私の感じたこと

リロケーションを専業とするラビットホームズの岩崎和夫といいます。
私が日々感じたことなどを素直に本音で書き留めます。

自殺があった物件の説明義務はいつまで?

2006年09月08日 | 本音の話し
今日は夕方6時から、社団法人 東京都宅地建物取引業協会 練馬区支部の平成18年度第6回目の理事会が開催されました。

社団法人の運営規則に則り粛々と理事会は進行していきましたが、今日は質疑応答に非常に興味深くしかも真剣に対応しなければならない事例が報告されました。

最初の問題は個人情報保護法です。

練馬区支部では役員改選期に会員名簿を発行し、5年に1回の写真名鑑を発行しています。
今年はたまたま会員名簿と写真名鑑発行が同じ年度に重なり、どうするか検討された結果名簿と名鑑はその利用目的が違うということで両方発行することに決定していました。

そこで問題となったのは「個人情報保護法」です。
営利目的の会社であっても法律上は「代表者の氏名や顔写真は個人情報」ということで個人情報保護法の趣旨に乗っ取り、掲載の可否を会員に委ねる形で掲載指示を仰ぎました。

最終集計は週明けの月曜日に行いますが、今日の段階ではおよそ20%程の会員から写真掲載拒否の回答があったようです。

今日の理事会で最初にあった質問は、写真名鑑と銘打っているものを写真が歯抜けでも掲載するのか?
という質問です。

正直なところ個人情報保護法が施行されてから初めての名簿発行となり、色々な議論は行ったものの机の上での議論で、実際の反響は経験していない上での判断でした。
実際スタートしてみると種々の問題点が浮き彫りとなり、結果写真名鑑を写真無しの人も掲載するのか?写真を掲載しない会員は掲載しないのか?意見は分かれました。

事が非常にデリケートな問題だけに今後の慎重な検討が必要な出来事でした。

我々の業界だけの問題では無く、学校でも卒業アルバムが作成できなくなったり、緊急連絡網が公表できなくなったり、業界の垣根を越えた議論が必要だとつくづく感じた次第です。

次は理事会終了間際に出た質問でしたが、「自殺部屋の重要事項説明はいつまで行うべきか?」という質問でした。
判例によると8年経過後は説明しなくても告知義務責任は問われないらしいのですが、道義的にどうなのか?

弁護士に相談すると「自殺があった部屋は何年経過しても説明義務は消滅しない」ということになるようですが、法律上の解釈と世間の実情はかけ離れたものもあり非常に難しい問題です。

しかも、自殺のあった部屋・殺人事件のあった部屋・自然死でも死後暫く発見されなかった部屋などそれぞれに状況が異なっています。

マンションの場合、その部屋でではなく階数も違って部屋も別でもその棟の中で起こったことは説明しておく必要があるのか?等々問題山積みです。

ユーザー心理からしたら、「些細な情報でも全て知りたい」のは当然な話ですが、我々不動産会社からしてみると全ての情報を公開するのが良いか悪いかユーザーが買主・借主だけではなく、売主・貸主もいるだけに双方がユーザーなので判断が難しいところです。

この問題は表面に出して論議することが良いか悪いかも含め、業界全体として、出来れば監督官庁の国土交通省も含めて大いに議論すべき問題だと思っています。

私のこのブログも見ている方は一般のユーザーだけではなく、同業者の方もかなりいらっしゃると思うので、是非ともご意見や経験談をお寄せいただければと思います。

もちろん一般ユーザーの方も、不動産業界の対応について率直なご意見をいただければ幸いです。

色々な意見と解決策が出て、初めて業界側とユーザー側の意識が一致することが出来るので、このブログをご覧になった方はご意見をお寄せ下さい。
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5 コメント

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写真名鑑 (EXPO67)
2006-09-10 17:41:55
新法ができた為、発行にあたり、大変な苦労が有ろうかとお察し申し上げます。私としては写真が無い人も掲載して欲しいと思います。

五年に一回発行されるこの写真名鑑は、新会員、代表者の変更、住所移転、転業廃業等、その他、仲介業を行う上で相手業者の顔が分かり、身近な親しみを感じる事ができるので

大変重宝に利用させてもらっています。

発効にあたり、できれば業者名、代表社名のどちらかが分かれば、何ページに掲載しているかが分かるような索引を付けて頂ければ有り難いです。
返信する
Unknown (スマイルプレゼンター貴)
2006-09-10 23:22:06
こんにちは。

いつも岩崎様のブログで勉強させていただいています。



自殺物件ですが、やはりいつまで経っても説明したほうがいいと思います。

絶対に近隣住民から耳に入ると思うからです。それに勧める側の僕達業者も気持の上でかなり苦しいし、同義的な部分も大きいと思うからです。そこの家主さんや、売主さんには悪いと思いますが・・・



いかがでしょか?
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コメント有難うございます。 (岩崎和夫)
2006-09-11 10:26:29
EXPO67さん、いつもコメント有難うございます。

スマイルプレゼンター貴さん貴重なご意見有難うございます。



写真名鑑と名簿に関しては今日も午後から会議があり、しばらくの間は掲載方法などについていろいろな意見が出されることと思います。

他の支部からも名簿の発行方法に関する質問状が舞い込んできていますので、各支部共に個人情報保護法には苦労しているようです。



自殺問題は他人事ではなく、非常に大きな問題です。

事が事だけに法律上の問題だけでは解決できず、やはりしっかりした調査と両方への説明が不可欠だと思っています。



自殺だけではなく、病死で発見まで何日か経ってしまった物件、自殺でも門の外だった場合、等々いろいろなケースで扱いが変わります。

より多くの情報を集め、知識として蓄積しておくことが、いざ事が起こったときに役に立つ最善の方法かも知れません。

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Unknown (信栄不動産の竹川です。)
2006-09-12 20:47:08
 いつも拝見しております。

 さて、私は、借家暮しの生活が長かったのですが、また、霊魂だの幽霊だのを信じるということもありませんが、自殺、変死等の部屋はやはり借りたくはなっかたですね。借主、買主の感情としては、それが普通だと思います。

 では、正直に説明して、借り手、買い手が見つかるかどうか? その不動産のオーナーの立場はどうなるのか。次の問題が出てきます。

 私は、公的機関が、リーズナブルな価格で借り上げて、高齢者住宅として貸し出すなど、何か良い知恵を出すしかないと思います。

 率直なところ、賃貸物件では、高齢者、外国人、ペット可物件などは、不足しています。しかし、弱い立場の人の弱みに漬け込むと言うのも気が引けるのですが。

 ダブルスタンダード(二重の基準)的な考え方もやむを得ないのかも知れません。
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コメント有難うございます。 (岩崎和夫)
2006-09-12 21:30:11
竹川さんコメント有難うございます。

非常にデリケートな問題にコメントいただき感謝いたします。

ブログの場だけでなく、今日も実際にどうするべきかという論議が戦わされました。

弁護士を呼んできて自殺問題の勉強会を開いても、結局これと言った可決策が出てきそうもなく、実際に体験し、そしてユーザーの反応を我が身で経験した人達の意見を聞き、自身で対応を考える事が大事なのかも知れません。

業界として統一見解を出して欲しいという意見もありますが、統一見解が出せるほど単純な問題ではない!というのが結論かも知れません。

経験者・有識者・法律家etcを集めてパネルディスカッションが出来たら良いな!と思っています。
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