キャリイが腕を振ると、散らばっていた門と槌のカケラが、
つむじ風によって集まり、融け合って形を変えた。
現れたのは、闇のように深い黒色の大剣。
俺は導かれるように、その柄を持った。同時に思い出した。
俺は知ってる。これは、俺の親しんだ得物に限りなく近い。
両手で持ち上げようとすると、重かった。
日頃は易々と扱っていた武器だが、ふらつく足では、立てもしない。
難儀しかけた俺の腕に、キャリイのそれが添えられた。
二人がかりで、どうにかこうにか立ち上がった。
「わたしに出来る事は、これくらいしかありません。
この体のおかげで、あなたを支えてあげられます」
「馬鹿言うな。お前はいつだって支えてた」
「どういう意味ですか?」
問われたが、聞こえなかったふりをした。
心強い聖女様と話したいのは山々だが、今は集中しなければ。
剣の切っ先を、魔王の顔へ掲げ、位置を合わせた。
これが本来の使い方。剣としても使えるが、本質は杖(ロッド)だ。
力を持つ古代語を、正しく紡ぐために、深く息を吸った。
さよならだ。“おやじ”。
声に出さずにそう言ってから。
かつての伝説に謳われた雷撃呪文を、はなむけに撃った。
「ZAP――!」
つむじ風によって集まり、融け合って形を変えた。
現れたのは、闇のように深い黒色の大剣。
俺は導かれるように、その柄を持った。同時に思い出した。
俺は知ってる。これは、俺の親しんだ得物に限りなく近い。
両手で持ち上げようとすると、重かった。
日頃は易々と扱っていた武器だが、ふらつく足では、立てもしない。
難儀しかけた俺の腕に、キャリイのそれが添えられた。
二人がかりで、どうにかこうにか立ち上がった。
「わたしに出来る事は、これくらいしかありません。
この体のおかげで、あなたを支えてあげられます」
「馬鹿言うな。お前はいつだって支えてた」
「どういう意味ですか?」
問われたが、聞こえなかったふりをした。
心強い聖女様と話したいのは山々だが、今は集中しなければ。
剣の切っ先を、魔王の顔へ掲げ、位置を合わせた。
これが本来の使い方。剣としても使えるが、本質は杖(ロッド)だ。
力を持つ古代語を、正しく紡ぐために、深く息を吸った。
さよならだ。“おやじ”。
声に出さずにそう言ってから。
かつての伝説に謳われた雷撃呪文を、はなむけに撃った。
「ZAP――!」