桜の木

日常のあれこれ
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追記と舞台

2022年10月16日 | 演劇
追記

先日行った諏訪峡の遊歩道に与謝野晶子の歌碑が複数置かれていた





「君死にたまふことなかれ」
弟を想う姉の気持ちがひしひしと伝わってくる
改めて、いかに戦争が愚かな事か思う

与謝野晶子の歌を目にした途端
ぐいぐいと引き戻された2019年
その年の公演を最後にコロナ禍に於いて仕事柄もあり現在演劇の世界から私は離れている

初めてこの劇団に出逢ったのは父に誘われて観た「星の王子様」の舞台
私の中でどこか児童書として捉えていたこの物語に
こんなに素晴らしいメッセージが幾つもあったのかと
役者の発する言葉、動き、いずれも素晴らしく、まるで宝石の様でキラキラした輝きに一瞬にして魅了されてしまった私

舞台が終わり興奮冷め止まず
パンフレットを改めて目を通すと
「団員募集オーディションあり」
何かに導かれるようにオーディションに申し込んでいた

どうせ落ちるに決まっているし、でも万に一つの可能性があるなら賭けてみようと思った

演出家の方や他の方々の前で
「これ読んでみて」といきなり手渡されたのは小説「山椒大夫」
量にして1ページ分くらいの文面

「あなた楽に声を出しているでしょ」
そう言われ咄嗟に叱られたのかと思った
演出家のその人は
「読み方はこれから稽古次第でどうにでもなる。何百人を前にしてノーマイクでの舞台で通る声は強みになる」と言われ、その後合格と知り喜びも束の間、私に出来るのかと‥‥今更ながら不安になった

そして本当に稽古はきつかった
毎年その年の台本が配られ、先ずは長机をロの字型にして本読み
配役が決まり、その上での繰り返しの本読みのあと立ち稽古となる
何度も何度も何度も

与謝野晶子の時の公演で記憶にあるのが母子保護論争で聴衆を前にして力強く演説するシーン
強弱をつけ、ここは間を開けて、そこはささっと捲し立てる様に‥‥
ここは重きをおいて、そこは一気に言い切る様にして
何度も読み込んで読み込んで
自分のものにするまで繰り返し読み込み台詞を声に出しての繰り返し

「違う」「違うんだよ!」
「それじゃ全然伝わらない!」
「だめだめ!はじめからっ!」と
何度言われたことか‥‥
自分が上手く表現出来たと思ってもダメ出しの嵐💦
怒鳴られる辛辣な言葉を浴びされた事、数知れず
でも上手く表現できると優しい微笑みで
「いいね〜それだよそれ!」と褒めてくれる
それが嬉しくて、どんなにダメ出しされようが、誉め言葉が欲しいが故に必死に稽古する
何処か学生時代の運動部の部活に似ている
そう思うと、演出家は鬼監督だ!
通し稽古を繰り返し芸術劇場での舞台で立ち位置確認しながらの稽古と舞台リハーサル

真っ白なきれいな台本が、もうその頃は書き込んで書き込んで真っ黒になってしまっている
そして本番

お客様がお金を出してチケットを買ってくださり大切な時間を私たちの舞台の為に割いて下さる
昼と夜の2回公演
緊張の時
自分の出番近くなると緊張のあまりドキドキし過ぎて逃げたくなる
スポットライトを浴びて眩しい光
始まると怖さも緊張もどこかに吹き飛び
舞台終わりのカーテンコール
沢山の拍手 堪らない快感
とても怖い舞台なのに、その拍手と歓声が癖になる

2019年を最後にその快感を私は味わってはいない
有難い事に「コロナも落ち着いてきた事だし、そろそろ帰っておいで」と言って下さる

しかし離れた時間が長いだけ、怖くなってしまった自分がいる
多分もう戻れないだろうなぁ〜と漠然と思う

来年はシェークスピアの作品との事、
どんな舞台が観られるのか今から客として、とても楽しみだ。



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