Peter and the Wolf(2006)
2007年アカデミー賞「最優秀ショート・アニメ部門」で優勝したこの「ピーターと狼」。ポーランド・英国・ノルウェー共同製作の、人形を使ったストップモーション・ショートアニメ。「ピーターと狼」のお話を元に、プロコフの同名の交響曲と見事に調和した台詞の無い32分のアニメです。
人形とは思えない恨めしげな表情なのよ。
ロシアの小さな町の外れにおじいさんと住む少年ピーター。家と森とは高い塀に隔てられ、ピーターは森へ行くことを許されていませんでした。ある日おじいさんから鍵を盗んで、ペットのアヒルと飛べないカササギを連れ森へ行くのですが、おじいさんに見つかり連れ戻されます。森に取り残されたアヒルとカササギに近づく狼・・・
主人公のピーターは、ここでは町外れのぼろ家に住む低所得者層の少年として描かれています。町の子供たちの仲間にも入れず、友人はアヒルだけ。台詞は無いのですが、少年の感情を人形の表情で表現し、動物たちもピーターと同じ様に生き生きとしています。ストーリーは童話と同じく残酷でそれでいて納得する結末。
どちらかというと、いじめられてる少年。
じいちゃんと。
映画はロンドン・フィルハーモニー交響楽団の生演奏付きで公開されるなど、クラシック音楽とアニメのコラボレーションが評判になったそうですが、それだけでなく32分の中に表現されるストーリーの完成度と人形の印影に富む表情は見れば納得の最優秀賞。アメリカ、UkのiTunesのストアでは売っていますので、ハイクオリティのプレビューを見る事が出来ます。
ピーターの顔は人形らしさを残しつつ人間のそれに近い、滑らかな質感の独特の表情です。アヒルとカササギ(マグパイと呼ばれる、ヨーロッパでは鴉並みに普通に見る鳥です)の動きは特に注目して欲しい部分で、鳥好きの私も納得のリアルさ。実写に3DCGや特殊効果も加えていますが、背景や風景のごく自然な効果に徹しています。
飛べないカササギ。可愛いんですよ~~~!胴体の紐は気にしない様に。
ロイヤル・アルバート・ホールで行われたロンドン・フィルハーモニー交響楽団生演奏付きプレミアの30秒CM。
監督は英国人のSuzie Templeton。彼女の作品"Dog"(2000) 、"Stanley"(2002)を見ると、人形を使った数分のストップモーション・アニメとはいえダークでブラックな良質の短編小説の様。ストーリーが優秀なのです。彼女の作る人形たちは共通して暗く、恨めしげな表情をしています。特に彼女の出世作のショートアニメ"Dog"(2000)は強烈でした。台詞は多くないのですが、字幕が無いのである程度英語がわからないと落ちがわからないと思います。ネタバレになってもいい人は下記のストーリー説明を参照ください。
"Dog"(2000)
ベットの少年に父が言う
「ママは、安らかに苦しまないで逝ったよ。お前はもう寝る時間だ」
ある日少年の犬は発作を起こし、具合が悪くなる。
少年はベッドで寝返りを打つ。
壁の染みに向かって「ママ・・・」と呟く少年。
父は獣医を呼ぼうとするが、外は暴風雨・・・
父は苦しそうな犬を見、自分で犬を窒息死させる。
朝父は少年に言う
「あいつは安らかに苦しまずに逝ったよ」
少年は呟く
「ママと同じ様に?」
怖いです。この父親は母親を殺した、そう思わせる雰囲気なんです。人形じゃなくて普通の映画でもかなり怖いです。「ピーターと狼」はここまでブラックでは無いのですが、残酷さ、哀しさみたいな部分が共通しています。
"Stanley"(2002)キャベツに恋した男の悲劇・・・ブラックで笑える人形アニメ。
2007年アカデミー賞「最優秀ショート・アニメ部門」で優勝したこの「ピーターと狼」。ポーランド・英国・ノルウェー共同製作の、人形を使ったストップモーション・ショートアニメ。「ピーターと狼」のお話を元に、プロコフの同名の交響曲と見事に調和した台詞の無い32分のアニメです。
人形とは思えない恨めしげな表情なのよ。
