老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

田中耕太郎氏の足跡と日米安保(雑感)

2008-05-12 09:53:51 | 憲法
先日、「砂川裁判:(ダグラス・マッカーサー2世)米大使、最高裁長官(田中耕太郎氏)と密談 破棄判決前に」とのニュースに衝撃を受けてより、個別裁判官の従う“良心”の役割について、一層気に懸かるようになりました。他方に、(明文の)日本国憲法がありながら、という意味で…。

田中耕太郎氏は、「第二次世界大戦末期には、南原繁、高木八尺らと東京帝大の知米派教授グループによる対米終戦交渉、カトリック信者としての人脈を生かしての対外和平工作にも関与した」らしい。
 
更に、戦後憲法史から見えることは、「1950 1. 1 マッカーサー、年頭の辞で日本国憲法は自衛権を否定せずと言明」の直後、3月に最高裁判所長官に任命され(受任し)、60年安保改訂を見届けるまで約10年の長きに亘り在任した事実と、戦後政治への圧倒的な貢献度。
 
その間に、統治行為論や自由裁量論(国会優位)を持ち出しての違憲判決の転覆(その後の合憲的解釈)、そして判例としてその後の司法に大きな箍を嵌めたことなど、果たした役割は決して看過できない。このような主張・論は、日本国憲法の明文には一切ない、のにである。在任中の振舞い、裁判において彼が従ったは、良心だったのか、信条(反共主義?)だったのか、日本国憲法だったのか、疑問が残る。

戦後、新憲法(日本国憲法)が制定された時、「新しい酒を新しい皮袋に入れる」ことが出来たなら、こうした日本国憲法との乖離は無かったのではないかと、無い物ねだりと思いつつ、思われる今日この頃。
 
イラク戦争その後の(今に至る)占領統治を見るにつけ、米占領軍とシーア派、更にスンニ派(旧バース党員を含む)による混迷を見ても、その理は窺える。つまり、米占領軍(対日)は、内外情勢を斟酌し、旧支配層(戦争責任のある者を含め)と協同して、占領政策(世界政策)を進めたのだった。その根幹が、日本国憲法を裏切る、日米安保(軍事同盟)。

ところで、裁判員制度導入を控える今、個人的には早期導入には賛成できないが、裁判所(政府主導?)都合の迅速裁判(裁判員は長く拘束できない等を口実にして、或いは『米政府の年次改革要望書』を斟酌し?)のみに偏ることなく、国民のために、審議・議論を尽くし(民主主義の学校?とするなら尚更)、真実追及と適正手続きの保障を実現するよう、改めて求めたい。

そういう折も折り、出された貴重な名古屋高裁の「イラク派兵違憲判決」、そしてこの度開催された『9条世界会議』の盛会と世界的支持・賛同・拡がりは、我々の良心にも響いてきているのではあるまいか。現実(政治)への批判・不満とあいまって。

日本国憲法もあるべき姿(原点)に戻したいですね。それは、平和主義と人権保障(個人の尊重)のことです。国民主権も不十分。それには、“新しい皮袋”が必要です。

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
コメント
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