蕎麦は好きでよくいただきます。
贅沢だと云われても、蕎麦は家でゆでるのではなく
蕎麦屋さんへ行っていただくのが常です。
蕎麦屋さんでいただくのが好きなのです。
その店の蕎麦、つゆ、店内の雰囲気、店員さんの応対。
それらを楽しみ感じながら蕎麦をいただくから良いのです。
「神田まつや」に行ってきました。
東京・神田須田町にある老舗です。
老舗ですが全くお客を気負わせるところがなく、
店員さんの
「いやっしゃいぃぃ」と
「い」を伸ばす声が店内に気持ちよく響きます。
ふと見ると小学生くらいの男の子がうれしそうにおしながきをみて
何を食べようかわくわくしてます。
常連さんもいる。一見さんだって心地よく居られる。
そんな蕎麦屋さんです。
“杉浦日向子とソ連”という名義で書かれた本、
『もっとソバ屋で憩う -きっと満足123店-』(新潮文庫)には
こうあります。
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水切れの良いソバを一つまみとる。つゆは辛甘口なので、ソバの端にちょっとだけ
ひっかけるようにして、浸す(ここが大事)。それを口の中に運びこむと、まず、
ソバの香りがわき立つように口の中に広がる。幸せ!
その強烈なソバの香りを優雅に楽しむ間もなく、次にまつや独特のストレートパンチが
飛んでくる。
それは、ソバの角である。これがまったくもって、まつやのソバの魅力なのであるが、
ソバの角がとんがっているのである。といっても、ナイフのように鋭利なわけではない。
舌の上を軽く叩き、口内のあっちをチョコン、こっちをチョコンと刺激する穏やかな角
なのである。ここで「まつや」に来た、という嬉しさにうち震えることになる。そして、
その芳香に誘われながら、ズズズっとソバを啜ると口の両脇から空気が混じり、同時に
つゆの味が飛び込んでくる。ソバの香り、角の触感と見事にマッチして一つの口中世界
を形づくる、これが、まつやのソバの醍醐味である。
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ど~ですか?神田まつやの蕎麦が口の中に浮かんできました?(^^)
屋台からはじまった蕎麦屋です。
庶民に愛され庶民でにぎわうのが蕎麦屋本来の姿かもしれませんね。
ちなみに私は大もりで「まつやのソバの角」を堪能しました。
途中から相席で座ったお兄ちゃん。
ビールと焼き鳥とそばがきを注文。
神田まつやのそばがきを一目見たかったのですが
待っているうちに私はそば湯まで飲み干し立ち上がらざるをえなくなって残念。
次回はお酒をやりながらそばがきにいってみたいと誓うのでした。