先日、鑑賞してきた旨は書きましたが…昨日、東京公演が終わったので個人的な感想などを少し。。。
NODA・MAP 第17回公演『エッグ』公演期間 9/5[水]~10/28[日] 会場:東京芸術劇場 プレイハウス
作・演出:野田秀樹
音楽:椎名林檎
出演:妻夫木 聡、深津絵里、仲村トオル、秋山菜津子、大倉孝二、藤井 隆、野田秀樹、橋爪 功
ちなみに、今“劇中歌”を聴いております。
今回の芝居に、椎名林檎さんが書き下ろした曲に、野田さんが作詞した作品を、深津絵里さん(劇中名:苺イチエ)が唄っているモノ。
プログラムの他に、CDの販売もあって…いつも買わないんですが、深津さんの声が曲に合っていたので、つい買ってしまいました。
さてさて…いつものことですが、バタバタって感じで始まって上手く引き込まれて…2/3位まで進んだところから、真剣に“テーマ”を考えさせられる。今回も終わった後に、何とも言えない気持ちになりました。
あらすじを交えながら感想を。※あらすじは、かなりカットしてます。文章にするには、難しいので―。
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まずは、改修中の劇場のシーンからスタート。
劇場から寺山修司の「エッグ」という未発表戯曲がみつかります…。
そこには、私達の知らない「エッグ」というスポーツのことが書かれていて。改修中の劇場芸術監督(+その愛人)が作品を舞台化するため読み解き始める。
ココから舞台は、物語の中へ―。
記録を残してはいけない「エッグ」というスポーツで、オリンピックを目指す青年達のお話(現代劇)と前半思っていると、舞台監督が戯曲を読み解くシーンで、過去へ過去へと時代が遡っていきます。
最初、目指すのは“未来”のオリンピックと思っていたのですが、1964年に行われた「東京オリンピック」を指すものとなり、更にさかのぼって…企画だけで実現しなかった1940年の幻の「東京オリンピック」のことだと。
さかのぼった1940年と言えばですね…歴史からすると、ここから満州が舞台ということになるんです。つまりは、太平洋戦争中の731部隊のお話へとなっていきます。
卵を使ったワクチン開発を研究する研究員が、休憩中に遊びで行っていたゲームが発展してできたスポーツ=エッグ。
エッグ技術やデータは、機密だから“記録”は許されないとういことだったんですね…。
最初は、ワクチンを作る目的だった作業が戦争が進むにつれ細菌兵器の研究になり、彼らの周り(人の考え方やそれらの方向性)も変わってきます。
そして終戦を迎えた時、それらの責任を指示していた上官は、無実の青年1人に『罪』を背負わせ置き去りにし満州を引き揚げていく―。
罪を被った青年の独白―その場に存在した人々のその後の生き方、それらがどのように現代に伝わったのか―。自分の一生を振り返り、最後自分に付いて残った妻を振り返りながら一生を終える。
そんな、戯曲だった“エッグ”。―寺山修司は、なんでこの戯曲を書いたのか?
―実際には、こんな戯曲は発見されていないのです― 野田秀樹さんが、最後に自ら発するセリフ。
今まで、自分たちが観てきた芝居は、(何処まで)架空なのか(何処が)現実なのか…観る人それぞれが、いろいろ考えたりや感じたり出来る終幕。
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圧倒的なスピードで、観る人に斬り込み“テーマ”を認識させていく芝居。こういうところ、毎回凄いと思う。
満足度も高くて、カーテンコールも凄いんだけど…カーテンコールの時の空気が重い(笑)です。
こういうタイミングということもあり、いろいろ考えさせられるお芝居でした。