『がん消滅の罠 完全寛解の謎』(by岩木一麻)、読了。
新古書店で手に入れた。
「このミステリがすごい」で大きく話題になった記憶がある。テレビ番組でも一度ならず紹介されていた。
殺人事件ならぬ“活人”事件。
進行していたはずのがんが何故かことごとく完治してしまう奇妙な現象を、医師たちや保険業者たちが調査する。
作者は国立がん研究センターに勤めていた医師、つまり実際の専門家であり、作中にはひたすら医療や保険にまつわる説明が積み重ねられる。
私が中古で買う前に読んだ人は相当勉強しようとしたようで、至る所に鉛筆の傍線や囲みが書き込まれていた。
無傷のページを探すのが大変なほどだった。
もっとも、事件の核となるトリックは、実は極めてシンプルに説明できる。
この理屈の通りに、人体が常に正確に作動するなら、がんを悪化させるも消滅させるも自由自在かもしれない。
現実問題としては、こう全部うまくいく可能性は高くないではとも思うが。
けれど逆に言えば、前述した膨大な専門知識は結果として、そのトリックから目を逸らすミスリーディング、あるいはノイズになってしまうわけで。
確かに知識は得られたが、どこか虚しさも感じてしまった。
残念だったのは、事件が終息した後の部分。
黒幕は、医師たちの追及から逃げ切ってしまう。
そして結局、人命を弄び続ける理由は明確に説明されない。
続刊を読めば分かるのかもしれないが、これ以上専門用語を読むのはちょっと疲れるなあ。
それでは。また次回。
新古書店で手に入れた。
「このミステリがすごい」で大きく話題になった記憶がある。テレビ番組でも一度ならず紹介されていた。
殺人事件ならぬ“活人”事件。
進行していたはずのがんが何故かことごとく完治してしまう奇妙な現象を、医師たちや保険業者たちが調査する。
作者は国立がん研究センターに勤めていた医師、つまり実際の専門家であり、作中にはひたすら医療や保険にまつわる説明が積み重ねられる。
私が中古で買う前に読んだ人は相当勉強しようとしたようで、至る所に鉛筆の傍線や囲みが書き込まれていた。
無傷のページを探すのが大変なほどだった。
もっとも、事件の核となるトリックは、実は極めてシンプルに説明できる。
この理屈の通りに、人体が常に正確に作動するなら、がんを悪化させるも消滅させるも自由自在かもしれない。
現実問題としては、こう全部うまくいく可能性は高くないではとも思うが。
けれど逆に言えば、前述した膨大な専門知識は結果として、そのトリックから目を逸らすミスリーディング、あるいはノイズになってしまうわけで。
確かに知識は得られたが、どこか虚しさも感じてしまった。
残念だったのは、事件が終息した後の部分。
黒幕は、医師たちの追及から逃げ切ってしまう。
そして結局、人命を弄び続ける理由は明確に説明されない。
続刊を読めば分かるのかもしれないが、これ以上専門用語を読むのはちょっと疲れるなあ。
それでは。また次回。