不純な色味を削ぎ落した夏の空
肩の力を緩める冷気の凋滅が嬉しい
眩い陽光に目をしばたたせながら秘かな歓声を上げ
人も草も鳥も虫も 慚愧も 恨みつらみも 慟哭も
つかの間 忘れてページをめくる
足元にひれ伏す時空の物語り
終わりのはじめをもがき彷徨ううちに
由縁なく目撃者になってしまった月の憔悴が痛々しい
過剰な熱の放射は耐えたが
掠め取られた日常の行方は不明
言葉なく押し黙ったままの無窮の球体を見上げ
あけぼの色のフラワームーンも流星群も視野に入れたが
此処に生き合わせた宿痾に戸惑って震えていた
まだ閉じてはいけない時の扉
湧きかえる渦に身を委ねても
夢見る術は忘れない
まだ私にできる事があるならば
取り返しの効かぬ生きた時を探そうよ月よ
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