『 HARD & LOOSE 』 れいめい塾 津市久居

塾頭の『れいめい塾発 25時』
三重県津市久居にある学習塾『れいめい塾』の塾頭のブログです。

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11月6日

2005年11月06日 16時37分22秒 | Weblog

昨夜の大西君は私生活に関しては倦んでいるようにも見えたが、ことマージャンに関してはやたら元気だった。半荘2回目が終わり終了となるはずが大西君、「もう一回やるで。みな付き合ってや」
結局マージャンが終わったのは午前6時。ベッドを大西君に明け渡して俺は家に帰る。

2時間後には目を覚まし、熱田神宮を出発した第一走者が第二走者にバトンを渡すあたりからテレビの前で釘付け状態が始まる。

今年の日本大学駅伝のテーマは、去年の覇者でもあり箱根駅伝四連覇中の駒沢大学に中央と日大がどこまで迫れるかだった。
ところが神様、本命の駒沢の第一区、残酷ないたずらを用意する。
駒沢大学第一走者、12位でバトンタッチ!
これで横綱相撲をとるはずの駒沢、一転してトップを追う展開となる。
そのトップをひた走るのは日大。第二区で留学生のサイモン、トップと56秒差でバトンを受けるも区間新で一挙にトップに踊り出る。続くは8人抜きを演じた中央大学、さらにアフリカからの留学生を3人擁し前半戦に勝負をかける第一工業大学。中央大学は第三区で徐々に脱落していき、駒沢がジリジリと順位を上げていく。

唯一の地元大学、四日市大学も健闘するが第四走者が時間差スタート。第三中継所に走りこんできた四日市大学の第三走者、タスキが渡す相手を探すが見つからない。
俺が泣いていると、末娘のあいが不思議そうな顔で俺を見てる。

戦前は不安視されていた日大の秀沢の表情がいい。謙虚に与えられたことだけ・・・ひたすらタイムを刻むことだけに集中し、ただそれだけを淡々とやりとげようという必要以上の気迫をそり落とした表情がいい。その後続で、第一工業大学のチケコエッチが駒沢の主将を瞬く間に抜き去り2位に浮上。3位には徐々に離されながらも本命の駒沢が必死に食らいつく。

古西の弟の祥のサッカーの試合は午後1時30分開始。しかし四日市中央工業の強さを確かめたいと午前11時出発。俺は初めて古西の運転する車の助手席に鎮座する。

会場は鈴鹿ガーデン、一番奥の駐車場に車を入れると大歓声が響いてくる。
時間的には後半、それもラスト15分あたりだろう。
古西が会場内にいるはずのお母さんに電話。「得点は?」「2-0、やっぱ中央か」
そのお母さん、ゲイトのにわかチケットもぎり嬢。「はい、先生」とチケット渡され二人して観客席へ。得点ボードを見ると3-0、あれ?と思っていると四日市中央工業、見事なヘッディングシュートがゴールに吸い込まれて4-0。「やっぱ強いわ」 小刻みに立ち止まることなく動きまわり、執拗にゴールを狙う四日市中央の前線の選手たちを眺める。結局試合が終わってみれば5-0の圧勝で幕。

奥さんからは矢継ぎ早にメールが入る。
逃げる日大、追いかける駒沢の構図は変わらない。しかし一旦は脱落したかに見えた中央大学が徐々に順位を伸ばしているという。逆に前半戦、日大を追い詰めた第一工業大学は後半戦となり徐々に後退する。

祥の背番号は6・・・それはいいのだが、三重高のユニフォーム、赤地に文字や数字が金色! 見にくてしょうない。古西が近くに座る親父さんに尋ねる、「あのユニフォーム、新調したんか」「ああ」 「成金趣味やな」 ボソッと古西がつぶやく。
海星が三重高陣地内のペナルティエリアのすぐ外側からフリーキックのチャンス。キッカーはかなりの距離をとりなかなか蹴ろうとしない。審判から急かされてか、大げさに助走・・・その瞬時、ボールの近くにいた海星の選手がコンパクトにボールを蹴る。観客も唖然・・・その静寂のなか、ボールは三重高ゴールに吸い込まれる・・・海星、ゴール!
窮地に追い詰められた三重高、しかしゴール間際の乱戦から抜け出したボールを三重高の選手がセンターラインとペナルティラインの間くらいで拾う。それをすかさずパス?・・・どこに・・・前へ・・・えっ、ゴールが揺れている! 三重高、ゴール!
前半終了、1-1で後半戦に突入する。

