ダーガの情報に従い、敢えて道から外れた茂みを調べた。
闖入者に驚く鳥たちが、ばたばたと飛び上がっていく。
飛んでいく鳥を見上げた俺の目に遠く、黒い物体が浮かんでいるのが見えた。
鳥にしては、それはあまりに巨大だった。形も違う。
木々よりも遙かに高みを飛ぶ方舟。
まさしく、ガレーキープに他ならない。
船は段々近づいてくる。
間違いない、この近くに罠がある。
茂みをなぎ払うと、ついにお目当てが見つかった。
背の高い細木が不自然にたわんでいる。
木の小枝は見事に全部を刈り取られ、たわんだ木の先端が
ロープで固定されている。
ロープの先は輪になっていて、輪に足を入れれば最後、
ロープが外れて木が跳ね上がる、よくある仕組みだ。
よくある? どうしてそんな事を思ったのか。どこで見覚えが?
ふと、自分の体にくくりつけている相棒が気になった。
(どうした? さっきからずっと黙ってないか?)
(すみません……何だか、怖くて)
(怖い? 例の、俺が死ぬ夢でも見たのか?)
(いいえ。私の知る未来は、ダンジョンの中だけで終わっていました。
こんな遠くまで旅が続いているなんて思ってもいませんでした。
だから怖いんです。何か、途方もなく恐ろしい事が起きる予感がして)
(かもしれないな。この作戦がうまくいく保証なんてどこにもない)
(それなら……)
(だが、うまくいかない保証だって、どこにもない。やるしかないんだ)
(はい。それがあなたの選択なら。わたしは最後まで付いていきます)