Beowulf&Grendel(2005)
中世英国で書かれた叙事詩を元にした英雄ベオウルフと怪物グレンデルの戦いを、壮大なアイスランドの風景と、手の込んだ衣装、そして現代にも通じる戦いの辛い真実をストーリーの軸として作成された中世ファンタジー。アイスランドの監督による、カナダ・アイスランド・UK共同製作。主演は今が旬の男、ジェラルド・バトラー。
←時代物衣装のジェラルド・バトラー。
まだ世界が魔法と怪物に満ちていた中世、デンマークのデーン一族の王 Hrothgar(Stellan Skarsgrd)はトロールのグレンデル(Ingvar Eggert Sigurosson)に部下を惨殺され、苦しめられていました。それを助けるために呼ばれたのは王の友人であり、勇者であるベオウルフ(ジェラルド・バトラー)。彼は部下を連れ、王のもとへ参上します。しかし、怪物グレンデルは姿を表さず、ベオウルフと戦おうとしません。グレンデルが襲うのは武装したデーン族だけである事を知った彼は、村の魔女サルマ(サラ・ポーリィ)から、グレンデルはデーン族では無いベオウルフと戦うつもりが無い事を聞かされ、王に真実を問いただします。王はかつて、「行く手を横切ったから」という理由で、幼いグレンデルを連れたグレンデルの父を残殺していたのでした。「ただの怪物では無いか、殺して何処が悪い?」しかし彼らトロールには感情も愛情もあり、グレンデルは父親の復讐のためにデーン族を襲っていたのです。それを知り、戦いたく無いベオウルフでしたが、部下がグレンデルの父の遺骨を冒涜した事から、グレンデルはベオウルフ達を襲います。
←幼いグレンデルを連れたグレンデルの父。
時代物衣装のジェラルド・バトラーはさすがに豪華。そして随分なまっています。(私の購入したUK版は英語字幕が無いので、なかなか聞き取り難しいです。)アイスランドの壮大な風景は、一見の価値有り。風がびゅんびゅん吹きまくり、寒そうですが、氷の海を行くシーンや、草原のシーン、とにかく広く美しい。また、ジェラルド・バトラーの鎧だけで無く王妃の衣装や、他の戦士の正装もとても美しく手が込んで作成されています。
←アイスランドの壮大な風景。
この映画、ジェラルド・バトラー主演であるに関わらず日本公開はされていませんが、それも当然かも知れません。実際には中世ファンタジーというより、ファンタジーの形を借りた戦争や人種、種族間の争い、憎しみの連鎖といった現代に通じる重いテーマの物語。見終わったあとかなり気分が沈みます。誤解して欲しく無いのはこの映画が決して駄作ではないと言う事です。気分の沈み具合は、「ビフォー・ザ・レイン」や、「赤いコーリャン」といった戦争映画に共通する物です。殺せば、その家族が復讐をする。そして復讐された者の家族がまた復讐する。その復讐の連鎖を誰が止める事ができるのでしょうか。あるいは、誰が裁くことができるのでしょうか。私達にそもそも彼らを裁く資格があるのかどうか。現在に至るまで延々とくり返されて来たこの重いテーマと「怪物だから、言葉も通じない異人種だから殺してもいい」という論理は、テロの報復の連鎖や、劣った人種だからといって人々を惨殺したナチスや旧日本軍の史実を思い出させます。罪も無いのに無惨に殺された父の仇を打ちたいだけのグレンデル、怪物だから殺しても構わないと思っているデーンの王。彼らの意識は平行線を辿り、決して許しあえる状況にはなりません。王はカソリックに改教しますが、それでもなにも変わりません。ベオウルフはグレンデルの遺体のそばの、小さな体に不釣り合いな剣を構えたグレンデルの息子を認めると構えていた剣を捨てます。それはもうこれ以上、殺し合いをしたく無いという彼の意思表示でした。勇者ベオウルフは最後にグレンデルの墓を立て、その前で祈ります。重いテーマを中世神話ファンタジーの形を借りこの監督が訴えたかったのは、憎しみを乗り越えるのは宗教でも力でもなく「許し」であるということなのではないでしょうか。可能なら多くの人に見て頂きたい作品です。
