「振り込め詐欺」の意外な被害者

　「お父さん、誘拐されちゃった。助けて」―。電話口から聞こえる女性の声を娘と信じ込み、要求されるがままに銀行口座に金を振り込む。そんな「振り込め詐欺」の被害に、ジョゼ・アレンカール副大統領（７８）が危うく遭うところだった。

　２５日、リオ市内の自宅に一人で居た副大統領。「娘を誘拐した。返してほしければ５万レアル用意しろ」という電話を受けた。「今すぐは用意できない」と言うと、「妻の宝石でもいい」と犯人。それもないと伝えると、「セニョールの職業は何だ？」。「副大統領だ」、「何だって？」というやりとりに。

　国家の副大統領という要人に詐欺を働こうとした兵（つわもの）は、刑務所内から無作為に電話していたよう。ちょうど妻が帰宅し、電話を切らずに娘に電話するよう指示して無事が確認でき、詐欺だと知った。

　逸話披露を嫌がる政府護衛機関を尻目に、「電話を受けたらとにかく落ち着くこと」とアドバイスする副大統領。「もう過ぎたこと」と余裕を見せるが、実は身代金を準備しようとしていたとか。