ロシアの小さな町の外れにおじいさんと住む少年ピーター。家と森とは高い塀に隔てられ、ピーターは森へ行くことを許されていませんでした。ある日おじいさんから鍵を盗んで、ペットのアヒルと飛べないカササギを連れ森へ行くのですが、おじいさんに見つかり連れ戻されます。森に取り残されたアヒルとカササギに近づく狼・・・
主人公のピーターは、ここでは町外れのぼろ家に住む低所得者層の少年として描かれています。町の子供たちの仲間にも入れず、友人はアヒルだけ。台詞は無いのですが、少年の感情を人形の表情で表現し、動物たちもピーターと同じ様に生き生きとしています。ストーリーは童話と同じく残酷でそれでいて納得する結末。
どちらかというと、いじめられてる少年。
じいちゃんと。
映画はロンドン・フィルハーモニー交響楽団の生演奏付きで公開されるなど、クラシック音楽とアニメのコラボレーションが評判になったそうですが、それだけでなく32分の中に表現されるストーリーの完成度と人形の印影に富む表情は見れば納得の最優秀賞。アメリカ、UkのiTunesのストアでは売っていますので、ハイクオリティのプレビューを見る事が出来ます。
ピーターの顔は人形らしさを残しつつ人間のそれに近い、滑らかな質感の独特の表情です。アヒルとカササギ(マグパイと呼ばれる、ヨーロッパでは鴉並みに普通に見る鳥です)の動きは特に注目して欲しい部分で、鳥好きの私も納得のリアルさ。実写に3DCGや特殊効果も加えていますが、背景や風景のごく自然な効果に徹しています。
飛べないカササギ。可愛いんですよ~~~!胴体の紐は気にしない様に。
ロイヤル・アルバート・ホールで行われたロンドン・フィルハーモニー交響楽団生演奏付きプレミアの30秒CM。
監督は英国人のSuzie Templeton。彼女の作品"Dog"(2000) 、"Stanley"(2002)を見ると、人形を使った数分のストップモーション・アニメとはいえダークでブラックな良質の短編小説の様。ストーリーが優秀なのです。彼女の作る人形たちは共通して暗く、恨めしげな表情をしています。特に彼女の出世作のショートアニメ"Dog"(2000)は強烈でした。台詞は多くないのですが、字幕が無いのである程度英語がわからないと落ちがわからないと思います。ネタバレになってもいい人は下記のストーリー説明を参照ください。
"Dog"(2000)
ベットの少年に父が言う
「ママは、安らかに苦しまないで逝ったよ。お前はもう寝る時間だ」
ある日少年の犬は発作を起こし、具合が悪くなる。
少年はベッドで寝返りを打つ。
壁の染みに向かって「ママ・・・」と呟く少年。
父は獣医を呼ぼうとするが、外は暴風雨・・・
父は苦しそうな犬を見、自分で犬を窒息死させる。
朝父は少年に言う
「あいつは安らかに苦しまずに逝ったよ」
少年は呟く
「ママと同じ様に?」
怖いです。この父親は母親を殺した、そう思わせる雰囲気なんです。人形じゃなくて普通の映画でもかなり怖いです。「ピーターと狼」はここまでブラックでは無いのですが、残酷さ、哀しさみたいな部分が共通しています。
"Stanley"(2002)キャベツに恋した男の悲劇・・・ブラックで笑える人形アニメ。
表情だけでなく、まばたきや涙などが丁寧に作られていて。
キャベツは斬新だ!
こんな記事にコメントいただけるのはありがたいです~!
このスージーさんは、人形の表情を含め、撮り方や構図がとっても上手です。キャベツの短編も、全然可愛くない人形なのに短編映画を見ているような上手さですね。
現在アカデミー賞短編アニメ・ノミネート作品を制覇するべく邁進中・・・この作品が一番だと思いますけど。
人形でしょうか?アニメの様にも見えますね。
ティムバートンのアニメを思い出しました。
youtubeでは全部見れないんでしょうか。
残念。
子供向けでもあるのですが、独特の世界を持っているアニメです。
仰る通り「おや3Dアニメ?」って思うところもあるのですが、非常に上手く実写と組み合わされていて実のところ3Dなんだかどうか判らないほどです。
実は大変お金かかったアニメなんですよね・・・
youtubeでは予告しか見れませんね。
ではでは。