知人の小学校では、課外授業として
谷川俊太郎さんと谷川賢作さんのユニットで
朗読の時間を設けようと計画しているそうです。
実現すればいいなぁと思います。
というのも、私が小学生のとき、同地区の中学校の
音楽の先生の呼び掛けによって
ヴァイオリニストの辻久子さんが
学校の体育館で演奏会を開いてくれたことが
とても貴重な思い出になっているからです。
世界的ヴァイオリニストが、田舎のイチ小学校で、
しかも体育館で、ヴァイオリンを演奏してくれるということが
どれほど“普通あり得ない”ことかというのを
小学生の私は知る由もありませんでした。
何を演奏して下さったか覚えていません。
辻さんの持つヴァイオリンはとんでもない貴重な品だと
説明を受けたのは覚えています。
そのときの演奏に釘付けになり
「エラいものを聴いてしまった」
というインパクトが残ったのも覚えています。
見たこともないような集中力で演奏する姿に
自分とは違う世界からやってきた人のように思え、
一流の演奏家の奏でる音楽というものに
たぶんノックアウトされたんだと思います(笑)。
たとえそのときに辻久子さんという演奏家と
演奏の素晴らしさについて深く理解ができなくとも
目にした耳にした“事実”のある部分が
深く心に刻まれていることがあります。
そこで起こったことの断片が記憶のどこかに残って
何年かのち、あるいは何十年か経って生々しく蘇り、
いまの自分に何かを語りかけてくれる・・・。
「辻久子さんは小学生の前でも全身全霊をささげて演奏してくれたんだ」
などと記憶を反芻しながら。
そんなわけで、ささやかなことではありますが、のちのち色んな形で
“ファンタジックなこと”が起こる子どもたちもいるはずなので、
世の中の一流のものに触れるチャンスがあるのなら
実現すればいいなぁ~と思うのでした。