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The Matrix (1999)
マトリックスの世界観を独特のものにしている大きなポイントとして、世界は実は「仮想現実」であり、目に見えるのものがすべて見たとおりだとは限らないというテーマ、つまり私たちのこの世界はすべて夢なのだという逆説的設定があります。マトリックスでは主人公を含めた登場人物は、脳に直結したシステムによって意識のみが仮想世界に生きていました。脳に直接与えられる仮想の情報は、実際に外部から得る情報を何ら変りは無く、すべての情報は脳内で現実と認識され、現実に生きることと変りない生活を送っていました。また、彼らは仮想現実の中で見る夢の中で、現実の”培養液”に漬かってすべての生命機能を機械によってコントロールされている自分たちの本当の感覚を感じることがある、という皮肉な設定です。実際は夢が現実であり現実だと思っている世界が夢であることを知らずに。
←飛んでま~す。
←直接神経とシステムを繋ぐためのポート。技術的にはとっくにコードレスだろうけど。
←つぎはぎ具合がいいThe Nebuchadnezzar船内。
夢の中ではどんなに突拍子の無い展開やシチュエーションでも現実だと信じてしまった経験は誰にでもあるはず。しかしながらほとんどの場合、夢の中での私たちの行動や感覚は、現実での私たちの実体験に基づいています。空を飛ぶ夢にしろ、実際に空を飛べばこういう感覚なのだ、と脳が理解していなければ(あるいはこういう感覚なのだと確信できなければ)その状況を仮想とはいえ作り出せないはずです。顔の無い人物や、味の無い食べ物の夢は、その情報の欠落からくるもの。突拍子のないシチュエーションの夢、空を飛ぶとか、巨人になって車を踏み潰す夢など、実際に経験したことの無いことを経験する夢はすべて、脳がその状況を「こうであるに違いない」との認識を持ち、今まで蓄積されてきた外部情報(実体験)を利用して仮想体験させてくれているのです。その情報処理・分析能力の高い人ほど現実感のある夢を見る。この映画の中では、その分析能力を高めて身体機能の反応速度を上げる訓練をしたりします。それは私たちが普段使っている想像力に近いものでありますが、想像力だけではなく、想像したものを実際に体験している(行っている)と自分を暗示にかける意思力も必要でしょう。
←特訓中。
←センチネル大好き。
映画では仮想の社会で暮らしていたとしても、そこで殺されれば現実の肉体も死ぬ、という設定でした。それは、私たちが見、触れ、現実に生きているこの瞬間すべてが私たちの脳を経て知覚されている訳で、仮の情報を脳に与え、もし脳がそれを正しい情報だと認識した場合、私たちの体は無意識に脳の命令に従い、つまり死に至る、と説明できます。たとえば、手ぶれのひどいビデオ映像を見た場合、その映像が私たちの脳に現実だと思い込ませるのに十分な条件(画面の大きさ、周囲の暗さ、そして個人の脳の情報処理能力にも左右されます)がそろった場合、脳は実際に体がぐらぐら揺れているのだと認識し、人によっては目から入ってくる情報と、実際の身体状況が違うために気分が悪くなったり目眩がしたりしてしまうのです。この場合もちろん、ビデオを見ているだけであることを頭では理解しています。しかし状況によっては理性より偽の外部情報(この場合は視覚)が優先されてしまったのです。マトリックスでの設定は、外部刺激に変る情報(脳が現実であると信じるに足りる情報)が死に至るに十分であった場合、その実際の肉体の生命機能を止めてしまう可能性を示唆しています。脳が現実であると信じるに足りる情報、ということは、以前に同じあるいは非常に近い経験をしていることが重要かもしれませんし、さらに個人の情報分析能力で著しく変るはずです。たとえば、自分は不死身であると信じている人物をマトリックスの仮想世界で殺すことは難しい。問題は精神に異常がない状態で自分は死なない、と信じられるかどうか。精神力以上に自分の脳の分析能力をもコントロールする能力が必要でしょう。ネオが他の登場人物と違うのはこの点だったのではないでしょうか。
生まれてから一度も現実に体験したことの無い情報のみで、仮想空間内とはいえ普通に生活していくことが出来るのか。この疑問に関して映画では、矛盾が出た場合は「プログラムの修正」が行われる設定になっています。全ての感情はメインコンピュータによって管理され、矛盾は修正され、何事も無かったように関連データすべての調整が行われる。でも端末パーツである人間の一部の過去の記憶が抜けてしまっていたり、不必要な記憶が残ってしまってそれが不具合を引き起こしたり。現実のプログラム修正と同じですね。日本のアニメや最近のSF小説からのアイデアを得、エンターテイメントとして、そしてSFとして職人芸と呼べるマトリックス・ワールドを構築したウォーショースキー兄弟。「ブレードランナー」に匹敵するマスターピースであり、ありきたりの様でも今まで無かった、他の映画の追随を許さない完璧なSF映画。奥深さは小説並みの水準を持っていると思います。
マトリックスの世界観を独特のものにしている大きなポイントとして、世界は実は「仮想現実」であり、目に見えるのものがすべて見たとおりだとは限らないというテーマ、つまり私たちのこの世界はすべて夢なのだという逆説的設定があります。マトリックスでは主人公を含めた登場人物は、脳に直結したシステムによって意識のみが仮想世界に生きていました。脳に直接与えられる仮想の情報は、実際に外部から得る情報を何ら変りは無く、すべての情報は脳内で現実と認識され、現実に生きることと変りない生活を送っていました。また、彼らは仮想現実の中で見る夢の中で、現実の”培養液”に漬かってすべての生命機能を機械によってコントロールされている自分たちの本当の感覚を感じることがある、という皮肉な設定です。実際は夢が現実であり現実だと思っている世界が夢であることを知らずに。