中世英国で書かれた叙事詩を元にした英雄ベオウルフと怪物グレンデルの戦いを、壮大なアイスランドの風景と、手の込んだ衣装、そして現代にも通じる戦いの辛い真実をストーリーの軸として作成された中世ファンタジー。アイスランドの監督による、カナダ・アイスランド・UK共同製作。主演は今が旬の男、ジェラルド・バトラー。
←時代物衣装のジェラルド・バトラー。
まだ世界が魔法と怪物に満ちていた中世、デンマークのデーン一族の王 Hrothgar(Stellan Skarsgrd)はトロールのグレンデル(Ingvar Eggert Sigurosson)に部下を惨殺され、苦しめられていました。それを助けるために呼ばれたのは王の友人であり、勇者であるベオウルフ(ジェラルド・バトラー)。彼は部下を連れ、王のもとへ参上します。しかし、怪物グレンデルは姿を表さず、ベオウルフと戦おうとしません。グレンデルが襲うのは武装したデーン族だけである事を知った彼は、村の魔女サルマ(サラ・ポーリィ)から、グレンデルはデーン族では無いベオウルフと戦うつもりが無い事を聞かされ、王に真実を問いただします。王はかつて、「行く手を横切ったから」という理由で、幼いグレンデルを連れたグレンデルの父を残殺していたのでした。「ただの怪物では無いか、殺して何処が悪い?」しかし彼らトロールには感情も愛情もあり、グレンデルは父親の復讐のためにデーン族を襲っていたのです。それを知り、戦いたく無いベオウルフでしたが、部下がグレンデルの父の遺骨を冒涜した事から、グレンデルはベオウルフ達を襲います。
←幼いグレンデルを連れたグレンデルの父。
時代物衣装のジェラルド・バトラーはさすがに豪華。そして随分なまっています。(私の購入したUK版は英語字幕が無いので、なかなか聞き取り難しいです。)アイスランドの壮大な風景は、一見の価値有り。風がびゅんびゅん吹きまくり、寒そうですが、氷の海を行くシーンや、草原のシーン、とにかく広く美しい。また、ジェラルド・バトラーの鎧だけで無く王妃の衣装や、他の戦士の正装もとても美しく手が込んで作成されています。
←アイスランドの壮大な風景。
この映画、ジェラルド・バトラー主演であるに関わらず日本公開はされていませんが、それも当然かも知れません。実際には中世ファンタジーというより、ファンタジーの形を借りた戦争や人種、種族間の争い、憎しみの連鎖といった現代に通じる重いテーマの物語。見終わったあとかなり気分が沈みます。誤解して欲しく無いのはこの映画が決して駄作ではないと言う事です。気分の沈み具合は、「ビフォー・ザ・レイン」や、「赤いコーリャン」といった戦争映画に共通する物です。殺せば、その家族が復讐をする。そして復讐された者の家族がまた復讐する。その復讐の連鎖を誰が止める事ができるのでしょうか。あるいは、誰が裁くことができるのでしょうか。私達にそもそも彼らを裁く資格があるのかどうか。現在に至るまで延々とくり返されて来たこの重いテーマと「怪物だから、言葉も通じない異人種だから殺してもいい」という論理は、テロの報復の連鎖や、劣った人種だからといって人々を惨殺したナチスや旧日本軍の史実を思い出させます。罪も無いのに無惨に殺された父の仇を打ちたいだけのグレンデル、怪物だから殺しても構わないと思っているデーンの王。彼らの意識は平行線を辿り、決して許しあえる状況にはなりません。王はカソリックに改教しますが、それでもなにも変わりません。ベオウルフはグレンデルの遺体のそばの、小さな体に不釣り合いな剣を構えたグレンデルの息子を認めると構えていた剣を捨てます。それはもうこれ以上、殺し合いをしたく無いという彼の意思表示でした。勇者ベオウルフは最後にグレンデルの墓を立て、その前で祈ります。重いテーマを中世神話ファンタジーの形を借りこの監督が訴えたかったのは、憎しみを乗り越えるのは宗教でも力でもなく「許し」であるということなのではないでしょうか。可能なら多くの人に見て頂きたい作品です。
これはまた知らないファンタジー系の作品ですね。
レビューを読んでいるとかなり重そうなストーリーですが、これは一度観ておかねばならない作品のようです。
それにしてもカット、カットが壮大なスケールと美しさを感じさせるシーンとなっていますね。
>これはまた知らないファンタジー系の作品
