眩しい光は、とっさに目をつぶって或る程度防げたが、
結果として身のバランスを崩し、後ろへよろける羽目になった。
目を開けると、探し求めていた宿敵が、眼前にいた。
目を閉じて静かに立つ、一人の男。
それを見て、なぜか背筋に寒気が走り、心臓の鼓動が早まった。
どうしても、ザラダンから視線を逸らす事が出来なかった。
ザラダンが目を開いた。
その瞳に見据えられた時、どうしてなのか、身がすくんだ。
いったい何なんだ。これじゃまるで、悪事のバレた生徒か、それとも。
「鮭が川をのぼって故郷に帰るようなものだな。
待ちかねていたよ。お帰り。我が息子――ライアンよ」
ザラダンは厳かに話し始めた。
「お前がこのガレーキープまでたどり着いたのは、偶然ではない。
お前はまさに、私の創造した最高傑作だ。
強さのみならず、知性までも完璧に兼ね備えた、その姿の何と美しい事か。
お前は全ての試練を超えた。しかも最後の『煙』と共に
戻ってきてくれるとは」
そう言って奴は微笑んだ。懐かしいと感じる笑み。懐かしいだって?
そうだ。俺は確かに、奴と一緒に過ごした時期がある。
絶え絶えの息だった時、もうろうとした意識の中を介抱され、
給餌を受けていた記憶が呼び起こされた。
つまり、この人は本当に、俺の……?