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夢の中ではどんなに突拍子の無い展開やシチュエーションでも現実だと信じてしまった経験は誰にでもあるはず。しかしながらほとんどの場合、夢の中での私たちの行動や感覚は、現実での私たちの実体験に基づいています。空を飛ぶ夢にしろ、実際に空を飛べばこういう感覚なのだ、と脳が理解していなければ(あるいはこういう感覚なのだと確信できなければ)その状況を仮想とはいえ作り出せないはずです。顔の無い人物や、味の無い食べ物の夢は、その情報の欠落からくるもの。突拍子のないシチュエーションの夢、空を飛ぶとか、巨人になって車を踏み潰す夢など、実際に経験したことの無いことを経験する夢はすべて、脳がその状況を「こうであるに違いない」との認識を持ち、今まで蓄積されてきた外部情報(実体験)を利用して仮想体験させてくれているのです。その情報処理・分析能力の高い人ほど現実感のある夢を見る。この映画の中では、その分析能力を高めて身体機能の反応速度を上げる訓練をしたりします。それは私たちが普段使っている想像力に近いものでありますが、想像力だけではなく、想像したものを実際に体験している(行っている)と自分を暗示にかける意思力も必要でしょう。
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映画では仮想の社会で暮らしていたとしても、そこで殺されれば現実の肉体も死ぬ、という設定でした。それは、私たちが見、触れ、現実に生きているこの瞬間すべてが私たちの脳を経て知覚されている訳で、仮の情報を脳に与え、もし脳がそれを正しい情報だと認識した場合、私たちの体は無意識に脳の命令に従い、つまり死に至る、と説明できます。たとえば、手ぶれのひどいビデオ映像を見た場合、その映像が私たちの脳に現実だと思い込ませるのに十分な条件(画面の大きさ、周囲の暗さ、そして個人の脳の情報処理能力にも左右されます)がそろった場合、脳は実際に体がぐらぐら揺れているのだと認識し、人によっては目から入ってくる情報と、実際の身体状況が違うために気分が悪くなったり目眩がしたりしてしまうのです。この場合もちろん、ビデオを見ているだけであることを頭では理解しています。しかし状況によっては理性より偽の外部情報(この場合は視覚)が優先されてしまったのです。マトリックスでの設定は、外部刺激に変る情報(脳が現実であると信じるに足りる情報)が死に至るに十分であった場合、その実際の肉体の生命機能を止めてしまう可能性を示唆しています。脳が現実であると信じるに足りる情報、ということは、以前に同じあるいは非常に近い経験をしていることが重要かもしれませんし、さらに個人の情報分析能力で著しく変るはずです。たとえば、自分は不死身であると信じている人物をマトリックスの仮想世界で殺すことは難しい。問題は精神に異常がない状態で自分は死なない、と信じられるかどうか。精神力以上に自分の脳の分析能力をもコントロールする能力が必要でしょう。ネオが他の登場人物と違うのはこの点だったのではないでしょうか。
生まれてから一度も現実に体験したことの無い情報のみで、仮想空間内とはいえ普通に生活していくことが出来るのか。この疑問に関して映画では、矛盾が出た場合は「プログラムの修正」が行われる設定になっています。全ての感情はメインコンピュータによって管理され、矛盾は修正され、何事も無かったように関連データすべての調整が行われる。でも端末パーツである人間の一部の過去の記憶が抜けてしまっていたり、不必要な記憶が残ってしまってそれが不具合を引き起こしたり。現実のプログラム修正と同じですね。日本のアニメや最近のSF小説からのアイデアを得、エンターテイメントとして、そしてSFとして職人芸と呼べるマトリックス・ワールドを構築したウォーショースキー兄弟。「ブレードランナー」に匹敵するマスターピースであり、ありきたりの様でも今まで無かった、他の映画の追随を許さない完璧なSF映画。奥深さは小説並みの水準を持っていると思います。
『マトリックス』を馬鹿にしている人、難しいと言う人達に見てもらいたいです。
いつも丁寧な文に惚れ惚れしちゃいますvV
これからも頑張ってください☆
分かりやすいといっていただいて嬉しいです!自分ではなんだか分かりにくいなああ、って思っていましたから。あまり難しく考えなくても楽しめる映画なのですが、大好きなので一部を掘り下げてみた訳なのですが・・・タイトル長過ぎだったかも(笑)。
それでは、これからもよろしくお願いいたします。
この作品は確かにアメリカのSF映画の歴史に残る名作だと思います。
記事からも溢れんばかりの愛情を感じました(笑)
こちらからもTBさせていただきますね^^
>この作品は確かにアメリカのSF映画の歴史に残る名作だと思います。
そうなんです。名作です~名作過ぎて困ります~2、3は要らない。この作品だけでいいんですけど。
この記事は頭が冴えていたときに書いたので、いま読むと良く分からん・・・(爆)。髭ダルマLOVEさまは分かったのでせうか?!
TBありがとうございます!
すべてのナゾは解けました。
「マトリックス」はptdしゃまが書いたんですよね??
絶対そう!!
こんな完璧な説明ないですよ。
「マトリックス」の世界観を完璧に理解してますよね。
どーか、教えてください!
ptdしゃまは「マトリックス」の原案・脚本を書いたんですよね?
もうだまされませんよ!
天才っすよ!
ptdしゃまはさ!!
>どーか、教えてください!
>ptdしゃまは「マトリックス」の原案・脚本を書いたんですよね?
ええ?そうなんですか?私が書いたんですかね?
知らなかった・・・
ああ、そういえばなんだかウォーショースキー兄弟に頼まれて案を出したような気がする・・
私が脚本を書いた事は、秘密にしておいてくださいね。