『天帝のはしたなき果実』(by古野まほろ)、読了。
本命は『天帝のみぎわなる鳳翔』なのだが、シリーズものは頭から読むのが我が信条。
よって、第1作の『果実』をGet。因みに講談社ノベルス版(初版)。
とある高校で起こった事件に、吹奏楽部員の古野まほろ(主人公)が挑む。
ここまでなら王道。それ以外の特徴が非常に強い。
まず、世界観が独特。日本でなく「日本帝国」。でも20世紀。(携帯電話がない)
アメリカに敗戦したけど軍も貴族も満州も存続してて、けれどガンダムとかドラえもんとかドラクエとか普通にある。男女同権も根付いてる。細かい部分は説明なし。
それから紙面がいわゆる「黒い」。
1段組とはいえ、漢字表記とそのルビでびっしり。フォントの種類も多様。
メインキャラは全員、外国語堪能&教養雑学広範囲&話好き、結果的に文章はどんどん長くなる。
そして展開の振り幅がこの上なく激しい。
校内に隠された暗号を解く平和な話が一転、残酷な殺人が続き、登場人物たちがドライに仲間を疑い合って解決と思ったら、最後はSFめいた組織の暗躍が描かれる。
800tの黄金とか、超能力みたいな物も出てくる。
皆して歌ったりする華やかな場面も多い一方、異性同性の恋愛、ひいては性行為まで描かれてるのは個人的には苦手。
あくまでマニア向けの作品と捉えれば、部員たちの推理合戦はいっそ心地よい。
読書という行為自体に耽溺したい私のようなタイプには、オススメしたい作品かもしれません。
それでは。また次回。