私は他の方のブログでこの作品を知りました。ジャケット見て見たくなりまして・・・指輪物語とか好きな人は「おおっ!」って思いますよね。テーマは重いですが、美しい風景と(本当に壮大ですね)、ヨーロッパらしい重厚な(舞台俳優かも、アイスランドの俳優さんは)趣の有るファンタジー映画です。こういう映画は始めて見ました。
もしかすると、バトラーファンの方が多いので、日本でもDVDが出るかもしれませんね。
ワタシ、ジェリーのファンなんですが(好きな俳優が沢山いるんですの。。。)、ワタシpointdpoさんのように英語が出来ないので、日本でのDVD発売を首を長くして待っているのでございます。
同じくジェリーのアッテイラ@USを買ったのですがね~ちんぷんかんぷんでございます(涙)。内容がわかんなきゃ姿だけ見てろと友達に言われたけれど、やっぱり映画は内容がわからんと、好きな俳優が出ていても無理ですわ、ワタシには。
ワタシもブログでは書いてないんですが、不思議体験しているんでなんとなく親近感がわいたりして。。。
それとpointdpoさんがかなりのこだわりを持った方だと知りました。
語学堪能なのもうらやましい限りでございます~。
これからも楽しい記事をどんどん…というかマイペースで(?)アップしてくださいませ~。
楽しみにしてますです。
やっと復活しました…。胃痛もちのpointdpoさんも気をつけてくだされよ…今回の胃腸風邪はきつすぎるですじゃ…ばたり。
暴力の連鎖を断ち切るには、どこかで誰かが許す勇気を持たないといけない…。難しいですが、これしか今世界中にはびこる憎しみをなくす方法はないでしょうね。
復活そうそうこんな寒いところへお尋ねいただきありがとうございます。暖かいのみものでもお出ししたいのですが、生憎執事のパートリッジが出払っておりまして・・・(殴)
胃腸風邪は、私も何年か前にかかりましたが、あれは凄いです。凄すぎて、回復したら反対に御祓でもしたかのように意識が冴えた記憶があります。要するに断食と同じ理屈だったのでしょうか?体のなかのもの全て出てしまうわけですからね~でも小さい子供には本当につらいでしょうね。「もう死ぬかと思った~」と言ったら、友人に「風邪くらいじゃ死なない」といわれてむっとしましたね、そういえば。一度経験してみろおまえ~って。
この映画はきっと豆酢さんも気に入ると思います。万人受けはしませんが、ファンタジーでありながら考えさせられる映画です。というか、あえてファンタジーの形にしたのかな、と思います。機会がありましたらぜひご覧ください。
dimさまもジュリーじゃない(古!)、ジェリー好きでしたか。彼のファン多いですねぇ。私はまだ大好き~ってところまでいっていないのです。ちょっと私にはハンサムすぎる?!ジェラルド違いでマイケミのジェラルド君にはべた惚れですが(殴)・・・でもこの映画の彼は素敵ですね。きっと日本版、出ると思います。ファンの方が運動しているそうですね。
>同じくジェリーのアッテイラ@USを買ったのですがね~
>ちんぷんかんぷんでございます(涙)。
私も間違えて韓国版ドイツ映画を購入してちんぷんかんぷんで泣いたことがあります。やっぱりせめて字幕はほしいですよね。私の英語は自己流ですので、あてになりません。なにしろ教科書はモンティ・パイソンですから・・・へんなボキャブラリなら任せて!
>本日pointdpoさんのブログ、片っ端から読ませていただきました。
>不思議体験しているんでなんとなく親近感がわいたりして。。。
うひ^~^恥ずかしいです。あんなページやこんな記事、全部書き直したいよ~。「不思議体験」ってあの記事ですね?あれはこのブログを始めるきっかけとなったページです。カミングアウトしたくなるのですね、ああいう体験は。(2度とごめんですが)現在、あのページを残しておくべきかどうかは疑問に思うところですが・・
>pointdpoさんがかなりのこだわりを持った方だと知りました。
こだわりというより偏屈&頑固ということですよ~職業柄、見た目にはうるさいです。dimさんはブログから想像しましとおおらかな方かな~。
それでは、これに懲りずにこれからもよろしくおねがいいたします!