どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

「亜遊の手紙」21

2023-04-09 14:30:00 | 日記
亜遊はアクセサリーなど欲しくなかった。生まれた時から持っていた。
そうだ。桃姫に持って帰ろうと思いついた。姫は若く何をつけてもお美しい。巫女装束に合う長い首飾りを。翡翠がいいか。この中にあれば箱に入っているはず。。。亜遊はネックレスの箱を手に取っては中身を確認し出した。

「亜遊、何を探している?」とエリが声をかけた。
「高天原では殆どアクセサリーをつけることはありません。私は若くないので、若い主に似合うものをと思いまして。国を出たことのない主に。歳若く苦労ばかりしている主に。」
桃花に。。。とエリは胸が詰まった。「どんなものを?」とエリが亜遊に尋ねると「長い珠のようなネックレスです。」と答えたのでエリが「確か、この辺に。。。」と箱の底をゴソゴソ掻き回した。
長いネックレスのケースを取り出し亜遊に渡した。亜遊がケースを開くと翡翠のネックレスがあった。
「これです!こういう物が似合います。きっと!」と亜遊はニコニコした。



そんな亜遊を見て抄花は思った。


抄花は赤い宝石の花が付いたペンダントを選んだ。
初出勤の日はそれで仕事は終わった。定時より30分早かった。外でワタリが亜遊と抄花を待っていた。
「これから官舎にご案内します。ご一緒に部屋を造ります。」

亜遊と抄花は地図を渡され、中央ガーデンを挟んで反対側の建物群に向かった。
「こちら側は、王宮で働く者の居住区です。王も王妃も宮仕もみんなこちら側に自宅があります。居住区画とパブリックスペース、主に教育関連施設もこちら側にあります。誰がどこに住んでいるのかは公にされていません。地図にも数字以外何も書いてないでしょう。亜遊さんと抄花さんは1−5の建物です。2001と2003です。ちなみに後から付け足したので端っこですね。2002は私、ワタリの部屋です。護衛を兼ねてです。行きたいところがあればご案内します。」

ワタリが話している間に1−5についた。1階はラウンジでエレベーターで20階まで登る。降りると部屋は2006までしかない。1フロアに6部屋。角部屋の2001は抄花の部屋。2003が亜遊の部屋だった。
居住棟1−5は管理職の部屋だった。一部屋が100㎡を超える広さで抄花を端にしたのも、そもそも管理職棟に住まわせるのも、全ては抄花を赤男共から遠ざけるという王の計らいだった。

「それでは部屋を作ります。まずは抄花さん。ご希望は?」とワタリに言われても抄花には分からない。「あの。。お姫様みたいな。。。」と言うのがやっとだった。ワタリは自分の母が作った部屋を思い出して再現してみた。
「どうでしょうか?」とワタリが抄花に尋ねても抄花はポカンとして「はい。」としか言えなかった。
「次は亜遊様。」とワタリが声をかけても亜遊は黙っていた。
2003はただの箱のまま。なのに亜遊は「ベッドとバスルームとテーブルと椅子が二つ欲しいです。それから部屋の広さを半分以下にしてください。」
ワタリは亜遊の言葉の通りにした。なんとなく亜遊の気持ちが分かるからだった。

22に続く。。。


✳️昨日から、水彩画をスキャンしています。今まで写真を撮ってUPしていたのですが。。。漫画の原稿をUPするために試しにスキャンしています。今、私はパソコンがないのです。「亜遊の手紙」は、1番描きたかったシーンのみ漫画の原稿となります。来週中には「漫画原稿工事中」になります。多分。1p描くのに丸1日以上かかるんですよ。全く。。。