どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

「亜遊の手紙」17

2023-04-04 13:27:00 | 日記
翌朝、6時ピッタリにエリが女官3名と共に母子の家に現れた。
「身一つで」とのことだったので、亜遊も抄花も何時もの袴姿だった。アズサもいた。
エリは「赤族の眼を与える」というと2人の目の前で左手を上げ炎を立ち上げた。


その瞬間、亜遊と抄花の目に周りの景色が見えた。母子の家の左右には、幾つもの高層ビルが建っていた。箱のような建物。装飾は何もなく漆器の塗りのような色。。。赤と黒。
母子の家は二つのビル群の間に建てられていた。
「其方達の代わりに母子の家で働くユミとエリザだ。アズサ、指導を頼む。」アズサがうなずくとエリは「王妃の間に参るぞ」と言って歩き出した。

王宮は、とにかく巨大だった。王妃の間は王の執務室の向かいだった。先輩女官が説明してくれた。
「この建物は政務を行う場所です。居住区は中央ガーデン、母子の家ですね。。。を挟んだ反対側です。王ご夫妻の御寝所も居住区になります。王妃の間は、エリ様の王妃としてのお仕事の間です。セキ様とエリ様は、ご相談して物事をお決めになることが多いのです。」

ドアが開かれると1名の女官が頭を下げて迎えた。
「お帰りなさいませ。エリ様。早速、新入り女官に説明をさせていただきます。亜遊、抄花、こちらへ。。。」と言って女は王妃の間の中の事務室に2人を招き入れた。
女はニコリともせず一方的に話し始めた。
「私は女官長が高天原にご出張されているので、臨時で王妃の間の指揮を取っているベルナと言います。まずは、赤界の官服に着替えてもらいます。私が着ているコレです。赤王宮の女は産前産後と1年の育児休暇を除いて、全員が宮仕として働いております。仕事の時は基本、官服を着用しております。強制ではないので今のお姿のままでも結構ですが、官服の方が動き易いかと思います。本来の私の役割は時間管理です。


王妃の間の仕事は朝7時に始まり、夕方5時に終わります。昼食とお茶の時間は休憩となります。王妃の間の女官の仕事は、ハッキリ言って王妃様のメイドです。
今、女官長がいらっしゃらなくて、エリ様にご気分良く過ごしていただけていません。王妃様はご機嫌よろしくないのです。そこは頭に入れてお仕えください。
無駄な時間は死と同じ。効率的に仕事をいたしましょう。
それでは、着替えますか?着替えませんか?直ぐ決めてください。」

亜遊は反射的に「着替えます」と答えたが、抄花は男と同じ服は嫌だと思い「今日はこのままで。」と答えた。
するとベルナは亜遊に「10分で着替えるのだ。」と命令した。「髪はキツく縛っておけ。抄花は長い髪なので編むか結え!早くしろ!」と亜遊と抄花を急き立てた。

亜遊は手早く着替え髪を縛った。抄花は髪を二つに編んでお下げにした。

ベルナが小さな鈴を鳴らした。
事務室から出ると他の3人は官服で並んでいた。ベルナが亜遊と抄花にも「並べ」と目配せした。
7時丁度に仕事が始まった。3人の女官は何処かに行ってしまった。ベルナはエリと話している。亜遊は先輩の後を追いかけようと思った。
抄花に向かって「抄花。ここは指示待ちじゃダメ。メイドは気配りよ。」と亜遊は言っても抄花は動こうとしない。
亜遊は1人で先輩達が消えた方に行った。




18に続く。。。