午前6時を少し過ぎたあたりに福井北のゲートをくぐった。
武生にかかる頃に刀称から携帯に連絡。
半ば徹夜でやったマージャンの結果が気になるらしい。
あるいは俺のツイッターをすでに読みながら、「しつこく罵れ、他人の失敗!」というモットーを俺を相手に堅守したやもしれぬ。
鈴木のセンセの一人勝ち。
そして血まみれは俺。
マージャンの話題はいい・・・気分が悪い。
センセを奈良でおろしたのは午前9時10分・・・10分遅刻だ。
まあ、センセの職業はダイワハウスの支店長、10分程度の無理はきくのだろう。
鈴木のセンセと別れ、京都へ。
今日は平日、容赦なく高速代がかさむ。
長者町通りの森下の下宿に到着。
森下は礼服を下宿に置き、商売道具のパソコンを抱えておんぼろエスティマに戻る。
この時刻では『あげた亭』はまだだ。
立命館大学近くの喫茶店でコーヒーを飲む。
正午から会議の森下と別れ、仁和寺近くの『あげた亭』へ。
午前11時30分から開いてるはずが1時40分・・・10分過ぎてても閉まったまま。
マークンは店主だ、10分くらいは許されるのだろう。
仕方なく仁和寺で時間をつぶす。
「いやあ、最近の大学生や若いお客さん、さっきまで話で盛り上っていたと思ったら携帯を見てる。観察してると話が途切れたらどちらからともなく携帯を取り出し、それを見た相手も同じように携帯を取り出す。なんか、自分は居場所があります、あるいは退屈してません、あなたと過ごす時間はそれなりに楽しいです・・・そんな空気を身にまとって、自分だけの空間に閉じこもっているような気がしますね」
そう話すのは店主のマークン。
「就職試験では言葉のキャッチボールをしなくちゃならない。面接官の言葉を反芻して、言葉を投げ返す。それもいくつかある球種のなかで一番見事な球を・・・。相手はそれに対して言葉を再び投げて返す・・・そんな言葉のキャッチボールをする訓練を今の大学生は、いつの時期にどんなふうにするのか・・・」と俺。
「他の連れが話しているのに入っていけなくて、テレビに視線を這わせたり、携帯を取り出して自分の世界に入って、『私は決して退屈なんかしてません、私は私で楽しくやってます』なんて雰囲気を醸し出して・・・」
「それはそれで相手に配慮してるんやろけど、なんで相手の世界に踏み込めへんのかな。それを考えると今の若い子って、他人に甘えるのヘタでしょ。相手から顰蹙されてもいいから年上に甘えたらいいのに、時には傲慢にふるまったらいいのに・・・そんなふうに俺が感じる子って、竜太(17期生・立命館大学文学部心理学科1年)以外にも塾によくいますよ」
「竜太君もね、森下君とサッチャンが話しこんでるなら、二人をそっとしてあげようなんて大人の配慮じゃなくて、自分もその中に入っていってやろうって思わなくっちゃ。笑われてもいいし、けなされてもいい、・・・もっともっと自分らしさを見せつけ、自分の意見を言わなくっちゃ」
俺は古西(12期生・JT)の厚かましさと生意気さをこよなく愛している。
話の名伯楽でもある征希(4期生・カイロプラクティク自営)と過ごした時間が多かったからか、持ち前の怜悧な計算がそこにあったのか、それは知らない。
ただ、今もなお刀称が古西の生意気さかげんを思い出すくらいだ。
そしてその武器こそが、受けた企業の全てから内定を提示せしめたのだ。
サッカーの試合相手ゴール近くでの日本代表の臆病さを嘆くなかれ。
それは全て、現代若者の深層心理の裏返し。
携帯をいじくりながら、目の前にある言葉の闘争から離脱しようとする若者を投影している。
刀称なら叫ぶだろう。
「打て!打て!打!!!!! 言葉のシュートを打て~~~~~~~!」
竜太へ。
今日、マークンにかき揚げ丼のお代を払っておいたから、近いうちに『あげた亭』に行くように。
森下やサッチャンだけでなく、『あげた亭』に巣食う人々の言葉のドリブリに果敢に臨むように。
決して以前のような日本チームであってはいけない。
福井で遊んでいる?うちに順位が4位。
ほんま、すんません。
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