しとしと雨降り‥‥
静かに耳を澄ませていると
聴こえる筈のない懐かしい声が聞こえてくる
それは皆、もうこの世にはいない人
祖母だったり祖父だったり
そして母だったり
なにやら台所で祖母と母、母と娘である2人の
楽しげな声と夕食の支度で
まな板に包丁の当たる音がコンコンと響く
今夜のおかずは何だろう‥‥
聞き耳を立てようとすると瞬く間に
その音は全て消え、幻となる
幼い頃から現在も
雨音はいつも同じなのに
懐かしいと思える、この現象は
一人静かにしている小雨の時だけ
きっとその世界の中の私は
まだまだ幼い