『依頼人は幽霊!?』
『シティーハンター』、最大の異色作。
今回のゲストキャラは何と、客観的に観測可能な霊的実体、つまり「幽霊」。
牧野陽子編の「透視」や西九条紗羅編の「読心術」を遥かに超えるオカルトエピソード。
もっとも、「見分けのつかない一卵性双生児の姉妹」→「片方が死んで霊になる」→「もう一人に取り憑く」という図式は、むしろ王道中の王道である。
が、そういった作品は大抵、作風に元からオカルト要素を含んでおり、「それくらいの事もあるだろう」と考える余地がある。
けれども『CH』には、霊媒師も平行世界も人外も、(基本的に)出てこない。
なのに今回だけ、幽霊ネタだけ飛び込んでくるから、こちら読者としては、どう受け止めて良いか、少々戸惑うのではなかろうか。
というか、初読当時の自分は結構混乱した。
リアリティラインが迷子になっているというか。
少なくとも『CH』を全く知らない人にいきなり読ませたくない回だと、今回も思う。
しかしながら、ここまで日頃と毛色が違っても、事件全体はきちんと『CH』の基本構造を保っている。
互いの姉妹愛を満たし、永遠の離別を受け入れる浅香姉妹の様子は、まさに文字通りの“憑き物落とし”。
香が突如、霊媒体質になるという急展開にも納得できてしまうのは、作者の驚異的な画力(表現力)の賜物と言えよう。
なお、霊的実体の存在について描かれるのは、一応今回限り。
ただし、後の事件で、もしかしたらと匂わせる場面があるとは述べておこう。
それでは。また次回。