはヤバい。これは誠にヤバい。
野次馬に万一意見を振ろうものなら、あらぬ方向に舟は進んでしまう。
企画をひっくり返す意見が出ることもある。
こういう場合はただただ「忍」の一文字。
ただニコニコと意見が出尽くすのを待てばいい。
下手に反論した日にゃ木っ端微塵ですから…
意見が出尽くした頃、さすがに会長
「まぁこれ位にしとこう。狙いと関係ないことまで言い出すと纏まらんから!」
シブい!苦労人は映像については素人でも、
映像は感情を伝える道具であり一点突破型がもっともインパクトがあること、
そして物作りの完成するまでの長旅を感覚的に理解されている。さすがである。
結局意見を言う人の大半は「言いっぱ」で責任は取らない。
責任を取るのはこの入社案内DVDの企画責任者の企画部・荒木氏だ。
あ~良かった、荒木氏のみの事前試写をしといて!
荒木氏はどんな意見が出てもニコニコして聞いている。
事前試写で私と会話して予備知識があるのと、
若くして販売会社経営陣に揉まれてきたので、腹の座わり方が半端じゃない。
訳の分からない意見や場違いな意見の谷間で
A部長「わかりやすくて良いんじゃない」
そうです!わかりやすいんですって!
B部長「監督のナレーションで十分いけるね。
これに音楽つければ良いんじゃない」
ありがとうございます。でもプロにナレーションは任せます。
私は出たがりの監督ではありません。
C部長「出てるお客様が年齢のいってる人ばかりだね。
若いお客様はいなかったの?」
そうなんです。農家の高齢化は、皆さんが直面している大問題ですものね。
こうして約1時間におよぶ大試写会は、結局一カ所の修正もなく終わった。
ちょっと瀬がなかったと言えば贅沢だが内容的には良かったのだと見た。
後は良くなるばかりだ。15日にすべて完了する。
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