俺は社長だ！－２

１０万ペソ。日本円で２０万円。価値観からすれば２００万円くらいかも。開店早々１０万ペソ。この分で行けば、１５０万ペソから２００万ペソは堅いな？帰国の飛行機内で眠りもせずに狸算が始まった。１５０万ペソとして年間１８００万ペソ。しかも税金の関係ない金。大きく胸が膨らんだ。
日本へ帰国後一週間ほど経過したとき、現地妻から電話が。カラオケ店が摘発された。ポンビキは警察に連行され拘留中。任せなさい警察官はミンダナオ島へ帰省中。オヤジ殿が帰国後、任せなさい警察官は突然帰省してしまった。ポンビキのみが店舗の管理。そこへ無許可営業の容疑で警察官が急襲、ＧＲＯ全員、ポンビキが逮捕された。オヤジ殿早急に現地マニラへ。現地妻曰く、摘発後毎日警察が其の店の前で待機している。日本人は行かないほうが良い。この言葉にオヤジ殿反対行動に出た。任せなさい警察官と連絡が取れ、一緒に其の現場へ。オヤジ殿に衝撃が走った。任せなさい警察官は全く力がない。通訳を介しポンビキの釈放に向け話し合いが行われた。ＧＲＯは摘発翌日に釈放されたが、ポンビキのみ拘留が長引いた。管轄署の担当官とも接触、話し合いが行われた。当然、任せない警察官もたえず同行した。分かったことは、任せなさい警察官は何の権力もない交通警察官。ポンビキとてホームレスの乞食当然。客が入ったのは、各店舗から引き抜いたＧＲＯの力。この事件は、引き抜かれた店が連中を告訴、この事態が起きた。居ぬきと言え、名義変更していなければ無許可営業になる。
オヤジ殿全くの目論見が狂った。現地妻もオヤジに愛想を尽かし居なくなった。ポンビキが釈放され、名義も書き換え、摘発部署の上役をバックに、再開した。ＧＲＯも合法的に雇用した。オヤジ殿、置屋で見つけた姫に再度ご執心開始。ポンビキも前の姫を何故無にしたのか。オヤジ殿曰く。「五月蝿いから」で無とのこと。
再開した店。以前とは様相が違った。客が来ない。１日の売上も僅か。しかも、午後１０時頃からは巡回と称し警察官が私服で毎晩１０名以上。当然飲み食いはタダ。挙句の果てにＧＲＯまで連れ出すようになった。毎日が赤字。日本から持ち出した金も底を付き始めた。女に腰抜けのオヤジ殿帰国することに。空港へ向かった。姫と別れイミグレーションカウンターへ。オーバースティである。２１日の滞在期間を３日ほど超過。罰金を支払い日本へ帰国した。１ヵ月後、銀行預金を引き出し一路マニラへ。空港へ付いても姫が居ない。ポンビキのみが待っていた。チェックインを終えポンビキと話をした。毎日警察官が店内で三昧。一般客も来なく、ＧＲＯも減る一方。挙句の果てに警察官から帰宅のタクシー代まで要求され、結果残ったのはポンビキが工面した高金利の借金５０万ペソ。
天高くマニラ湾の夕焼けを見ながら、ため息が。
オヤジ殿、店をたたんだ。全て整理した。手元には僅かな金が残った。
脳裏には帰国したときの奥様の鬼のような顔。

今年に入り、ご年配のオヤジ殿がマニラ近辺で企画書片手に現地のポンビキと事業の打ち合わせをされている様子を見掛けかます。其の殆どが、来比した際にホテル等の前に居るポンビキに女をあてがわれ、有頂天になった時点で、ポンビキ連中は徹底して日本人に信用されるような行動に入ります。何処へ言っても金のことでは文句を付け、支払いはしっかりと伝票を確認。これだけで「この者中々しっかりしているな」とオヤジ殿は思ってしまうのかも。２、３回来比した頃に話が出てきます。最近でこそ海老の話はなくなりました。
日本全国のオヤジ殿。何をするのも個人の勝手。でも勘違いだけはしないようにしましょう。ポンビキは警察に追われる身。其の日暮。怠け者。です。小銭を持つ日本人のオアジ殿に小判鮫のようにくっつき、剥ぎ取ることが仕事です。フィリピンでどうしても仕事をしたい方。マニラ日本人商工会議所が有ります。そこで色々と聞いてみては如何でしょうか。ラーメン屋の日本人経営者に聞いても無駄です。