クルアーンと旧約が語る、アーダムとその妻が犯した罪の結果とは?
旧約によると、
①主はすべての動物から蛇を選んで、呪った。そのため蛇は足で移動するのではなく腹で這い、死ぬまで土を食べる。
②女性は苦痛を伴って妊娠し、出産する。
③アーダム:アーダムの行いのせいで、主は大地を呪った。アーダムは死ぬまで苦労して糧を得ながら生活する。
クルアーンに蛇は登場しない。
アーダムの妻や、彼女の妊娠、出産に関する言及は無い。
アーダムの罪が原因で大地が呪われるという言及も無い。
①アッラーが蛇を呪ったという話は、受け入れがたいことではないだろうか。もし本当に蛇が呪われたのであれば、預言者ムーサー(平安あれ)が持つ杖を、当時の魔法使いたちを絶句させるために蛇に変えるのでなく、他の動物を選んだことだろう。そして、実にアッラーは、彼の命令に背いた悪魔以外のご自身の創造物を呪わなかった。悪魔は理性と思考能力と拒否する能力を持つ、火から創られた存在であり、陸で生活する動物ではない。
②蛇は、土以外のものも食べる。冬の間は土を食べて過ごすようだが、春と夏と多くの秋の日には、野ねずみやカエルや虫を食べる。そして海中には蛇の形をした、猛毒を持つ動物がいるが、それらは腹で這って移動しないし、土を食べることも無い。
創世記3章の終わりに、神は人間を追い出し・・・とある。
ここで、アーダムとハッワーは園から大地へ追い出され、以後二人は子を設け、大地で働くようになったことが分かる。ここまでで話が終わるわけではない。間違いを犯したアーダムと主との関係は、大地に移ってからも途絶えることはなかったと、クルアーンにある。アーダムは、自分が追放されたのは、自分が罪を犯してしまったからだと気づく。楽園から、苦労の世界への追放である。そして彼は、もし自分が主を忘れてしまったら、自分は大地を耕すアッラーの代理者で居られなくなることにも気づく。
旧約に抑圧され、間違いの原因とされたハッワーがアーダムと共にアッラーに赦しを求め、罪を犯してしまったことを認める様子がクルアーンにある。
「かれら両人は言った。「主よ、わたしたちは誤ちを犯しました。もしあなたの御赦しと慈悲を御受け出来ないならば、わたしたちは必ず失敗者の仲間になってしまいます。」」(高壁章23節)
「その後、アーダムは、主から御言葉を授かり、主はかれの悔悟を許された。本当にかれは、寛大に許される慈悲深い御方であられる。」(雌牛章37節)
「その後、主はかれを選び、悔悟を赦され御導きになられた。」(ターハー章122節)