後期高齢者は秘境を目指す：カールじいさんの空飛ぶ家(2010)

Up(2010)

WALL.EやTOY STORYのPIXAR新作３Dアニメーション。愛妻に先立たれ、思い出のある我が家から老人ホームに移らなくてはならなくなった頑固爺さんのカールは、得意のヘリウム風船で我が家を浮かし、憧れの南アメリカの秘境へ・・・そう、あなたも思ってたでしょ、なんだそりゃ、ぜんぜん面白そうじゃないって。お世辞にも爺さんは可愛くないし。風船はいかにも子供っぽいし。てなわけで私もかなり迷ってた・・・が、やはりPIXAR、大人の鑑賞に堪えられる、それどころか見終わった後、誰かに感想を伝えたくなるような秀作でした。ゴールデングローブを取ったのは不思議ではない。

ストーリーはカールじいさんが南アフリカの目的地に到着してから面白く、鳥が可愛い・・鳥の雛も可愛い・・・犬も可愛い！・・・犬の心理をよーく分かった映画です。PIXARの脇役は何でいつも皆、一つ残らず愛らしくて魅力的なんでしょうか？日本の「子供向け感動アニメ」のように説教くささや狙った可愛さが無く、みな個性的で生き生きしているのです。３Dで見ると動物たちの立体感や毛並みのリアルなこと・・・もともと３Dに適したアニメーションのPIXARだけど、空中のシーンほど３Dに最適な絵はないですね。高所恐怖症の人は絶対、背筋が寒くなるから注意！
そうそう、涙もろい人は多分かなり泣きます。


絵を見てもどうってことなさそうなんだけど、3D凄いのよ

PIXARの映画の主人公はいつも孤立し、不器用で、頑固で、決して美しくない。しかし窮地に陥ると、友人のためならそれが勝ち目がないことが分かっていてもベストを尽くす。そこに私たちは共感し、感動するんだろうな・・・フリーク賛歌だったんだね、PIXARは。