全国大学駅伝は、土砂降りの雨のなか、伊勢神宮を目指す。
第六区で駒沢がついに2位に迫る。その後にはこれまた徐々に順位を上げてきた中央大学。
そして最後の第七区はトップの日大に1分30秒の差で駒沢が続き、さらに中央が・・・。

後半に三重高にペナルティキックのチャンスが転がり込む。絶叫する三重高応援席、「うわ、やべえ」 隣の古西がつぶやく。「なんや?」「祥や、称・・・蹴るんは祥や。・・・もしこれはずしたら親父の奴、今日の晩飯はなしや!くらい言うで」
しばし動きを止めていた祥が助走に入る・・・キック! しかし、すかさず右に飛んだキーパーにキャッチ!・・・いや、ボールがこぼれた。祥が身体を滑らしてボールを蹴りこむ。キーパー、がっちりとキャッチ。割って入る審判が祥に高々とイエリローカードを掲げる。虚空を仰ぐ祥・・・失望と落胆のうめき声や叫び声が三重高応援団に充満する。近くで古西の親父さんの声がする・・・「今日のあいつの晩飯は抜きや」

最終の七区、中央大学が駒沢を抜き日大に続いてゴールを切る。そして本命の駒沢が三位でゴールに。そして最後の最後で山梨学院のアンカー、モグスが11人抜きの快走を見せて4位でゴール。

してやったり!の海星のゴールキーパー。
しかし勝負の神様は罪なことをする・・・。
海星のゴールキーパー、豪雨のなかでボールを蹴るせつな、滑ったのだろうか・・・ボールを真正面にいた海星の選手の背中を直撃! 跳ね返ったボールがゴール前に。すかさず滑り込む三重高の選手! スローモーションのようにボールがゴールに吸い込まれていく。

全国高校サッカーの三重県予選決勝は11月13日、四日市中央工業と三重高の間で行われる。

全国大学駅伝は、三重県を南北に縦断する幹線道路23号線を走る。もっとも三雲から南は松阪市内を抜け伊勢へと至る旧23号線だが・・・。ともあれ、今日は交通規制が行われ至る所で渋滞となる。
この渋滞のなか、杉野は祖母を車に乗せて祖父の入院する病院にいったという。

過去の無数の記憶の破片や断面から、お互い同士が分かち合う共通なコードを鮮やかに蘇らせようとする行為は、冗談でなく砂漠の中から指輪を見つけ出すような努力を綿々と続けることである。磁石もない、地図もない、スコップもない、それでも絶望と戦いながらも手探りで一瞬の光芒を求め彷徨う。

叔母は三男坊の製作したガラス細工を病室の手元に置いては暇があると愛しそうになでていた。
俺がそのガラス細工を手に取ると「にょんちゃ・・・にょんちゃ・・・」と叔母は言った。にょんちゃ・・・なんなんだ?

後になりお袋の一言から「にょんちゃ」の意味がわかることになる。
お袋はある時、こう言ったのだ。「和子(叔母の名前)は陽ちゃんのことを一番心配していたわ」
陽ちゃん・・・にょんちゃ・・・分かった!
俺はお袋に勢い込んで尋ねた。「なんで陽介のことを心配してたんや」「大学に行かせてあげられなかったから」

俺はガラス細工を手に取って叔母に言った、「和ちゃん、大学なんてな、どうだっていいねん。行く価値がある大学ならともかくさ、高校時代に遊んでばっかでも入れる大学がある時代や。ほんま、行く価値のない大学めちゃ多いねん。金の無駄遣いや・・・その点、陽ちゃんは偉いよ。ガラス細工に惚れ込んで、富山の専門学校へ入ったんやろ? 将来の自分のために、一生の職業のために富山で暮らしたんやろ? 陽ちゃんは、絶対に大学へ行かんで良かったんや、絶対にや」
いつもの悠々と時を刻むリズムがふっと・・・しばしの静寂、そんななかで叔母の目が真正面に俺を見すえていた。叔母の瞳の奥、ささやかながらも何がしかの力が宿ったのであれば・・・俺の目頭が熱くなった。目頭の向こうの網膜上に、なぜか箱根駅伝で幾度も見てきた光景が浮かんでいた。
喧騒の小田原中継所、そこへ夢遊病者のように、それでも気迫だけを支えにして辿り着くランナー。それなのに・・・いない・・・タスキを渡すべきチームメイトはいない・・・。
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