どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

「亜遊の手紙」18

2023-04-06 08:49:00 | 日記
亜遊が向かった先には竈門があり、先輩女官達が湯を沸かしていた。
亜遊は「何故、湯を沸かしているのですか?」と質問した。
「王妃様は10時半からの王様とのブランチが日課なの。これから湯に浸かり、お着替えをするの。1日で一番気を使う時間の始まりよ。女官長が居なくなってから大変よ。湯が沸いたらバスタブまで運んでくれる?ええっと。。。。」

「亜遊です。よろしくお願いします。」
亜遊は、バケツの湯をバスタブに運ぶ係になった。先輩達は王妃様の好みの湯の温かさを知っている。だから亜遊は運ぶ。官服で良かったと思った。
バスタブの周りには沢山のバスオイルやソルトが並んでいた。

「バスオイルとソルトが沢山ありますが、何を入れるのですか?」と亜遊は女官達に尋ねた。
「それが、難しいの。女官長が“その日の王妃様の気分“で選んでいたから、湯上がりのお飲み物もそう。私たちバスローブも選ばなければならないの。私たち悩んじゃっているのよ。毎日。」
「私が選んでもいいですか?」
亜遊が言うと女官達が驚いた。「亜遊さん。高天原の王妃様に仕えたことがあるの?」と亜遊に尋ねた。
「いいえ。でも、試してみたいんです。」
女官達はコソコソ相談してから「じゃあ、やってみて。失敗したら王妃様のお説教が待っているわよ。覚悟してね。」

亜遊は、最近のエラの姿を思い浮かべながら『お疲れであろう』と推測した。
2本のオイルを混ぜて湯に溶かした。ソルトは匂いの無いものを多めに入れた。
ローブのクロゼットから薄いピンク色のふわふわしたローブを選んだ。
お茶は温かいアップルシナモンのフレーバーティーにした。
花を一本、花瓶から抜いてティーテーブルの上に置いた。

昔、自分が王妃だった頃、生国から連れてきた女官アザミがそうしてくれた。
大好きな女官が居なくなって寂しいのは分かると亜遊は思った。

直接王妃様のお身体に触れるのは新入りの役目ではない。
ご入浴のお手伝いは先輩達の仕事。その間に何をしようか。。。竈門の片付けだ。バスルームから女官と話すエリ様の声が聞こえてくる。ご機嫌はよろしいようだ。竈門を片づけ終わった頃、先輩女官の1人が亜遊に「エリ様が亜遊をお呼びよ。」と竈門に来た。「あら?!片づけてくれたの?ありがとう」と言って微笑んだ。
「抄花は何をしていますか?抄花は若いのです。気が利かないので申し訳ありませんが、やる事を教えてあげてください。」と亜遊はお願いした。
「うん。今はバスルームの掃除をさせているわ。着物はビチャビチャよ」という答えが返ってきた。

亜遊がエリの下にいくとエリがバスローブ姿で花を持っていた。
「これは、どういう意味なのだ?」と亜遊に尋ねた。