コエトオトからはじまる

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「ういらう」を訪ねる

2017-01-08 18:25:11 | 朗読あれこれ

朗読の師と私が勝手にあおぐ(^^;;
俳優の伊藤惣一氏から
随分前に教えていただいた
「ういらう売りせりふ」

よく知られたバージョンとは少し違い
劇作家の秋浜悟史氏と伊藤氏が共同で企画、
古い資料を加味しながら
あの独特の言い回しを
豊かでリズミカルにあらわした本です。

朗読SHOW『コエトオト』で上演させていただいているのですが
本のなかに出てくる主役の品、
歴史ある妙薬「ういらう」(通称・透頂香(とうちんこう))も
お菓子の「ういらう」も
『コエトオト』のふたりは目にしたことがなかったのですーーー。


このお正月に
ひょんなことから小田原で下車したとき
伊藤孝喜が
「あれ?ういろうのお店って小田原にあったんじゃなかった?」

こうゆうとき伊藤孝喜は天才的なひらめきをみせるのです(笑)

そうそう、そうです
行きましょう、いや、行かねばなりません!





北条早雲の招きで小田原に移ってきた外郎(ういろう)家
小田原城の近くに
まさにお城のような店を構えています




横からみても立派!

「ういらう売りせりふ」の一節にもあります

   八方が八ツ棟 表が三ツ棟 玉堂作り
  破風には菊に桐のとうを御赦免なって
  系図ただしき薬でござる













「ういらう」を売るお店はここだけ
目の前は東海道です

「ういらう売りせりふ」の一節では

   相州小田原一色町をお過ぎなされて
  青物町をのぼりへおいでなさるれば
  欄干橋虎屋藤右衛門








真ん中が薬の「ういらう」透頂香
両脇はお菓子の「ういらう」小豆(左)・抹茶(右)

お店はここにしかなく対面販売のみ
伝統ある老舗のこだわりを感じます


ちなみに・・・
茶の湯の仲間同士で
情報交換のために書いている会報がありまして
去年、私が担当したときに
「ういらう売りせりふ」について書きましたので
参考に記しておきますーーー






「ういらう賣せりふ」
  歌舞伎の市川家十八番の内として知られていますが、そのいきさつは、、、
  享保の頃、二代目市川団十郎は、痰と咳の持病で舞台に立っても口上が言えず役者
  をあきらめかけていた。ところが偶々、小田原の名薬「ういらう」のことを聞き
  服用してみると、さしもの難病がすっかり癒り感激、外郎家(ういろうけ)へ
  お礼に参上した。ちなみに外郎家は、朝廷より十六の菊の紋章と五七の桐の紋章を
  与えられ将軍にも度々謁する格別の家柄。一方、江戸時代は歌舞伎俳優の社会的
  地位は非常に低い。団十郎が自分の舞台で「ういらう」の効能を述べて御恩返しを
  したいと申し出ても、それでは宣伝になるからと外郎家は固辞する。然し団十郎は、
  この霊薬を広く知らせることは人助けであり世のためだからと強く主張、遂に舞台
  での上演が承知されました。そして享保三年(一七一八年)初演となったのです。

  外郎家の製品は一子相伝であり、分店、のれん分け等一切していません。
  薬の「ういらう」は、日本で最初の製薬という栄誉を担い、菓子の「ういらう」は、
  足利義満の時代の外郎家当主が外国信使接待のとき自らつくって供したのがはじま
  りで、明治になってお菓子のういらうの商標が特許局に登録されたのを機会に販売
  するようになったとのこと。かなりに美味しいとの噂を耳にしますが、筆者は未体験。
  名代のお薬とお菓子、小田原にあるお店を一度訪ねたいものです。

  東方世界の薬の元締
  薬師如来も上覧あれと
  ホホ敬まつて
  ういらうは入つしやりませぬか
  




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『コエトオト』
コエ:小野紫(パーソナリティ)
オト:伊藤孝喜(ミュージシャン)

◎小野紫 Twitter @ono_yukari
◎伊藤孝喜 Twitter @ItoKoki69


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