次に我に返ると、そこは一面、草の海だった。
低い丘や森が点在している。
打って変わって明るく鮮やかな青空からは、済んだ新鮮な空気を感じる。
このような景色は、今までに見た事がなかった。
何より、近くに生える植物に、全く見覚えがないのだ。
そんなところに、一頭の獣がゆっくりと現れた。
尖った犬歯、飢えた目つき。
かつて書物で読んだ事がある。
これは剣歯虎(サーベルタイガー)だ。
剣歯虎はオレを見るや、全力疾走して向かってきた。
オレは懐を探った。
読んだ書物には、この獣には笛の音を聞かせると良いとあったのだ。
剣歯虎の銀細工が施された象牙の笛を唇に当て、吹き鳴らす。
草原に響きわたる音に、虎は立ち止まり、のっそりとオレに寄ってきた。
食べるためというより、純粋に好奇心からの様子だった。
虎は仲良くなりたそうな目でこちらを見ている。
オレが虎の頭をそっと撫でてやると、虎は嬉しそうに喉を鳴らした。
笛を吹くオレを、自らの主と認めたのだ。
すり寄る虎と戯れる内に、景色がまた揺らぎ始める。
次は、一体どこへ跳ばされるというのか――。
低い丘や森が点在している。
打って変わって明るく鮮やかな青空からは、済んだ新鮮な空気を感じる。
このような景色は、今までに見た事がなかった。
何より、近くに生える植物に、全く見覚えがないのだ。
そんなところに、一頭の獣がゆっくりと現れた。
尖った犬歯、飢えた目つき。
かつて書物で読んだ事がある。
これは剣歯虎(サーベルタイガー)だ。
剣歯虎はオレを見るや、全力疾走して向かってきた。
オレは懐を探った。
読んだ書物には、この獣には笛の音を聞かせると良いとあったのだ。
剣歯虎の銀細工が施された象牙の笛を唇に当て、吹き鳴らす。
草原に響きわたる音に、虎は立ち止まり、のっそりとオレに寄ってきた。
食べるためというより、純粋に好奇心からの様子だった。
虎は仲良くなりたそうな目でこちらを見ている。
オレが虎の頭をそっと撫でてやると、虎は嬉しそうに喉を鳴らした。
笛を吹くオレを、自らの主と認めたのだ。
すり寄る虎と戯れる内に、景色がまた揺らぎ始める。
次は、一体どこへ跳ばされるというのか――。